日韓中継
嘘はつけない。
もうつかないよ…。
―ごめん!今日、
いけなくなった。
緊急の用ができ
ちゃって…。
ごめんね!―
そのメールが来たのは今日の朝のことだった。
俺は郭英士。
趣味:サッカー・囲碁・フィッシング
特技:サッカー・天気予報
U−14、19でも活躍した事がある。
今はJリーグで活躍中。
そんな俺に好きなものが加わったのは、今から数年前。
高校の時だった。
俺の好きなものとして加わったのはという人。
初めてだった。
学校が楽しいと思ったのは…。
そんな彼女に告白したのも高校卒業間近。
広島に行かなければならなかったが、20過ぎたら
一緒に暮らしたいと思っているから
(というか、が嫌だって言っても、無理だと思うけどね。)
俺たちは離れた。
もちろん。は泣いたけど…。
それで、
さっきのメールの話に戻すと、
今日は俺がオフで、めずらしく東京まで出てくるから、
とデートをしようと思っていた。
ちなみにこんなチャンスはめったにない。
のに、さっきのキャンセルのメール。
何か、あったんだろうか?
―どうしたの?何かあった?―
しばらくして帰ってくるメール。
―なんでもないよ。
ちょっと用事が出
来ちゃったの。
抜けられなくて…
ごめんなさい。―
でも俺にはわかる。
が俺に何かを隠していること。
だから俺は一番信用できて、
彼女が東京にいる渋沢克朗に電話をした。
『郭?どうした?珍しいな。』
『ちょっとね。今東京にいるんだ。光さんと出てこれる?』
『ん?あー。大丈夫だ。じゃあ…』
こうして俺は渋沢と待ち合わせた。
「久しぶりだな〜。」
「ホントだね。」
「郭くんだ〜久しぶり〜。」
「光さんも元気そうで…。」
渋沢の彼女…といってもあと数十日で結婚式だけど。
とりあえず、今はのこと。
「で、何かあったの?」
もちろんあった。
俺は話し始める。
「今日さ、とデートする約束をしていたんだ。
だけど、今朝になってキャンセルされた。」
「めずらしいな。」
「でしょ?」
「…」
「どうしたのかと聞いたら何もないって言われた。」
「何か隠しているな。」
「でしょ?」
「…」
俺が少々考え込むと、渋沢は光に話しかけた。
「どうした?光。」
「無理ね。」
「「え」」
俺と渋沢の声がハモる。
そんな俺たちを見て、光さんは続ける。
「は今日は無理。
悲しそうな顔をしていたけど、原因は郭くんだったのね。
なるほど〜納得。」
「一人で納得しないで教えてよ。何があったの?」
「郭君が心配するような事じゃないんだけど、聞いたら心配すると思うよ。」
「何!」
「別に口止めされてないから、教えてあげるよ。」
「だから何!」
光はそのとき、
あの妙に冷静な郭くんがココまであわてていて、おもしろい
と思っていた。
ちなみに、一度U−19で集まったとき、
彼女持ちの人は彼女を連れてきていた。
その時に、光や、そして優や真樹、沙耶などという面々が
顔をあわせたのである。
それはいいとして、光は続ける。
「2日位前から風邪ひいているのよ。
って一人暮らしでしょ?
