3 何時か必ず訪れる別れ
 

 

3 何時か必ず訪れる別れ

 

永遠なんて、ありはしない。
人は変わり行く生き物だ…。
人の気持ちに、絶対なんてありえない…。

ましてや、こんなあたしと、ずっと一緒にいたい人なんて、いるはずない…。

「…」
隣で眠る、愛しき彼。
頬に触れれば、紛れもなく生きる人としての証を感じる。

永遠が欲しくて、共に居たかったわけじゃないはずだった…。
絶対が欲しくて、想いを求めたはずじゃなかった…。

はずなのに……

「……んっ」
彼が目を開ける。
「…あ…ごめんなさい」
起こしてしまった?
「…どうした?」
眠い目をこすりながら、彼はあたしの頬を撫でる。
あたしが、人であると確認した方法を、彼がする。

あぁ…あたしも人か…。

「……でも、絶対ゆるがないよ」
あなたへの、想いだけは…。
「…何がでもなんだ?」
心の声は、届くはずはなくて…。
「……ずっと…ずっと大好きよ…。でも、永遠なんて、ありえないから…」
避けて通れない…いつか必ず訪れる…別れ…。
「そりゃ、永遠なんて、この世にはありはしないさ」
ほら、彼だって…
「人は、必ず死ぬからな…」

 

 

 

 

 

彼が暖かいのは、生きてるから…。
あたしが暖かいのは、生きてるから…。

生きている限り、いつか必ず……死ぬ…。

 

 

 

「じゃああたしは、死ぬまであなたを愛し続けるわ」
死ぬときが、別れのときだ。
「…何の話なんだよ、いったい」
彼は、しかめっ面をしながらも、妙に頬を赤らめていた。
「…すごくグリーンが大好きですって話」
ちゃんと、笑顔を浮かべられた気がする。
「なんだそれは」
彼は真っ赤な顔をしていた…。

いつか必ず、別れは訪れるけれど、それまであたしは、愛し続ける。
あたしだけの、唯一の…愛すべき人を……。

 

 

2005年10月7日 Fin


あとがき

微妙に「盲目の夏魚」と内容がかぶります。あの話も永遠を信じない話です。まぁとりあえずこっちは、死を少し持ってきちゃいました。でも死は、今の姉さんにとって希望になったわけですよ。つまりは、死ぬ以外で、別れるなんてありえないって言われたようなもんですからね。自分たちを引き裂くものがあるとすれば、それは死であると。ある意味くさいですが(笑)兄さんなりの姉さんへの不安の取り除き方です。だからこそ、姉さんは希望を持てたわけで。だったら死ぬまで愛し続けるぞ!と意気込んだわけです。なので、死をテーマにもってくるなよぉと怒らないでくださいませ。希望になんです!悲しくないのです!だから一生懸命、今生きている人間であるということを強調したんですからぁ。

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