もうこんなに時は過ぎてしまったのか? オレの心はあの子と別れて… 約束を交わしたあの日のまま…
約束の日
「はぁ〜あ。めんどくせ〜〜」 そう言って三上が制服のブレザーに、 そういえばあの子は今日帰ってくると言っていたが… 回想 「克朗ちゃん!」 「!」 「あのね…、とおくにいっちゃうの…」 「えっ何で?」 「おとうさんのおしごとなんだって」 「そうなの…」 「でもね! ちゅうがっこうのおわりのひにもどってこれるんだって!!!」 「じゃぁその日まで待ってるよ。オレ」 「ありがとう! 克朗ちゃん! ぜったいもどってくるね!」 「約束だよ? ユビキリ」 「うん! そして…いつかはをおよめさんにしてね」 「もちろん」 回想終了 そういえば結婚の約束までしていたな。 「だいったい皆同じ高等部に行くのに卒業式なんて意味ねぇよな」 まだ文句を言っている三上… 「少しは違う高校に行く奴らも居るだろうが」 なんて一応釘をさしてうるささを少しだけ押さえさせて置いた。
『これにより、第45回卒業証書授与式を終了致します』 そのアナウンスが流れ…
「もう…こんなに時間はたっていたのか…?」 そこにある木のいくつかには『』や『かつろう』の文字が オレもあの頃よりはひとまわりもふたまわりも… それだけの時間がいつの間にか過ぎていたのだ。 もしかしたら… 彼女との約束の場所は一番奥の… 二人で約束を交わしたあの木の下へ…
彼女との約束の場所は桜が咲き乱れていた。 桜の花吹雪は美しかった。 そこにいる一つの陰…
「?」 オレはその人影に声をかける。 そしてなにより… 「克郎ちゃん!」 振り向いた彼女は『幼馴染の』じゃなくて… 『一人の女性』になっていた。 だけど振り向いた彼女の顔には… 「!」 オレはそのままを抱締めたい衝動を我慢して… 「大きくなったね…」 彼女は寂しそうにそう呟く。 「さすがに小さいままではまずいだろう?」 オレは前母に似たような事を聞かれたなぁと思い同じように返した。 「そうだね」 と言い彼女は苦笑した。 「それに…」 オレは彼女が昔のオレしか見ようとしてないことに気付き… 少しきつめに抱締めた。 「克郎ちゃん?」 彼女はオレの胸に顔をひっつけながらそう言う。 「同じくらいだったらこうは行かないだろう?」 そう言うと彼女は少し驚いたような表情をしてから、 「克郎ちゃん…あの日の約束覚えてる?」 が呟くように聞いてきた。 「あの日の?」 「うん。最後の日」 「結婚しようっていう?」 オレは少し悪戯に言う。 「えっ! あっうん///」 しどろもどろになっては言う。 「少なくともまだ2年半ほど必要になるが… オレはさっき中学を卒業したばかりだと言うのに 彼女ははにかんだように笑い。 「もちろん待つ」 とはっきりと言った。 そのまま2人で抱き合ったまま少しの時が流れていく。 ――――桜の木の下で… 二人っきりの結婚式。
あとがき どうしてでしょう?
渋沢「お前の文才に問題があるのだろう?」 渋沢「結婚式は…森の中のひっそりとした教会がいいかな?」
俊宇 光 |