渋沢さんドリーム「約束の日」
 

 

もうこんなに時は過ぎてしまったのか?

    オレの心はあの子と別れて…

          約束を交わしたあの日のまま…

 

 

約束の日

 

 

「はぁ〜あ。めんどくせ〜〜」

 そう言って三上が制服のブレザーに、
 花飾りをつけている。
 そう…
 今日は武蔵森中等部の卒業式だ。
 今日オレも三上も卒業だ。

 そういえばあの子は今日帰ってくると言っていたが…
 きっと忘れているだろうな…
 なにせ…
 小学校にも上がる前なんだから…

回想

「克朗ちゃん!」

!」

「あのね…、とおくにいっちゃうの…」

「えっ何で?」

「おとうさんのおしごとなんだって」

「そうなの…」

「でもね! ちゅうがっこうのおわりのひにもどってこれるんだって!!!」

「じゃぁその日まで待ってるよ。オレ」

「ありがとう! 克朗ちゃん! ぜったいもどってくるね!」

「約束だよ? ユビキリ」

「うん! そして…いつかはをおよめさんにしてね」

「もちろん」

回想終了

 そういえば結婚の約束までしていたな。
 きっと彼女は忘れているだろうが…
 オレはあの日の少女…
 を忘れてなんて居ないで待っている。
 約束は守るためにあるのだから。

「だいったい皆同じ高等部に行くのに卒業式なんて意味ねぇよな」

 まだ文句を言っている三上…

「少しは違う高校に行く奴らも居るだろうが」

 なんて一応釘をさしてうるささを少しだけ押さえさせて置いた。
 効果はあったらしく意味を考え出す三上。
 こんな姿を藤代に見せたいなぁと思いながら、
 オレはとの約束の日の思い出にひたっていた。

 

 

『これにより、第45回卒業証書授与式を終了致します』

 そのアナウンスが流れ…
 一人ずつ退場する。
 もちろん数が多いのでクラスの内一人ずつの単位で。
 そんな風にオレも三上もただ何となく…
 卒業式は終わった。
 在校生席にいる藤代の『ギャブデ〜ン』という叫びは、
 完全に無視して会場を出た。

 

 

「もう…こんなに時間はたっていたのか…?」
 オレは卒業式の行われた体育館から、
 真っ直ぐにとの約束の…
 桜の林に来ていた。

 そこにある木のいくつかには『』や『かつろう』の文字が
 刻まれている。
 あの頃の背比べっこのあと。
 しかしどの木も最初に書いたときよりも大きくなっていた。
 ひとまわりもふたまわりも…

 オレもあの頃よりはひとまわりもふたまわりも…
 さんまわりも大きくなっている。

 それだけの時間がいつの間にか過ぎていたのだ。
 彼女の姿がないのは至極当然のことと思いつつ、
 桜の林をオレは進んで行った。

 もしかしたら…
 1%くらいの確立に掛けて、オレは林を進んだ。

 彼女との約束の場所は一番奥の…
 一番大きな桜の木の下。

 二人で約束を交わしたあの木の下へ…

 

 

 

 彼女との約束の場所は桜が咲き乱れていた。

 桜の花吹雪は美しかった。

 そこにいる一つの陰…

 

?」

 オレはその人影に声をかける。
 短かった彼女の髪は腰までにもなるロングヘアー。
 同じくらいだった背もオレが今見下ろしている。

 そしてなにより…

「克郎ちゃん!」

 振り向いた彼女は『幼馴染の』じゃなくて…

 『一人の女性』になっていた。

 だけど振り向いた彼女の顔には…
 あの頃のあどけない笑顔が広がっていた。

!」

 オレはそのままを抱締めたい衝動を我慢して…
 名前を呼んで彼女の隣に行くだけに留める。

「大きくなったね…」

 彼女は寂しそうにそう呟く。

「さすがに小さいままではまずいだろう?」

 オレは前母に似たような事を聞かれたなぁと思い同じように返した。

「そうだね」

 と言い彼女は苦笑した。

「それに…」

 オレは彼女が昔のオレしか見ようとしてないことに気付き…

 少しきつめに抱締めた。

「克郎ちゃん?」

 彼女はオレの胸に顔をひっつけながらそう言う。
 その声もオレの耳になつかしさを与えた。

「同じくらいだったらこうは行かないだろう?」

 そう言うと彼女は少し驚いたような表情をしてから、
 安らいだような表情でオレに身をゆだねた。

「克郎ちゃん…あの日の約束覚えてる?」

 が呟くように聞いてきた。

「あの日の?」

「うん。最後の日」

「結婚しようっていう?」

 オレは少し悪戯に言う。
 案の定はぼっと一気に真っ赤になった。

「えっ! あっうん///」

 しどろもどろになっては言う。
 やはりだな。
 とオレはのんきな意見を考えた。

「少なくともまだ2年半ほど必要になるが…
 待っていてくれるか?」

 オレはさっき中学を卒業したばかりだと言うのに
 プロポーズをしている。

 彼女ははにかんだように笑い。

「もちろん待つ」

 とはっきりと言った。

 そのまま2人で抱き合ったまま少しの時が流れていく。

 ――――桜の木の下で…

        二人っきりの結婚式。

 


あとがき

 どうしてでしょう?
 卒業ネタの予定だったのに…?
 過去振り返りに?

 

渋沢「お前の文才に問題があるのだろう?」
坂本「あなたまで〜〜〜(泣き)」
渋沢「オレの存在が全然別人格だし…」
坂本「それを言ったら御仕舞です…」
渋沢「このレベルで交換を図ろうとするのか?」
坂本「したいんだからいいじゃないですか!」
渋沢「自分のレベルを知れ」
坂本「うっ!…光ちゃん予定より短くなってしまいました。すみません」
渋沢「すまなかった。こいつの文才のなさのあまり」

渋沢「結婚式は…森の中のひっそりとした教会がいいかな?」

 


坂本様にいただきました渋沢さん!!もう愛ラブ渋沢さん。ああ大好きだ。何年たっても待っていてくださるその精神。大好きさ(は?)
今回は卒業式にと私に送ってくださいました。交換企画なのでさっさか交換物を返さなきゃいけないのですが、なにぶん〆切だ卒業式だ髪の毛切りだ名古屋行きだと忙しく、どうにもできませんでした。お許しください。
なんだか、文章から背景がよみとれて、桜吹雪の中、あの人に会えたらいいなーなんて夢を見て見たり。あはは。本当にどうもありがとうございました。お待たせしたぶん頑張るでっす!ファイヤー(は?)
ってか、最後の言葉に撃沈した。結婚式なんてしなくてもいいからあなたと一緒にいたいです(阿呆)

俊宇 光