いつまでも、どんな時でも
いつまでも一緒、ずっと一緒にいられるって思ってた
どんな時でも、いつまでも…
それは二日前、突然の出来事だった。
めずらしいシゲからのデートのお誘い、
何も知らない私ははしゃいでいて、笑顔を見せるシゲと笑いあっていた。
シゲが時折見せていた悲しい表情にも全く気付かずに…。
「楽しかったね〜!今日の映画もさ、前からずっと見たくてさ〜」
楽しそうな表情で話す私。
そのままシゲのほうを振りかえると、ボーっとこっちを見ているシゲと目が合う。
「…どうしたの?元気ない?」
心配そうに顔を覗きこむ、
するとシゲはそのまま私を引き寄せキスをした。
「???し…シゲ……?」
相変わらずワケのわからない行動に出られておもわず動揺する。
シゲは私の話しを全く聞いていないのか、何も言わず、ただ私の髪を撫でていた。
「シゲ…?なんか変だよ…?」
私の言葉にシゲの手の動きがぴたっと止まる。
そしていとおしげに私の頬に手をやり、また口付け、こう言った。
「………これで最後や、こうしてキスできんのも…に触れるのも…、これで最後」
『最後』一瞬聞き間違いかと思ったが、シゲの目を見て本当だと言う事を悟る。
「…なん…で…?」
途切れ途切れ、紡いだ一言。自分の今の気持ち全て入った言葉…。
シゲは寂しそうな目で私を見る。
そして口を開きこう言った。
「大阪戻る事になったんよ…、おかん具合悪いみたいでな、転校までする事になってもうた…」
私はシゲの話しを頷きながら必死に聞く。
「と離れたないとも思う、せやけど…おかんは心配や、だからといって…を連れてくわけにもいかへん…。でも…離れても…この恋愛続けられる自信俺にはない、だから…別れよう、………別れたい…」
シゲの言葉に暫し呆然とする。
『別れたい』なんて言葉聞くことになるなんて思わなかった。
別に私達が別れるはずないもの、なんてすごい自信からそう思っていたわけではなかった。
ただひたすらシゲとの時間を過ごしてきただけ…。
「………シゲは…後悔しない?こんな形で終わって……後悔しない…?」
少しの希望を知らず知らずのうちに言葉に詰めて、シゲに話す。
シゲは少し俯いた後、顔を上げて微笑み。
「せえへんよ、もう…考えに考えて出した答えなんや、迷いも後悔もあらへん」
と言った。
シゲの微笑みが痛かった。
それから数日後、シゲは大阪へ帰っていった、
私は見送りには行かず
飛行機は彼方の方向に去っていった。
数ヶ月後 ―大阪―
シゲは生まれ育った地元にいた。
今ではおかんも回復して、順調に来ている。
ただ一人、シゲ本人を除いて…。
「あ〜…暇や…」
サッカーゴールだけを相手に練習をするのに飽きたシゲはぼやいていた。
毎日がつまらない。
選抜で会った強い奴らとはことごとく家が遠く、いつも一人で練習だ。
最初は一人だって練習はできる!と意気込んでいたものの、毎日続くとさすがに飽きる。
地面にねっころがり空を見る。
相変わらずの綺麗な空だった。
そこへ一人の少女がやってきた、
「お疲れかいな?」
ふと目線を少女の方にやると、シゲは驚いた。
「……?」
似ている、他人の空似とはわかっていても、そう呼んでしまった。
そんなシゲに少女は答える
「私はなんて名前じゃないよ、裕ってゆうんや、よろしゅうな♪」
関西弁で喋る、なんとも奇妙な感覚だ。
その後裕と数時間も話し、色々なことがわかった。
見かけだけでなく中身もに似ている事。
話しているとと一緒にいる感じがする。
話しているだけで癒されていく…。
―東京―
シゲと別れ、私にはいつもの日常が戻っては来なかった
日常の何かがぽっかりと空いたまま、
それが何なのか手探りで探す、
…今の私に足りないものなんて、一つしかないのだ。
ただ一つシゲしかいない。
―大阪―
あの後何週間か、連続で裕はシゲの練習場にきた。
…実は何回か見かけていたらしい。
気になって毎日見ていたら、あの日は休んでいて、どうしたのかと声をかけたらしいのだ。
まあどんな経緯であれ、シゲと裕は出会った。
シゲにとっては毎日が楽しく感じられる裕の存在は、日に日に大きくなっていった。