だから、私がお見舞いに行ったの。」
「ありがとう」
そう言うと郭英士はダッシュでその場を離れ走っていった。
それを唖然として見送る克朗と光。
「郭くん、よっぽど余裕ないんだね。
いつもとキャラが違う。」
「本当だな。珍しい。」
「いいな〜。
あんなに想われていて。」
「光。誰の前でそう言うことを言っているか
自覚あるか?」
「え」
光が郭が走り去った方向から渋沢のほうに視線を移すと、
そこには満面のスマイル(通称:キャプテンスマイル)
を浮かべた渋沢克朗の姿が…。
「えっと〜。」
「俺だって、光のことを誰よりも想っているよ。」
そしてちょっとデビスマの混じったキャプスマで克朗は光を見つめた。
「本当〜?」
ちょっとごまかそうとするが、
無理があった。
だって、「本当だ。」と笑顔で言われてしまう。
そして光は例のごとく?顔を真っ赤に。
それからは見ているほうが恥ずかしくなるような
いちゃつき方をしていた二人…。
もちろん某週刊誌の記者にも写真を撮られ、
(しかもその写真はピンボケなどしていなかったらしい。)
後々、大きく騒がれる事になった。
その場にいた人々の話
→Aさん「渋沢選手と俊宇光さんが一緒に座ってるとき、
カメラマンが二人のすごい近くにいたのに気づかなかったんですよ。」
Bさん「何十枚も取られても、やめろの一言も言わないで、
逆にカメラマンを完全に無視してラブラブしてたんです。」
Cさん「そうそう。そのうちにカメラマンが泣き出して、、
きっと無視され続けてむなしかったんですね。」
Dさん「そしたらカメラマンが資材を片付けて
とぼとぼと去って行ったんですよ(笑)」
―あ〜だるい。
会いたかったな…。
怒ってるだろうな。
英士―
私、はたった一人で家にいた。
風邪を引いて英士に会えなくなって。
きっと英士は知ったら会いに来てくれるだろうけど、
英士にうつしたら、、と考えると
“あいたい”も“風邪引いた”も、言えなかった。
―だけどやっぱり会いたい…。
誰よりも、英士に会いたい。
英士…―
ピンポーン
インターフォンがなる。
誰かが来たらしい。
「は〜い…」
「宅配便で〜す。」
「ぁ。はい。」
ガチャ
私は扉を開ける。
「ご苦労様です。」
そう言ってハンコを押す。
「はい。ありがとうございました。
それでは失礼します!」
バタン
「ふぅ…なんだろう。。」
とりあえず私はまたベッドに戻ろうとした。
ピンポーン
「また?」
「す、すいませ〜ん。た、宅配便ですけど〜。」
「?」
さっきの人と同じ声だったが、なぜか様子がおかしい。
大いなる疑問を持っていたが、とりあえず扉を開けてみた。
ガチャ
「どうしたんで…」
…
固まるしかない。
目の前には少しだけ怒っているであろう私の彼氏:英士と
脅されていたのだろうか?宅配便屋さんがいた。
「悪かったね。」
「い、いいえ。」
宅配便屋は、『怖かったんですけど…』という言葉を押し込んだ。
やっぱり脅されていたらしい。
そして宅配便屋は、脅されながらも持っていた疑問を英士にぶつける。
「あの〜、もしかして、郭英士選手…ですか?」
「そうだけど。」
「マジっすか?俺ファンなんです!サインください!」
「いやだね。」
「…」
そして宅配便は、とっても勇気ある行動を取った。
「えっと、さん。」
「はい?」
「さっき俺、郭英士選手に」
「待てよ。サインか?」
「あっはい!ありがとうございます。…ありがとうございました〜〜。」
そう言ってにこやかに去って行った。
そして私は確信する。
脅したんだ…と。
・
・
・
・
!
私は今の状況を理解した(してしまった)。
1.おそらく光あたりから風邪を引いてキャンセルした事を聞いた。
2.言わなかった事に対して少々ご立腹の様子。
3.宅配便を脅してまでこの家のドアをあけた。
ガタッという音と共に私の
“英士を中に入れないで扉を閉める作戦”が失敗した。
「…。」
「…。」
「はっはい!」
英士はを見つめている。
そして英士の右手はのおでこにふれる。
「え・英士?」
「熱も、あるんだ。」
「ん…わっ!」
次の瞬間?は宙にういた。
なぜ?
英士が抱き上げたから。
そして英士はを抱き上げたまま、をベッドに運び、寝かせる。
「英士?」
真意がわからない…。英士はふとんをにかけたあと、口をひらく。
「何度?」
「…37.7度。」
「風邪ひいたのは?」
「2日前。起きてから。」
「俺はの何?」
―彼氏って…言っていいのかな??―
少し…自信がない。
ずっと前も、彼氏って言っていいの?と言って怒られた気がするけど、
この…不安は消えない。
何も、証拠がないから。
「!」
「はっはい!」
「まさか、また彼氏って言っていいとかそんなくだらないことで
悩んでるわけじゃないよね?」
「くだらない?」
「くだらない。」
「どうしてよ!なんでくだらないの?」
私は頭に熱を持ち始める。(=怒る)
「ずっと前にもいったはずだよ?は俺の彼女だって。
それなのにいまだに…。
は俺の彼女でいるのが嫌だって聞こえるよ。」
「そんなことないもんっ!勝手に解釈しないでよ!」
「じゃあどうして俺に風邪ひいたって言ってくれなかったわけ?」
「英士は東京に仕事に来てるんじゃなくて、休みにきてるんでしょ?!
だったら私の看病で休みをおわらせるなんて私が嫌だもん!
