三上ドリーム「初恋。」
 

 

    あなたの初恋はいつですか?

    私は中学校の入学式のときでした

    気怠そうに椅子に腰掛けていたあの人を見た時から

    私の心はあの人のものになりました

    3年間同じクラスで たぶん女子の中では一番仲の良い友達でしょう

    今までも これからも…

    きっと変わらず 私はあなたを好きでいるでしょう

    いろんなあなたを知るたびに

    いろんなあなたに恋をして

 

           初恋。

 

 平日の放課後、18時過ぎ。
 校舎の中はオケ部の楽器の音が鳴り響き、体育館からはかすかにドリブルの音が聞こえてくる。
 そして当然グラウンドからは大好きなあの人がいるサッカー部の掛け声が。

 そんな中、私は1人校舎内を走っていた。

 いや別に部活じゃないのよ?
 ただちょっと、明日提出の数学のレポートを忘れただけ。

 

 ガラッ。

 

 あれ?

 

「三上?」

 

 教室のドアを開けたら、サッカー部の司令塔様、そして私の片想いの相手の三上がいた。 
 自分の席に座り、ただひたすらに前を見つめていた。

 そして…

 普段は決して揺らぐことの無いその瞳には

 涙があった…。

 男の人の涙を見たのは初めてだった。
 三上の流す涙はとても純粋で綺麗だった。
 言葉も無く、ただ立ちすくむしかないほどに。

 

"か…"

 

 普段からは想像出来ないほどの弱々しい声。
 三上が壊れてしまいそうだと思った。
 抱き締めたいという想いが私を激しく突き上げる。
 けれどそれは私に許された行為じゃない。
 私はあなたのただの友人だから…。

「どうしたの?何も出来ないけれど、話を聞くことぐらいならできるよ?」

 だから私は精一杯明るい声で言う。

 これが私に唯一できること。

 私の言葉に三上は薄く静かに笑った。
 デビスマと形容される意地の悪い笑みではなくて、本当に儚い笑みだった。

 

 

 

 

 

 

 

"選抜に落ちたんだ…"

 長い長い沈黙の末に三上はポツリとつぶやいた。

 

"藤代は受かったのに"

「あいつはいつも俺の前を悠々と歩きやがるっ」

「どうして俺はあいつに勝てないっ」

「どれほど努力しても俺はあいつに勝つことは出来ないのかっ!!」

 

 叫びながらこぶしを机に叩きつけ、涙を流す。

 

 私なんかが聞いてはいけない、血を吐くような叫びだった。

 けれどあなたには必要でしょう。
 サッカーには関係ない人間に気持ちをぶつけることが。

 

 涙を拭うことも、言葉をかけることも、私には出来ない。
 私に出来るのは、ただ、あなたの言葉を、心の痛みを、苦しみを、決して忘れないように、心に刻み込むことだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてまた、長い長い沈黙が訪れる。

 

 

 

 

 

 グラウンドからはサッカー部の掛け声が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

「カッコ…悪いところ見せちまったな」

 

 

 三上は顔を上げて、私を真っ直ぐ見た。

 あなたのその儚さに、繊細さに、私は恋をする。

 そしてもう一度前を見つめるあなたのその強さに、私はまた恋をするのです。

 

「ううん。三上は何をしていてもかっこいいよ?
サッカーしてても、勉強してても、眠ってても…。
涙も…ね。だってさっきの涙はまだまだ負けないって涙でしょ?
努力するんだ、先に進みつづけるんだ、そういう決意の涙でしょ?
それってものすごくかっこいいよ?
何かを極めようとしている人にだけ許されるものなんだから」

 

 思いが溢れてとまらない。
 言ってしまいそう。三上が好きだ、と。
 けれど言えばおしまいでしょう?
 あなたは優しい人だから、女の子の夢を壊さないように頑張るでしょう?
 いつも強くて、俺様な三上を私の前でも演じてしまうでしょう?
 私はあなたのすべてを知っていたいから。
 だから私はあなたの友人でい続ける。
 どれほど心が悲鳴をあげても。
 どれほど卑怯なことだと分かっていても。
 私はあなたの友人でい続ける。

「三上はねカッコつける必要なんてないの。
だってかっこいいんだもん。
カッコつけるなんてね、かっこ悪いやつがすればいいんだよ。
だから、カッコつけてる三上はカッコ悪い。
一人の時だけじゃなくて、みんなの前で必死になればいい。
それを笑う奴なんていないから…。
がんばれ?三上。
三上は武蔵野森の10番司令塔だよ?
あの藤代君だって、三上がいなきゃ点は取れない
いくら渋沢がゴールを死守しても、三上が前線にボールを送らなきゃ勝てない。
武蔵野森は三上がいなくちゃ機能しないんだから」

 

 私の言葉に驚いたように目を見開いた三上。
 そうして優しくふわりと微笑んだ。

「悪ぃな、
…お前がいてくれてよかった」

 そう言って三上は彼のいるべき場所に戻って行った。

 そして私はまた彼の笑顔に恋をする。

 三上の最後の一言に、私の心は満たされる。
 私は同じ人に何度恋をすればいいのでしょう?
 どこまで行けばこの想いは終わるのでしょう?
 これ以上私を好きにさせないで下さい。
 苦しくて、苦しくて、そして幸せなんです。
 あなたを好きでいることが。

 強いあなたが好きです。

 弱いあなたも好きです。

 いろんなあなたを見るたびに、私はあなたに恋をする。

  

 

 

 

 

 


す…すみません。こんなの送りつけてしまって。
「パクリ日常似非ドリーム」です(苦笑)
中学時代の経験からなんですが。
如何でしょうか?師匠。

それでは。          霽月蓮 離流 拝


わーい!!書いたと言われたので見せて!!と頼んだら本当に見せてくださいました。しかしのせて良いか許可を取るのを忘れてしまったままで、時間がすぎ、このままではまずいとのせてしまいました。すいません(泣)え?駄目!?あああ駄目ならリンクはずすです。すいません。
それにしても三上さん!!ああああああ!!!!!!!男の涙は萌えますね。萌えてください(は?)とにかくかっけ。萌え。もえええええ。あああああ。なんか漫画でも悟ったような笑み。そして都大会での頑張り。あの中に若さ故の悩みや苦悩がたくさんあったでしょう。こういう話しどのサイトさんでも1回は見るんですよね。ひどく悲しく書いてある人、これからの希望を持たせて書く人それぞれで楽しいです。
今回これを更新しながら昔やっていたスターオーシャンEXというアニメのEDだった「Hearts」が流れてたんですよ。その2番目の歌詞に「ちょっとなんかあったからって全部おしまいじゃない」っていう歌詞があって、あーぴったり!!とか思ってしまいました。これ私の中のイメージソングにしようかなー。うん。読み終わった後聞いてみると結構しんみりくるぜ!!あああ。ちなみに私は希望を持たせた方を書くだろう。そういや366日花言葉シリーズのみかみんはそうじゃん。あはは。
本当にどうもありがとうございました。またぜひ、ぜひ!!お願いします(おい)

俊宇 光