渋沢さんドリーム「傍にいて 後編」
 

 

傍にいて 後編

 

 

ただの吐き気じゃないことくらい私にはわかっていた。
予想もついた。でもはっきり言われると結構痛い。
だって克朗に迷惑かけることになる。
そんなの絶対いや。

 

もうすぐ渋沢君来てくれるって。」
えっ!?
「良かったね。。」
「駄目……呼ばないで。迷惑をかける。」
お願い‥来ないで。心配なんてしないで。
「迷惑って……。は渋沢君のこと信用していないの?」

ズキン

「そんなこと…っ。」
「じゃぁ、なんで!?」
なんで??私もわからないよ。
信用しているはずなのにどうして胸がいたむ?
「だってっ子供が。子供がいるんだよ。前にもあった。自分で検査するの買ってきて自分でも調べた。相談しようって思っていてもなんていわれるかわからなくて不安なのっ…。怖いの。こんな私がお母さんになれるのかって。
だから今日2人に話そうって…‥。でもやっぱり無理だった。
誰にも知られたくなかったの。」
大好きな克朗の子供。うれしいけど、本当に育てていける?
育てていけるだけの自信が私には無い。

 

その時だった。がやがやと入り口が騒がしくなった。
私は下げていた顔をふっと上げた。
「…かつろ…。」
「すまない。遅くなった。」
息を切らしている。きっと走ってきたんだ。
「私のことは心配しないでだから合宿に戻って…ねっ?」
笑顔で私は平気だってことを克朗に伝える。
!?何言っているの!!今はそんなこと言っている場合じゃないでしょ?」
そんなことわかってる。でもっ……‥。
「検査終わったんだろ?結果は?」
駄目!聞かないで。言いたくない。
「…‥?」
「ナニモ、ナニモナカッタヨ。」
少し震えている私がいる。『助けて』ってどこかが叫んでる。
……。」
克朗はそっと私の頬に手を添えてくる。
それが暖かくて優しくて涙がでた。ためていたものが一気にはじけた。
一筋の線となって落ちてくる涙は瞳からとめどなく流れ続けた。
まるで止まることを知らないかのように。
「かつ…ろっ。私…ワタシッ。黙っていたことがあるのっ。
お願いっ…‥聞いてっ。」
必死だった。嫌われてもいい。黙っていたことを攻められてもいい。
でももう言わなくちゃ。まっすぐ克朗の目を見て。
「あぁ…‥。」
「ありがと…ありがとう克朗。」

とりあえず私達2人は優達と別れ家に戻った。
私は決めた。そこで何もかも話そうって。
今ならすべていえる。信じられる。

ソファーに座り私は話し始めた。
克朗のことを信じていなかったこと、不安だったこと。
そして……。
「克朗…‥私ね。妊娠してるんだぁ。克朗の子供だよ。」
うつむき加減で話す。
「本当か!?」
「うん…。もうすぐ4ヶ月だって。本当は…本当はね。1ヶ月くらいにもうわかっていたの。でもっ……。」
ポンポンと頭に手を置き克朗は私を引き寄せた。
私は克朗の肩にふさぐようにして泣いた。
「不安だったんだな。ごめん俺がついていながら。」
パッと顔を上げ私は何かがはじけたように話た。
「…っ違うっ!!克朗のせいじゃないの。私が‥私が弱かったから。
もっと頑張らなかったから!!」
そう違うの。私がもっと強ければ…頑張れていれば。
…俺がついている。もう一人で頑張るのはやめろ。弱くたっていいもうこれ以上強くならなくてもは十分に強い。」
「……っ。」
克朗の言葉がココロに響く。
「3人で頑張ろう。愛してるよ。」
「ありが…と。大好き。私も愛してる。」