それに英士にうつしたら、私が嫌だもん!」
「なんで?」
「英士が好きだからに決まってるじゃない!それいがいに何があるってのよ!」
「…」
英士が黙る。その顔を見ると、ニヤリと笑っているではないか…。
そしてはさっき言った事を思い出す。
「どうしてよ!なんでくだらないの?」
「そんなことないもんっ!勝手に解釈しないでよ!」
「英士は東京に仕事に来てるんじゃなくて、休みにきてるんでしょ?!
だったら私の看病で休みをおわらせるなんて私が嫌だもん!
それに英士にうつしたら、私が嫌だもん!」
「英士が好きだからに決まってるじゃない!それいがいに何があるってのよ!」
1.風邪引いたのを言わなかった理由を言ってしまっている。
2.英士に告白してしまっている。(いったい何度目だ?)
―この策士め…―
が英士をにらみつけると、英士は…
ニヤリ
「?!」
キス…された。。
あ〜も〜!うつったらどうするのよ〜(焦)
「」
「ふぇ?」
「俺はのことを世界で一番愛しているけど、は違うの?」
ドキィ
「ち…がわない。。デス」
「じゃあもう一度聞くけど、
俺はの、何?」
「か…れし…です。」
「それでは俺がに会えなくて寂しいって思うの考えなかったわけ?」
「…英士?」
―さみしかったの?あえないってわかって?―
その言葉は口には出来なかったけど…。
英士になら、届きそうな気がした。
「風邪をもらうか、に会えないか。その二つを選択しろと言うなら、
俺は間違いなく風邪をもらう。を選ぶよ。
俺はに会うためじゃなきゃ、東京まで来ないからね。」
やばい…嬉しすぎだ。
は微笑む。
「どうしたの?」
「嬉しいなって、思っただけ。
ごめんなさい……。
ありがと。」
「これにこりたらもう二度と俺に嘘なんてつかないことだね。」
「…ん。そこまで心配してくれるなら、逆にいっぱい言いたいかも〜。」
「」
「(笑)」
それから英士は休みに来てるんだから良いという私の願いを無視して
私のために
おかゆをつくってくれた。
「はい。」
「いいって言ったのに。」
「の、わりには笑ってるけど?」
う゛
「だって…嬉しかったんだもん。」
「よくできました。」
―やっぱり策士だ。この人は。
あ!郭策士って名前にしたらちょうどよいかも〜。
あはっ―
「!」
「え」
「今何かとてつもなく失礼な事、考えてなかった?」
「え゛?ううん?」
―やっぱりダメだ。
郭英士は郭英士のままで…―
は英士の作ってくれたおかゆをぱくぱくとおいしく食べる。
その姿を英士はにこにこと楽しそうに見守っている。
おかゆを食べ終えて食器を片付けて、またベッドに戻る。
ベッドに座ったとき、は英士に抱きしめられた。
「え、英士?」
「は、我慢しすぎだよ。」
「ぇ?」
「もっとわがまま言って欲しいし、
俺を頼って欲しい。
俺は、のために生きているって…
そう思ってるから。」
英士のキャラがかわってる。。
は嬉しすぎて、2度目の嬉し涙を流す。
1度目は、英士に告白してOKをもらった時。
そしてはそっとつぶやいた。
「側に…いて?」
すると英士は「了解」と言ってくれた。
とにかく!
英士のおかげで次の日起きたら風邪が治っていた。
英士も風邪うつってないみたいでよかった。
だけど、
今日で英士が東京にいるのも最後。
ふ〜。
「明日、帰っちゃうんだよね。」
「まーね。」
「さみしぃ…」
―言っちゃったよ〜わがまま…。
きゃ〜。
英士…笑顔だぁ。
じゃあ今のわがままだって、
ちゃんとわかってくれたんだね。―
「大丈夫だよ。
次の時にはとびっきり最高のものを持って、に会いに来るから。」
?
