1 甘えるのが怖いのは
 

 

1 甘えるのが怖いのは

 

甘えるのが怖いのは、あたしが、人と関わることを恐れているからだ…。

人は裏切る…。
人は裏切られる…。
あたしは裏切ってきた…。
あたしは……裏切られたことはない…。

だって…期待をしないから…。

シルバー。
あたしの唯一の人。
あたしが今こうして、ここにいられる理由…。

でも、甘えるとは違う。
甘えてはいけない環境。
一人で生きていくという未知。
だって、二人だけだったから…。
あたしが甘えたら、あの子は誰に甘えるの?
あたしが弱かったら、誰があの子を護っていけるの?

甘えるのが怖かった。
だから、人と距離を置いていた。

 

 

はずなのに…

「…ブルー?」
優しく頬に、感じるぬくもり。
「……」
あたしの視界に映る、一人の人…。

知ってしまったの…。
そばにいてくれる安堵感を…。

感じてしまったの…。
人のぬくもりを…。

求めてしまったの…。

 

 

 

 

甘えることを…。

 

甘えるのが怖いのは、あたしが、人と関わることを恐れているからだ…。

人は裏切る。
人は裏切られる。
あたしは裏切ってきた…。
あたしは……裏切られたことは…まだ…ない…。

でも…期待をしてしまったの…。

甘えるということが、どんなことかわかった気がしたから…。
それに、こんな自分にも、甘えていい人がいるんじゃないかって…思ってしまったから…。

でも、恐怖が心を蝕む。
自分がしてきたことが、いつか還ってくるような気がするから…。

「…っ」
優しく、腕の中にしまいこまれる。
感じるぬくもり、染み渡る安堵感、淡く浮かぶ期待。

すべてが、あたしの心の殻を…壊していく…。

暴かないで…あたしの弱さを…。
晒さないで…あたしの愚かさを…。
見せないで…あたしの汚さを…。

 

「グリーン…」
声が…部屋に消えた…。

甘えるのが怖いのは、甘える幸せを、知ってしまったから…。

 

2005年10月6日 Fin


あとがき

ほんとに一番最初に書いた話です。はじまりは気まぐれでした。あるサイトで、ヘタレ攻めに10の試練っていうのがあって、それをレイエでやってるサイトがあったので、これはグリブルでいけるか?と思って。なんか沙耶ちゃんも知り合いも、結構お題挑戦してる人が多くて、俺もやりてーなぁとか無謀なことを思っていた矢先だったので、ちょうどよかったんですよ。ドリームでもやったことあったんですけど、100じゃ終わらないし、3とか5とかじゃ少なすぎるし。で、10個が一番達成感もそこそこ味わえるかなぁと思って、無謀にも6日挑戦しました。ほんとは4連休でやろうとしたのは内緒な話。無理だったって話です。あぁ。
まぁで、そのサイトを調べだして実際お題を見たら、「うわぁグリブルじゃかけねぇ」と思ってあきらめたんですが、ぱらぱら見ていくうちに、「臆病攻に10のお題」っていうのが目に入って、うお?って思ってみたら、うわぁこれはグリブルで書くしかない!!って目覚めて。でもどう頑張ってもシルブルでしか書けないのもあったんで、こうなったって感じです。
で、この作品を書いたら沙耶ちゃんの「ブルグリじゃん」って突っ込まれて、そのとおりだ!っと思った。だって臆病だけど、攻めなのって姉さんじゃないか?!って思ってしまったもんでして。ふへへ。まぁでもやっぱり兄さんにも攻めであってってことでグリブルバージョンも書きました。
まぁこの作品はしょっぱなからグリブルだ!?っていうかブルグリだ!?と思ったので、結構簡単にかけました。姉さんが甘えるのが怖いのって、やっぱりその先にある裏切りにおびえてるからなんじゃないかなって思います。一人で生きてきた子供時代が、余計に人との関わりに慎重に、それでいて引き気味になってるんじゃないかなぁとか思います。でも、兄さんといると、自分が安心できてしまって、甘える幸せを感じさせてくれてしまうというか。でも逆にだからこそ、次にある裏切りにおびえる日々って感じ。とりあえず序章めいて、姉さんが兄さんを信じ始めたって話でした。

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