しかし、それでも胸のもやは消えなかった。
ある日、珍しく早く家に帰っていたシゲは困っていた。
おかんがいなく、親父もいない。
つまり自炊だ。
作るのは問題ない、昔から作りなれている。
しかし毎回悩むのは作るものである。
(こーゆう時に限ってだーれもおらへんのや…)
でもいたらここに呼んで、何が食いたいか聞くのに。
ふいに口をついて出てきた言葉に一瞬思考回路がストップし、それから呆れたように自分の頭をかく。
「あかんなあ…」
はもういないのだ、
でも
ここにいたら、
あれがだったら…
自分の中のを、消せなかった。
裕の存在でも消せなかった、
それほど自分の中にがいたなんて思わなかった。
遠くに離れて、また自分の好みの女が近くにいれば忘れられると、本気で思っていた。
それはだって同じなんだと。
―東京―
同じ頃、私はシゲの家の前まで来ていた、
別に何もないのに足がこっちへ来てしまったのだ。
(こんなに未練があって、まだシゲのことを好きでも…)
シゲは来ない、こんな私の気持ちをシゲはわからない。
遠くにいるのだ。
死んでもいないのに
同じ世界、同じ星の下、同じ日本とゆう国に住んでいるのに。
まるでもう一生会えないかのような喪失感
離れてみて、やっとわかったのだ、
あの人の大切さも、愛しさも。
でも、それすら、もう無意味なんだ…
―大阪―
久々に来た練習場でシゲは裕に再会していた。
「なあなあシゲ?今まで何しとったん?結構心配しとったんよ?」
休憩しているシゲに裕は言った、
シゲは裕を一旦見てから、視線を外し、口を開く
「遠くに手放した女の事を考えとったんよ」
シゲの言葉に裕はびっくりした様子だった。
「シゲ…好きな人おるん?」
裕の質問にシゲは声のトーンを変えずに答える
「おるよ。遠〜〜く離れたとこにおる。」
座っているシゲの隣に裕は座り、シゲと反対方向を向いた。
その表情は、何か全てを悟った切ない表情にとれる。
「遠くなのに…忘れられへんの?」
裕の方からじゃシゲの表情は見えない、それをいい事に、シゲは涙を一粒零す。
「遠くだから忘れられへんのや…」
姿が見えないから思い出し、
声が聞こえないからまた会いたいと思う。
そして…表情だって、行動だって、何もわからないから
忘れ去られるであろう自分の存在に
切なさを募らすのだ
証拠に、今の自分はを求めてやまない。
今すぐに、かっさらって来たい衝動にかられる…
裕は何も言わなかった。
言葉の代わりに、シゲに抱きついた
「負けないで、応援するいつまでも味方や、大好きなシゲの、味方でおるけえ、ちゃんとケリ付けてきい…、でないと私が許さんよ、そんな気持ちでうちの隣でおられたら困るもん…」
シゲは裕の腕に触れ、言った
「すまんな…裕」
そしてそのまま裕を見ず去っていった。
後に一筋の涙を零す裕を置いて…。
―東京―
学校が終わり、部活動が始まる時間、
私は外からシゲのいないグランドを見ていた。
いつもいた金髪の、嫌でも目立つ少年はもういないのだ。
いつも、どう言い聞かせても
まだ現実を受け止められないココロ。
もう限界だった。
生きてる意味って何…?
自分の大切な、一生で一人だけの人。
あの人がいない私の人生は、どう転んでも不幸なのだ。
そんなマイナスな思考が、頭に住み着いて離れない。
とっさに走りだし、気づくとまたシゲの家の前にいた。
…ほら、こんなにも自分の中にはシゲがいる。
(もう泣きたい…)
ここで待ったって、シゲが出て来る事はない。
もう諦めなきゃいけないのだ、
何回も言い聞かせたコトバ
それでも諦められないこの気持ちはどうしたらよい?
「……シゲ…………」
今にも泣きそうだったその時、家の扉が開いて、大声が飛びこんできた。
「あーーもう!わかったちゅーの!おかんにも詫び入れとくから、それで文句ないやろ?!」
聞こえてきた声に思わず顔を上げる。
家の玄関から出てきたのは、綺麗な金髪の少年。
「しげ…?」
見間違いかと思い小声で言う、
しかしあんなに会いたかった人を見間違えるわけがない!
