9 過去に失ったもの、今此処に在るもの たくさんのモノを…失った…。 親も、居場所も、友達も、大好きなモノも、大嫌いだったモノも、生きていくうえで、必要だったモノも、夢も、何もかも…あの日に失った…。 ただひとつ、あたし自身を残して…。 大切なモノを、すべて失って、あたしはあいつを恨んだ。 あいつに報復するために、生きてきた。 でも… 恨みを晴らしたら、何も分からなくなった…。 生きる意味も、やるべきことも…なにもかも…。 「…姉さん?どうしたの?」 「…ブルー?平気か?」 あたしはあの日、たくさんのモノを…失った…。 親も、居場所も、友達も、大好きなモノも、大嫌いだったモノも、生きていくうえで、必要だったモノも、夢も、何もかも…あの日に失った…。 ただひとつ、あたし自身を残して…。 でも、あたしは不幸だっただろうか…。 ほんとに…不幸という言葉で、まとめてしまうような、過去だっただろうか…。 「…うん、大丈夫だよっ」 たくさん、失ったけれど…たくさん…手に入れた気がする…。 「…ブルー、行こう」 仲間と共に…。 2005年10月9日 Fin
これも姉さんが一度はぶつかる壁だと思います。過去に失ったものが大きい人だと私は思うので。でも、逆に全てを奪われたからこそ、どれにも固執せずに、新しい人生をはじめられたんだと思いますけどね。もしシルバーが本当の弟だったとしたら、相当なブラコンになって大変だったりしたと思うし、物だって、そのものが捨てられず、過去にしばられた大変な子になっていたとは思います。でも何もなく、ただ自分自身だけが残ったから、姉さんは周りを受け付けられない、自分しか信じられないような子に育ったんだと思います。でもシルバーがいたから、人と歩み寄っていけるだけの力は、持ち合わせていたんじゃないかなぁと思いますけどね。その凍った心を溶かすのは兄さんで(笑)
あの日に…。
仮面の男を…。
恨んで、恨んで、憎んで。
ただ、生きたいがために、生きてきた…。
ほんとに何もかも…失った気がした…。
心配気に、シルバーがあたしの顔を覗き込む。
「へ?」
あたしは一人黙り込んでいたのか、気づけばみんなが、あたしを心配した表情で見つめていた。
「大丈夫か?疲れたか?」
心配そうに、レッドが聞く。
「大丈夫ですか?気分でも悪いんですか?」
「あ、私薬もってますよ?」
イエローとクリスが、心配そうにあたしを見る。
「腹でも減りましたか?」
「おまえじゃないだろ」
ゴールドは、これでも心配してるつもりなんだと、つい最近分かった…。
一人違う聞き方をする彼。
あたしの頭を、優しく撫でてくれる。
「…」
あたしはじっと、彼を見上げた。
一人ぼっちのあたしには、シルバーがそばにいてくれた。
人をだまして生きていたあたしには、人を大切にすることを教えてくれた仲間がいた。
こんなあたしを、愛してくれる人がいた…。
あたしは、みんなを安心させるように微笑んだ。
あの日失ったモノよりも、今、此処にあるモノの方が、かけがいのない、大事なモノなのだと…あたしは信じたい。
優しく、差し伸べられた手。
「……うん」
その手を掴み、あたしはまた1歩、歩き出していく。
昔でも今でもなく、未来へ続く、道のりを…。
大切な人と共に…。
彼と…共に…。
あとがき
兄さんは救われた部分は多いと思います。シルバーには存在に救われたと思います。シルバーがいたからこそ、今の姉さんがあるわけですし、シルバーの存在は非常に姉さんにとって大きいと思います。兄さん以上に、いなきゃいけない存在だったんだと私は思っていますけどね。姉さんを作り出していくうえで。でも所詮弟に愛は求められないし、姉は護る立場でなきゃいけなかったりするしで、どうしても超えられない壁と、どうしても抜け出せない過去とつらさと寂しさがあって。それはシルバーじゃ助け出せなくて、兄さんだったり、そのほかの仲間だったり、友達だったり。たくさんの今が、自分を支えてくれる。
たくさんの大事な今が、今の自分を歩き出させてくれる。シルバーありがとう。グリーンありがとう、みんな…ありがとう。そんな気持ちをこめて、今日も歩き出す。
みたいな感じな話なつもり。グリーンだけじゃない話ですけど、姉さんが大きくなっていけるのは絶対みんなのおかげだと私は思います。ただ兄さんがかなりでかいから、ブルグリにしたのでした。なんだろう、対比とすると、5:4:1かな?兄さん、シルバー、みんなかも(笑)シルバーと1個違いかよ!?一緒にいる時間が違いますってね。時間と愛が比例してる感じで。
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