翼ドリーム「天使の涙」
 

 

ったく…

 

 

    いい加減にしてくれない?

 

 

             オレはミーハーなんて嫌いなんだけど?

 

 

 

 

天使の涙

 

 

 

 

「キャーvvv 翼くぅ〜んvVvVv」

「あ〜んvvv 何処行ったの〜んvvv」

「翼くぅ〜んvvv 受け取って〜vvv」

 

 

 さて質問です。

 今日は何の日でしょう?

 A バレンタイン

 B ケビン大統領暗殺の日

 C オレの誕生日

 D 建国記念日

 

 

 正解は…C

 

 

 次の問題です。

 オレは今何してるでしょう?

 A 廊下走り

 B 部活

 C 女からプレゼントを受け取る

 D ある教室に隠れてる

 

 

 正解はDでした。

 

 

 

 

 …いい加減にしてよね?

 オレはいい迷惑だって。

 キャーキャーわめいて、

 ハートマーク山のようにつけて…

 あげくの果てには全く持って必要のないプレゼントを持って、

 このボクを追い掛け回すなんてさ。

 

 

 さすがのボクも100人は裕に超す女から逃げ続けてしんどいから、

 空き教室なんかに隠れてんだけどさ…埃臭い。

 此処に掃除当番はいないわけ?

 これだけ汚れてるから居ないかサボってるな。

 いないとしたらセンコー何考えてるわけ?

 何も考えてないな。

 サボってるとしたら何でサボるわけ?

 メンドイっていうくだらない理由だね。

 

 

 なんでかしらないけどくだらない自問自答していたら、

 

 

 ―――目の前にちびっこい女子が居た。

 

 

 そりゃぁオレも人の事言えないけど…

 オレよか5cmは低いな。

 ホントに中学生?

 

 

「椎名 翼先輩ですよね???」

 

 

 そう言ってキョトンと目の前の奴は、

 首をかしげた。

 

 

 …案外カワイくない?

 

 

 驚きだね。

 オレにこうまで思わせる奴がこの世界にいるなんて。

 ホント言わせるだけあって…

 見た目はオレの最も嫌いなミーハーっ子じゃない。

 校則どうり背中まである髪はしっかりくびられてる。

 同じく校則どうりの膝下スカート。

 

 

 そんな生真面目な見た目もあるんだけど…

 すっごくカワイイ系の容姿。

 桃色の唇。

 大きな目。

 ほんのりと色の付いた頬。

 天使見たいってこんな子を言うんだな…とほとほと感心してしまった。

 

 

 

 

 まぁそんなことはいい。

 この女もオレを追いかけてきたミーハーっ子な訳???

 だとしたらまた逃げなきゃ…

 はぁ…

 そんなことは無い事を祈るよ。

 

 

「椎名先輩ですよね???」

 

 

「だから何? また追っかけだったら怒るよ?」

 

 

 率直に怒ったように言う。

 

 

 すると彼女は怒ったように頬を膨らませて…

 って言っても怖くないし…むしろカワイイ…

 

 

「そんな訳ないじゃないですか! 私はただお兄ちゃんから荷物を授かってきただけですよ!」

 

 

「は?」

 

 

 彼女が言った言葉はオレが全く予想もしなかった言葉だった。

 お兄ちゃん?

 荷物???

 

 

「黒川 柾輝の妹の黒川 です。授かってきた理由は自分が行くと椎名先輩の居所がバレるからだそうです」

 

 

 マサキ???

 はぁ…アイツ…余計な心配を…

 ついでにいうなら何で妹がいること黙ってたんだ?

 マジ似てねぇな…色白いしこのコ。

 …って言うか、

 

 

「荷物って何?」

 

 

 わざわざあのマサキが妹使うなんて珍しい。

 っていうか今まで妹隠してきたんなら、

 見せたくなかったからだろう?

 それを何でまた…

 

 

「お弁当です。椎名先輩の」

 

 

 そう言って彼女が掲げた袋は…

 茶色の包みの…間違いなくオレが教室に置き忘れてきた弁当。

 

 

「とりあえず…サンキュ」

 

 

 とりあえず礼は言う。

 何でって?

 だってせっかくの短い短い昼休みをオレのためについやしてくれたんだぜ?