次の瞬間私は嬉しさのあまり大声で叫んでいた。
「シゲ!!!」
泣きそうな自分を必死に我慢させたから声が少し震えてへんだった。
シゲは私の声に驚いたのかすぐにこっちを向いた。
「?!」
そう言って、シゲは駆け寄り、私を抱きしめた。
そして今にも消えそうな声で
「会いたかった…」
と呟いた。
そんなシゲの言葉に私はこらえていた涙を流す。
「…なんで…シゲがここにいるのぉ…?」
「……わい…嘘ついたんや。」
私の質問にシゲは明らかに答えていなかったが、私はシゲの話しを聞きたかった。
「嘘って…?」
抱きついたまま話す、シゲは私のことを強く抱きしめて、言葉を発した。
「…離れる時…『後悔はない』って言ったやろ…?」
シゲの言葉に私は頷く
「ホントは後悔でいっぱいやった…」
肩の辺りに水の気配を感じた、何かわからなかったが、すぐにシゲが泣いているのだと気付く。
その涙と、言葉で、何もかもわかった
シゲも同じ答えにたどり着いたのだ。
通る道は違ったが、お互いが『自分の生きる意味』だとゆうことに。
嬉しくて思わずシゲを抱きしめる手に力がこもる
「大好き…シゲ大好き…!」
「俺もや、が大好き…もう離さん…絶対離さん…」
そういい、シゲは一旦私の身体を離す、そして私の顔を見つめ、こう言った
「っちゅー人に…心の底から惚れました…」
一旦間を置いて少し照れ気味に言葉を続ける
「お前を俺のもんにしたい、誰にも渡したくない、せやから…
付き合ってもらえますか…?」
シゲの告白、私は顔を真っ赤にして頷き、シゲにキスをする
「…前と…立場逆になったね♪」
最初は私が告白する方だったのに
シゲに告白されるなんてなんかちょっと違和感がある。
「…うるさいわ…こっちかて結構恥ずかしいんやからな…」
少し赤くなるシゲ、思わず
「…可愛い…」
といって笑ってしまう
ところがシゲは気に入らなかったらしい、なんか嫌な目で見てる…
「…そないなことゆうんはこの口かー?」
「いひゃいいひゃい!」
遠慮なしに私の口を広げてくるシゲに必死で抵抗する
そんな様子をみたシゲはくつくつ笑って手をぱっと離しそっと私に口付ける。
「あんまり可愛いと虐めてまうで?」
悪戯な笑みで迫られ、少しなきが入りそうになった瞬間
ゴ−ンとゆう鈍い音と共にシゲの頭が私の額にあたる
「いった…」
二人で頭を押さえると背後から怒鳴り声が聞こえる
「シゲ!いちゃついてないでさっさと買い物行って来い!」
その声にシゲが呟く
「ええとこやったんに水差おって…あんのジジイ…」
額には怒りマーク、迫られた体制のままな私はどうしようか迷ってたら、シゲが抱き寄せてくれる
「…買い物付きおうてくれる?デートはまだできんから…かわりっちゃなんやけどな」
その言葉に私は頷きえへへっと笑う
シゲも微笑み、歩き出す。
途中手をつなぎ、久しぶりの温もりに私は幸せをかみしめた。
ばかーーーーーーーーーーーーーーーー!!もう!!あれだけ書けてて気にくわないってどうなのよ!!!くら当人は納得いってないみたいですが、ここまで書ければいいじゃないのさ!!!あああ。
あああもう!!あの最後のシゲさんの台詞!!最高です!!「っちゅー人に…心の底から惚れました…」って台詞。あーもう。あーーー。
RALUKU様の素晴らしい美声で言われてみたい!!(惚)まじ惚れますよシゲさん!!っていうか泣くし!!泣く!!いいよー。男が女のことで泣く!ってのがドリームとしてたまらないっすよね。まじで。ああ。
本当にありがとうです。これからもばしばし書いてくれる見たい出来たい大です。
そういやこのドリームの題名を付けさせていただいたんです。「いつまでも、どんな時でも」ですが、続く言葉は「あなたを思う」ですかね?あーもう自分相当な乙女バカ!!っすね。ああごめんなさい。
本当にありがとうございました。
俊宇 光
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