崩れたものが再生する時、誰よりも幸せでいられる気がする。
今はココロでつながっている。そう確信できる。
救いの手を求めていた私に優しく差し伸べてくれたのは克朗の暖かくて大きな手だった。付き合い始めた時も今でもやっぱり変わらない優しい手。
でもこれからは私も心の手で支えるんだ。おなかの中の子供を。
だってこの子は私達の宝物。愛の結晶だもの。
お母さんはもう大丈夫だから安心して出てきてね。
私の大事な、大事な赤ちゃん。

 

 

 

 

<2年後>

25歳になった私達。色々あったけど今は胸をはって幸せって言える。
無事に出産もおわった。生まれたのは男の子。克朗の小さいときってこの子みたいな感じかな…。
最近克朗はますます仕事が忙しくなったみたい。
でもどんなに疲れていても必ず家に帰ってくる。
さすがに外国へ遠征に行っている時は無理だけどね。
あっ…そろそろ帰ってくる。私の大好きな旦那様が。

「裕樹(ひろき)。もうそろそろパパが帰ってくるからね。そしたらご飯たべようか?」
「うん。まんまたべる。」
パパよりご飯なのかしら??(笑)

ガチャ

「ただいま。」
トテトテと凄い速さで克朗に近づいていく裕樹。
そして靴を脱いでいる克朗の背中にむかってダイブ!!
「おかーり。パパ。」
「ただいま。裕樹重いぞ。」
そんなに重くないと思うけどね(夕凪談)
「お帰りなさい、克朗。お疲れ様。」
「あぁ。」
クスクスと私は克朗の体制をみて笑ってしまう。
意地悪で聞いてみる。
「パパ立てる??」
「少し難しいな。」
背中にはダイブしたはずの裕樹が寝息を立てて眠っている。
これじゃぁさすがに立てたものじゃない。
幸せそうに眠る裕樹をそっと私は抱きかかえ部屋まで運んだ。
「ねぇ…克朗。私幸せだよ。すごく幸せ。」
「俺も幸せだ。これからもずっと傍にいような。」
「うん。」
2人で眠っている息子を見ながら幸せをかみ締めた。

傍にいるだけで幸せを感じられる。
離れていても心はずっと傍にいる。
だから幸せ。
この幸せは永遠に続くだろう…。

 

END


光さんへ

後編終わりました。
やっとドリームらしく(?)なりました。
前半はちょっと……‥。
ご希望に添えていなかったらごめんなさい。
裏話ですが私の中で名付け親は渋沢さんです。
渋沢さんが一生懸命、考えていた場面が浮かんできます。

それでは。これからもよろしくお願いします。

 

                         

2003.1.25 夕凪 伽弥乃


夕凪師匠様にいただきました。前後編長編(?)シリーズです!!その後編だい!!遅くなってすいません。やっと更新できました。忘れてたって?あはは。言わないで。だってテストだ〆切だーで大変だったんだよう!!わーん。とりあえず、更新できてよかったです。
後編ですが、どうよ!!奥さん!(は?)もう最高ですよね。前編で続きは!!続きは!!って思った人いらっしゃるんじゃないかなー。うん。私もその1人(おい)いや同時に送られてきたんですけどね。これなかったら死ぬほどのたうちまわってただろうなー。あああ。ってかね、もう最高っすよね。あああもう渋沢さん(悦)もうまじ最高。自分的に共感するとこ多いしね。ってか感情移入しすぎて大変だったんですけどね。最後告白シーンとか読まされたりいろいろ大変だったなー。あはは。なんか「強くならなくていい」きいたぜくそう。あはは。最高。まじ最高!ってか夕凪師匠!!やっぱり弟子にしてください(すでに弟子入り済みじゃけ)あと子供の名前は男か女で話をしながら裕樹か飛鳥って話をしてました。今回はなんでか都合上変換していませんが、まぁー自分勝手に好きな名前を当てはめてみましょうねー(自分勝手)あはは。
本当にどうもありがとうございました!この他も期待します!是非とも!!わー(?)

俊宇 光