意地悪王子様
「はぁ……」
今日は私の誕生日です。
昨日大ゲンカをした私達なんですが…多分今日は仲直りできるはず!
そう思いながらもサッカー部の部室まで歩いて行く。
角を曲がれば部室…とゆうとこまで来ると、話し声が聞こえてくる。
「さんと…かぁ」
風祭くん?私の話…?
「なんでシゲさんはそんなに怒りっぽいかなぁ」
え?シゲと話してるの??
思わず私はその場で会話を盗み聞きする。
「うっさいわポチ!いーかげん愛想が尽きてきてるんや」
「…そんな事…ないよね?シゲさんはさんの事大好きって言ってたじゃん」
「昔の話やろ」
「嘘だ。今でも好きなんでしょ?何で謝らないの?」
「うっさいわ!!もうあないな奴好きとも思っとらん!!」
……その瞬間何かが音を立てて崩れた。
ショックで手に持っていたカバンを落とす。
ドサッ
音が出て
「誰や!?」
とゆう声がする。
私はその場から走って逃げた。
多分シゲが見つけてしまう。
今はシゲと話したくない…。
自然と涙がこぼれる。
もう駄目なのかもしれない…。
そう思った瞬間、
肩を掴まれ、振り向くと息を切らせたシゲが立っていた。
「お前…」
「うるさい!シゲはもう私の事嫌いなんでしょ?話しかけないで!!」
何か言われる前にそう言い捨ててそのまま走って行った。
…シゲは追ってこなかった。
当たり前なんだけど悲しくて、私は屋上に行って泣いた。
(やっぱりシゲは…もう私の事…嫌いだったんだ…)
「バカ…」
そう呟いて涙を拭くと、急に扉が開き、知らない男子生徒が立っていた。
「あの…」
明らかに私の方を見て言っていたので、
「はい?」
と返事をする。
すると、
「 …さんです…よね?」
緊張した声で訪ねれる。
「はい…そうですけど…」
私は相手を知らないのに、なんで私の名前を知っているのか疑問に思いながらも答えた。
「あの…ずっと前から……………好きだったんです…つ…付き合って…くれませんか…?」
頭の中が真っ白になる。
びっくりした。
でも…
「ご…ごめんなさい…私…あなたの事よく知らないから…」
“好き人がいる”とは言わなかった。
今分からないから…いいよね…。
「あのっ…じゃあ…今から遊びません…?」
少し控えめに言われる。
どうしよう…。この人本気なんだ。
私がシゲに本気だった様に…。
そう思うと悲しくなる。
…この悲しさを紛らわせるのもいいかも…。
そう考え、私は頷く。
すると彼は嬉しそうに笑い、私の手を握り
「じゃあ行きましょう」
と言った。
私は握られた手に赤面しつつも、冷静に質問する。
「あ、あの、あなたの名前は…?」
そう言った瞬間、屋上の扉が開いた。
そこにいた人を見て私は硬直した。
金の髪、勝ち気な目、トレードマークのバンダナにネックレス…。
シゲだった…。
凍りついている私の方にシゲはずかずかと近付いてきて、繋がれた手を無理矢理自分の方に繋ぎ直させ、呆気にとられている彼の胸ぐらを掴み、怒った声で喋る。
「は俺の彼女や!手ぇ出すんじゃねぇ!!」
言い終えたシゲは私を引っ張り、その場を離れた。
「…ちょっと…何…?」
何も言わずずっと歩くシゲに質問するが何も答えてくれない。
「何か言いなさいよ!」
そう言った瞬間、私は手首を壁に押さえつけられて。
びっくりした表情を浮かべ、シゲを見ると、今まで見たことのない怒りとは違う表情…
「俺は離さなへんよ!!どんだけの事想っると思っとんの!絶対離さなへん!」
必死な想い、シゲは私の肩に顔を置く。
いつも強気なシゲが見せるもろさ。
私の心に、またシゲへの愛しさが込み上げてくる…。
「シゲ…、泣いてる…?」
