シュミットドリーム「Understanding ?」
 

 

Understanding ?

 

 

 

イマドキ 恋愛せずに結婚なんて ナンセンス

 

古くから名の残る家柄に育ったからには、絶対にあると思ったこの話。
だからといって、はいそうですか、と納得できる程私は人形のように育ってきたわけでもない。
まだ顔も見たことも、逢ったことさえも無い女性とどうして結婚できようか。
そんな不条理で時代錯誤の話を持ち出した両親に私は頭を痛め、尽きることのない溜息を零した。

「そんなに悩むことでもないでしょう?」
「お前に相応しいお嬢さんだよ」

両親は笑顔でそう話す。
家柄を思ってか、私を思ってのことなのかはわからない。
別に私は両親が嫌いなワケではない。
この話はただ、別なだけだ。

「ですが、私は自分の伴侶は自分で選びたいと思っています。まだ逢って話しすらしたことのない方とは結婚なんてできません」
「せめて御逢いするだけでも……」
「そうやって逢ってから苦労してるエーリッヒを見ている所為で、逢いたいという気も起きないんですよ」

そう、同じく所謂『お見合い』というヤツに強引に出席させられたエーリッヒはそれ以来相手の女性に強烈に気に入られたらしく、大変な毎日を過ごしていると噂で聞いた。
そういえば、この前久しぶりに顔を合わせた時には少しやつれていたような気がしないでもない。
そんな身近な人間を見て、どうやって結婚だのお見合いだのに自ら足を踏み入れられようか。

「とにかく、私はお断り致します」

私は両親の言葉を一蹴して、家を出た。
別に家も両親も嫌いなワケではない。
ただ、自分の気持ちも動かされていないのに結婚なんてできるだろうか。
私はまた重い溜息を零した。
心とは裏腹に空は澄みきった青色をしていて、何だか悔しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「シュミットったら、お見合い断ったんだって?」
「当たり前じゃないか、どこの誰かもわからない女性と結婚なんてできるわけもない」
「ホントに知らない人だった?」

何処で聞きつけて来たのか、妙に笑顔を浮かべて私の部屋を訪ねてきたミハエルはそう言った。
ミハエルがこんな笑顔をする時には必ず何か裏があるのだ。
長年付き合ってきたのだ、間違いはない。

「相手の名前とか、聞かなかったの?」
「別に…聞くまでもないと……」
「お見合い相手がこのコでも?」

ミハエルが急に目の前に広げた写真。
それは綺麗にその国独自の衣装を着た、女性。
それはよく知った……そう、一度だけ心惹かれた少女がいたのだ、私には。
国境さえも越えて、私は彼女を好きになっていた。
彼女の為なら、何でも出来た。

「……!?」
「ピンポーン♪」
「ぴんぽーんって……どうせ私をからかう為に作ったんだろう?」
「そんなワケ無いでしょ、だってがキモノ着てる時にボク等、逢ったこと無いんだから」

至極最もなことを言われて、私は押し黙った。
確かに、両親に相手の名前も聞かなかったし写真すら見なかった。
だけど、こんな偶然な話があっていいものか。
私の見合い相手がだなんて……

「シュミットが断ったならさ、ボクが受けてもいいよね?この話」
「なっ!」
「だって、キミが断ったんだよ?シュミット……」

言い知れぬ圧力を笑顔で放つのは幼い頃から何も変わってはいない。
そして、を好きになったという私とミハエルの関係すらも変わってはいない。
実際、私はと偶に電話をしたり手紙を送りあったりとまだ繋がっているのだ。
なのに彼女からそのことを一度も聞いたこともなかったのだ。
それも不思議な話だ。

「だってそんなこと、言えないでしょ、女のコの口から」

私が言おうとせんことをこの人はすぐに先に読んで口に出すから腹立たしい。
こういう瞬間に私は殺意を抱いたことも無いとは言い切れない。

「もう1度だけ聞くよ、シュミット」
「……」
「キミは断ったんだよね?」

不敵な笑みを浮かべるままのミハエルに私は何も言えなかった。
確かに断りはした。
だけど、今更ココに断りたくないと叫ぶ心を持った自分がいる。
相手があの……まだ私の心の先にいるであるなら……
私は、断らなかったと言い切れるのに……

「今度ね、ドイツに来るんだってさ、彼女」
「知ってる……」
「ボクはが好きだからね。絶対、渡さないよ?」
「……私も、彼女が好きだ」

これだけは偽りはない。
嘘偽りないのはこの心。
今でも鮮やかに残っている幼い頃の彼女との時間の記憶。
今も彼女を好きだ。

「確かにお見合いは断ったかもしれないが、彼女ならミハエルに渡すわけにはいかないな」
「ボクに敵うと思ってるの?」
「それはが決めることだな……」

 

 

 

 

イマドキ 恋愛無しの結婚なんて ナンセンス

 

 

だけど 恋愛込みならいかがです?
Do you understand ?

 

 

 

◇ 2003.03.03 ◇


村雨様に随分前にいただいておりました(阿呆)メールが上手く届かずに転載許可を先延ばしにしちゃってました。あげくのはてには許可をもらってから2週間近くたとうとしちゃってます(汗)すいません。なんだか容量の悪い人間で。しかしやりましたよ母ちゃん!(意味不明)とうとうここにホイッスル!以外のドリームを載せることに成功しました!!!ホイッスル!以外!なんだか萌えますね。本当は他にもいっぱい載せたかったりするんですが、そんなに人にもらうわけにもいかず、これが最初の作品となりました。私じゃ書けないので本当に嬉しかったです。
現在政略結婚などなど、婚約者、なるシリーズが大好きです!イザークとかディアッカとかそこらへんにお願いしたかったり。他炎山?などなどいる中でシュミットもやはりドイツの貴族さんの出。婚約者くらいできてもえーやろ!!ってわけで、この話をお願いしちゃいました!もうそしたら本当に叶えてくださいますんですもの!?すっごく嬉しかったです!!シュミットむかしから大好きだったのでうはうは気分です。本当にどうもありがとうございました!今リクエストをすると書いてもらえるということをなさってます。どうぞ村雨様のサイトへ行ってみてください!本当にどうもありがとうございました。

俊宇 光