「グリーンの馬鹿っ!!」 離さない 「…っ…グリーンの…ばかっ」 お前を、これからも何度も何度も泣かせては、傷つけていくのかもしれない。 だから、ごめん。 「…ずるい…」 言葉の続きは、俺のキスに消えていく。 ごめん。 でも… 「…好きだ…」 だから、俺はおまえを、離さない。 腕の中に納まる、小さな彼女を、さらにぎゅっと、仕舞いこんだ。 2007年10月29日 Fin
なんだか攻め兄さんを書けるようになったとたんに頭に次々と現れた作品達の1作目です。なんでこういう兄さんが生まれたかは、結局兄さんって案外姉さんが好きなんだなぁと気づいたからです。その中で、なんやかんや姉さんを怒らせては理不尽に謝る回数も多いとは思いながら、それでも嫌になれずに離せないのはこういう理由があるからじゃないと無理だよなぁって思ったらなんか兄さんが姉さんを好き過ぎてしょうがないワールドが出来上がりました。そしてこの作品の礎となったわけです。まぁこんな兄さん今まででは絶対受け入れられなかったものですが、こうやって姉さんが好きで好きでどうしようもないっていうこの状況な兄さん、いいんじゃないかなぁって思えるようになりました。なんかいろいろ熱くなれる人間なわけだし、誰よりも大切な人が姉さんっていうのはそれはそれで萌えだなぁと思います。素敵だよ兄さん。姉さんを好きな兄さんは好きかもしれません(自分勝手だ)あはは。まあいろいろあるとは思うけど、そういう好きすぎる兄さんの想いと、信じられないけど、それでも歩み寄って受け入れてくれる彼に安心感を感じて、ずっと一緒にいたいと願う姉さんとが、いつまでもいつまでも幸せに暮らしてくれればいいなぁと思います!攻め兄さんばんざーーーーーーーーーーい!
またやった。
そう思うときは、すでに遅いんだ。
ずるずると床に座り込み、泣いてるのを必死に隠すように、顔を俯かせている彼女。
「…だから、悪かったって…」
俺は彼女の前で膝を折り、優しく頭を撫でる。
「毎回毎回そうじゃん!!」
「いや…だから…ほんと…ごめん」
またこうやって傷つけて、またこうやって泣かせてる。
滅多に泣かない彼女だからこそ、泣かせるほどのことをしたんだと思うと、心臓の辺りが鷲づかみされたような痛みを、感じ続ける。
「…もう知らないっ…勝手にすればいいじゃないっ」
彼女が立ち上がり、部屋を出て行こうとする。
「…ブルーっ」
俺は彼女の腕を引っ張り、力強く自分の腕の中に仕舞いこんだ。
「…ちょっ…離して!!やだっ」
彼女は逃げるように俺の腕の中で暴れる。
「離さないっ」
俺は少し、力強く言葉を吐いた。
「っ」
彼女が一瞬ひるんで、暴れる動きを見せなくなる。
「…ごめん…」
さらに力強く彼女を抱きしめ、優しく耳元で囁いた。
「…謝っても許さないもんっ」
鼻をすするように、鼻声の小さな声が、俺の耳に届く
「…ごめん…ごめん…ほんと…ごめん」
俺は、許されないと言われながらも、謝ることをやめない。
「だからっ」
「ごめんっ」
彼女の言葉を遮るように、俺は謝罪を繰り返した。
「…っ」
彼女は言葉に詰まったように、眉間にしわを寄せる。
「…ごめん…俺…これからもこうやって…おまえを傷つけていくんだと思う…。だけど…俺は…おまえを手放す気は…ない……。だから…ごめん…」
気をつけてはいるはずなのに、気づけば、またやった、と頭を抱える。
それでも、手放せないんだ。
傷つけるんだと分かっていても、俺のせいで泣かせてるんだって分かっていても、おまえのことを考えて、手放すなんて…俺にはできないんだよ…。
先に、謝っとく。
一瞬驚いた表情をした彼女が、頬を赤く染め、視線を反らす。
「…ごめん」
俺は苦笑して、彼女の髪を撫でた。
「…知ってる?女の子はね、その人が好きであれば好きであるほど、泣くんだって」
少しまだ涙の溜まった目で俺を見上げ、苦笑にも似た笑顔を、俺に向けてくれる。
「……そうか」
俺は優しく瞼にキスをする。
涙を、拭うように。
「…だから、あたしが泣くのは、それだけあなたが好…っ」
言わなくても知ってるよ。
それでも、泣かせることに抵抗があって。
それでもおまえを、手放せないでいる俺がいる。
そう、思って止まないから…。
「……うん」
そっと俺にキスを返してくれる。
あとがき
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