肩にあるシゲの頭を優しくなで、聞く。
「泣いとらへんよ」
頭を上げずに言うシゲが可愛い。
やっぱり私はこの人が好きなのだ。
「シゲー、また付き合おっか」
えへっと笑い言うと、
「…別れた事無いやんか」
ムスッとした声が聞こえる。
私は思わず吹き出してしまう。
(な…なんかシゲが可愛い…)
「なんや、笑うことあらへんやろ!」
少し照れ気味な表情が私の目に映る。
くすっと優しく笑い、シゲにキスをした。
「大好きよ、シゲ」
と言い、シゲを抱きしめる。
すると体を離され、真剣な表情でシゲが言う。
「大好きやで、…、愛してる…」
そして口づけられ、抱きしめられた。
シゲの温もりが体中に染み渡って心地良い…。
「せや…どっか行こか、飯食いに」
抱きしめられたまま言われ、私は目を閉じたまま。
「うん」
と言った。
幸せ…。
愛が溢れてくる感じがする…。
「あ、そーだ、…、そのまま目つぶっててくれへん?」
そのまま、体が離れ、何かがさごそと音がするのを疑問に思いながらも、目をつぶりながら待つと、手を掴まれ、何か冷たい感触が指に来る。
「もうええよ」
シゲの声に目を開け、自分の手を見ると左手の薬指にシルバーのリングがはめられていた。
「ハッピーバースデー、…」
そのまま手に口付けられて、赤面してしまう。
だってこの構図…
私が姫でシゲが王子で…
プロポーズされてるみたい…////
「どうしたん?まーた赤いでー、顔」
苦笑いを含んだ笑顔でシゲが言う。
顔を赤くしたまま、
「シゲって…なんでこんな恥ずかしい事するのかなー…って思って…」
言ってる自分がさらに恥ずかしくて語尾がどんどん小さくなる。
本当は嬉しいとかありがとうとか言いたいはずなのに…。
恥ずかしさに負けて出てこないよ…。
私の言った言葉に、シゲは、しばらくキョトーンとしていたが、笑って
「そんなの、の照れとる表情が可愛いからに決まっとるやろーが…」
と言い、額にキスをして、指輪のはめられた左手を取り、
「さ、行こか、いつまでもこんなとこじゃ目立つしな」
そう言われ、はっと気付く。
学校の廊下よね、ここ…。
「……////シゲのバカァーーーーーーー!!」
私の怒鳴り声が校内に響く。
こんな恥ずかしい事を…校内で…っ!
恥ずかしさのあまり涙ぐみながら校舎から出ようと早歩きする。
「な…なんや、別にええやん。ここあんま人こないし…ってお前泣くなや、マジでっ。なぁーーーーー!」
2人、校内にいろいろなうわさをまきちらしながらも食事をしに行きましたとさ。
−end−
あーーーーーーーーーーーーーー。シリアスに弱い。シリアスって必然的に甘くなるから大好きです。このごろ甘いの読みたーいと愚痴ってたところ、これを読んで満足。まじで満たされたって気分でしたね。あああ甘い、甘い。そして泣きそうなくらいにシリアス。授業中に読んでてやばかったですね。まじで泣きそうだった。そしてラブラブ発生!!きゃーーーーー指輪!!指輪ですよ!!きゃーーーー。私渋沢さんにももらったし、黒川もくれるっぽいし。きゃーーーーーたまらんです。うひゃひゃ。じつは誕生日にとRALUKU様からはイラストも頂いていて、まじでサンキューサンキューです。あーもういたれりつくせり?きゃーーー。
そういえば、いったい何でケンカしたんでしょうね。うむ謎です。そういえばこれのイメージイラスト?みたいなのを落書き風で頂いています。クリック。
そういえば、これのヒロインはきみにために…のヒロインさんと同じです。
本当にわざわざありがとうございました。RALUKU様!!まじでサンキューーーーーー。
俊宇 光
|