 少しは礼を言わないとオレの名がすたる。

 

 

「いえいえ! 構いませんよ! 意地悪お兄ちゃんの御言いつけですし!」

 

 

 まさかオレに礼を言われるだなんて思っていなかったらしい。

 かなり慌てて弁論する。

 やっぱりマサキ…シスコンだったか…

 あぁいうタイプは好きな子をいじめたくなるタイプなんだ…

 まぁ悪いけど…この子はオレが貰うから(ニヤリ)

 

 

「お前、何処で飯食うの?」

 

 

 意外なことに彼女は赤い…弁当箱も持っていた。

 やっぱり弁当も食わず探してくれていたんだ。

 

 

 そう思うと胸のどこか…奥深い所が暖かくなった。

 今まで感じた事がないもの。

 

 

 ――――これが恋なんだ…

 

 

 初めて気付いた感情。

 この天使みたいな子にオレは恋した?

 好きなんだ…

 そんな思いはふつふつと浮き上がってくる。

 

 

「椎名さんと一緒に」

 

 

 そう言って照れくさそうに微笑む彼女。

 …それって期待していいの?

 

 

「あっ! 嫌だったらどっか行きますから!!!」

 

 

 オレの沈黙を嫌がっていると勘違いしたらしくオロオロしている

 ホントにカワイイな…

 

 

「そんなことないよ。それに今出て行かれると逆に迷惑」

 

 

 どうしてオレこんなに素直じゃないんだろう?

 単純に一緒に食べたいって言えばいいのにさ。

 こんな憎まれ口なんて叩いちゃって…

 ホンット…不器用だよな。

 

 

「そうですか? …じゃぁご一緒させて頂きますねv」

 

 

 微笑む彼女…

 オレは本当に胸が熱くなった。

 まだ会って間もないのに…

 

 ―――こんなにもが愛しい。

 

 

 

 

 そんな風にして…

 実は初めて女と二人での食事。

 いつもはそんなに味のしない弁当も、

 彼女と…と食べるとかなり美味い。

 

 

「そうでした! 椎名さんお誕生日おめでとうございます!」

 

 

 たわいも無い話をしていて、

 ちょっと会話の途切れた時に彼女は言った。

 オレはちょうど、たこウインナー(母さんの好み)を口の前に持ってきたところだった。

 

 

「まぁありがとう」

 

 

 オレは嬉しかった。

 ミーハーっ子達に何言われても嬉しくなかったのに…

 こんなありふれた言葉のほうが嬉しい。

 それは彼女が言ったから。

 それに気付くのに時間は要らなかった。

 

 

「にしてもあの子達すごいですよね〜」

 

 

 その言葉にオレはついぴくっと反応を示してしまった。

 せっかくこんないい雰囲気なのに…

 オレはどちらかというと女のほうが思いそうなことを考える。

 

 

「だから? あんな奴らに祝われても全くもって嬉しくなんか無いんだけど?」

 

 

 本当にそれしか言いようが無いよ。

 オレはミーハーっ子は世界で二番目に嫌いだからね。

 一番はお山の大将。

 

 

「どうしてですか?」

 

 

 彼女は突然怒った様な反応を示す。

 オレ…何か気に障るようなことでも言った?

 

 

「何って…ハァ、あんな風にキャーキャー言われて誰が嬉しいわけ?

 オレ騒がしいの嫌いなんだけど?

 大体オレは嫌いな物ランキングベスト10に入るくらいミーハーっ子が嫌いなわけ!」

 

 

 ヤベ…っ!

 ついマシンガン出ちゃった。

 どうしよう? 今にも泣き出しそうな顔してんですけど、

 

 

「そんな子ばっかりじゃないですよ…っ!

 ずっと椎名先輩に憧れていて…

 やっと勇気を出した子だって居ると思います!

 だから…だからっ…そんな風に言わないで下さいっ!」

 

 

 顔を俯けて…声を荒げて言う

 彼女の膝にぽとぽとと落ちてくる綺麗な涙。

 そんな彼女を見てオレは胸が痛んだ。

 杭を打たれたかのように…

 

 

「そんなの椎名先輩らしくないっ!

 椎名先輩は綺麗に笑ってるんじゃないですか!

 誰よりも綺麗に…っ!

 そりゃぁ椎名先輩の大好きなサッカーの邪魔みたくしてる彼女達も悪いです。

 だけど…それぐらい椎名先輩を好きなんじゃないですか?!」

 

 

 顔を上げてそう訴える彼女…

 その頬には綺麗な涙が伝っている…

 綺麗な…涙が。

 

 

 …こんなに綺麗な涙を流せる奴なんて居ないと思ってた。

 天使の涙だよな。

 

 知ってる? 

 天気雨って天使の涙なんだって。

 普通の雨と違って綺麗なのは、

 天使の涙だから。

 それで使いまわしで汚くしてしまった水を浄化するって言われてるんだ。

 

 

 この涙は正にそれ?

 ホントに綺麗。

 最近ずっと落ち着いた時間が無くて…

 疲れきったオレの心を浄化してくれてるみたい。

 泣かせといて癒されるなんて僕って鬼畜?(苦笑)

 

 

「そっか…悪かったよ。最近忙しくてオレ、ピリピリしてたからさ」

 

 

 の頭を撫でながら言う。

 そうするとは首を持ち上げて真っ直ぐにオレの顔を見た。

 綺麗な…真っ直ぐな瞳でじっと。

 

 

「そんな椎名先輩が一番素敵ですよ」

 

 

 彼女は恥らい無く言った。

 天使が舞い降りた?

 そう錯覚するほどに清楚な…

 ほっとするような…

 そんな風に彼女は…は微笑んだ。

 目じりにほんのりと涙を残し、

 さっきまで泣いていたから少し上気した顔。

 そんな彼女がたまらなく愛しくて…

 

 彼女に口付けた。

 

 

 

 

 と言ってもほんの少し触れるだけ。

 コンマ1秒間だけ。

 それでもも…オレも真っ赤になって俯いている。

 

 

「好きだ」

 

 オレが呟くように…

 でもしっかりと彼女の顔を見て言った。

 しかし彼女は顔を上げようとしない。

 やっぱりだめかぁ…と、ため息をつこうとした時…

 

 

「ずっと見てました。椎名先輩の事」

 

 

 彼女は俯いたまま言った。

 それでもこもっていないはっきりとした声。

 それって…?

 

 

「お兄ちゃんは来ちゃダメって言ってたけど…

 こっそりフットサルや試合を見に行ってました。

 ずっと…憧れていたんです。

 椎名先輩に…」

 

 

 次の瞬間にはオレは彼女を抱きしめていた。

 

 

「椎名先輩///」

 

 

 彼女は顔を赤らめる。

 やっぱりカワイイな…とまた心の中だけで言った。

 

 

「好き? オレの事?」

 

 

 訊ねるようにオレは言う。

 

 

「大好きです///」

 

 

 そう言った彼女の頬もすごく赤かったけど…

 きっとオレの方が赤かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ねぇ…僕だけの天使?

 君の涙は綺麗だね?

 それでも僕は笑顔の君が好きだよ?

 そっちのほうがたまらなく愛しいから。

 

 


あとがき

あはははは(めっちゃ乾いた微笑み)

なんでだろう?(踊る)

まぁまとりあえず翼さんのひとめぼれ&天使見たいな子の

話を書きたかった…

 

 

翼  「これ何?」

あかり「ドリ」

翼  「どこが?」

あかり「ここが」

翼  「全然解ってないね、オレを」

あかり「悪かったね」

 

受け流すをあかりは覚えた『ピロロ〜ン』

 

翼「まっ、はオレだけの天使ってことでv」

 


坂本様にいただきました翼さんです。いつまでもアップしないですいませんでした。けっして駄目だとか、悪いとか、返品するつもりだったとかそういうわけじゃないんです。忘れてました(泣)すいません。この頃メールの整理をぜんぜんしてないあげく返事を返してないんですっこり忘れてました。すいませんすいませんすいません。はぐぅ。本当にごめんなさい!!!!本当にすいませんでした。ああああ。翼さんの誕生日用だったのに。えれー時間がすぎてしまった。すいません。切腹物。がふん。
天使ということで、可愛らしいヒロインの登場にお姉さんは萌え萌えです(死ね)あかりちゃんが可愛い。ありがとうございました。きっと本物のあかりちゃんも天使みたいに可愛いんだろうな〜(はふ〜ん)本当に毎回どうもありがとうございました。渋沢さんも一緒に更新いたしました!本当にどうもありがとうございました。

俊宇 光