「最高のもの?」
「うん。」
「じゃあ聞くけど、次にこれるのはいつ?」
「次は長期休暇の時に来るよ。
いろいろとやらなきゃいけないことが、あるからね。」
「え?今何かいった?」
「知りたいの?(ニヤリ)」
「え゛知りたくない!楽しみに、してるねっ!」
「そうして。」
「うん。だからね…」
「?」
「だから…なるべく・早く・来てね?」
―わ〜ん。二度目。
で、、でも、本心だし…
早く…会いたいから…いいよね?―
「なんか嬉しい。」
「え?」
急によくわからないことを言ったのは私の彼氏(^^)
「わがまま言ってくれるし。
それに、俺の事、彼氏だって認めてくれているみたいだしね。」
そして英士は私にキスをひとつ落とした。
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
やっぱり考えている事も、ちゃんと判るみたいです。
嬉しいな。
「だから、なるべく早めに、に会いに来るよ。」
「…うんっ」
そして英士は帰って行った。
数ヵ月後
ピンポーン
「はーい。」
ガチャ
「どちらさ…」
固まる。
その前には郭英士。
私の彼氏がいたから。
「。ただいま。」
「英士〜(><)」
は英士に抱きつく。
「今回は元気でよかったv」
「うんvうんv」
「ところで?」
「何?」
「今日の夜、レストランで食事するから、よろしくねv」
「え…。どうしたの?急に。」
「俺と食事したくないならしょうがないけど…」
「したいです!食事!」
「じゃあよろしくね。」
そして夜になり…
私は英士と一緒にレストランにいた。
結構高めらしいけど、英士持ちだからね。
「きれいなところだね。でもなんでこんなに人が少ないんだろう?」
「。失礼だよ。」
「あ。ごめ…。」
なごやかなムードで食事は進み、デザートへ…。
とってもかわいいケーキが運ばれてきた。
「かわいぃ〜vん?」
そしては目をみひらいて、英士を凝視する。
「英士何これ?」
「これって?」
「この、ケーキの、上に、のってる、プレートにかかれた文字。」
「そのままの意味だよ。
、結婚…しよう。」
そう。ケーキの上にのってるプレートには
結婚しよう
そうかかれていた。
はすこしパニックになるが、意味を理解し、
涙をながして、うなづく。
3回目の嬉し涙は
英士からプロポーズされたときだった。
私がうなづくと英士は微笑んで薬指に指輪をはめてくれる。
「ありがと…英士。」
「ん。」
「おっめでと〜〜〜〜!!」
大勢の人と思われる声と、フラッシュとクラッカーの音が聞こえた。
文字通りの頭は真っ白。
「へ?」
「え〜全韓国と日本の皆様。
今の感動的な場面はいかがだったでしょうか?」
―ちょ、ちょっと待て…―
「英士!全韓国と日本の皆様ってどういうこと?」
「最初っから撮ってたけど?日本のメディアが。」
「は?」
「〜おめでとう♪」
言われて振り向くとそこには渋沢光の姿。
「あ。結婚おめでとう。光。で?どういうこと?」
「私達だけじゃないわよ?」
「達?」
「俺もいるに決まっているだろう?
光のいるところに、俺もいる。」
「よくわかった。渋沢くん。で?」
「ほら。水野と沙耶ちゃん。シゲと優ちゃん。椎名と夏姫ちゃん。」
「…。頭くらくらしてきた」
「おめでとう。。」
「えっ?ユン?なんでユンまでいるの?」
「さっき言ってたじゃん♪全韓国と〜って。」
「やばい。本当にくらくらしてきた。」
「これでわかったでしょ?
まず、撤回は不可。」
「こんなことしなくても、撤回なんてしないわよ。」
「知ってるよ。で、次に、は俺のって証明出来た。」
「…」
「3つ目。全韓国と日本の皆さんから祝福される。」
「…もうかなわないよ。本当。」
苦笑する私に英士は
公衆の面前で
キスをした。
身内とか親友とかいないけど、カメラ回ってるからね。
恥ずかしいけど、嬉しかったよ。
Dear 英士
永遠に、愛しています。
From
胡事 把枝様に書いていただきました!
英士さん2ということで、夕凪さんにプレゼントされまっする。
っというか前回同様笑うしかね〜。あはははは。妙な展開に笑いをこらえ切れませんでした(爆)いや〜しかし、あの英士さんが、ここまで余裕をなくす姿というのは、じつに見ていて笑うことですね。いいですね〜。あはは。しかもしっかり私まで出てきてるしね(爆)あははは。しかもその流れが受けるんだけど!!ありえないし。っていうかもう、まじ黒い渋沢さんやめましょうよ(泣)やだ〜。ああああくろ〜いくろ〜い。あががが。黒いのは笠井くんと英士だけにして〜。いや〜。ああああああ。
すっごい長いですよね。羨ましいな〜。長いの書けて。私は長いのを書くのをあえて規制してるので羨ましいですわ。その分長編になったりするのでしょうけど。あわわ。
タイトルに意味はありません(爆)だってに日本と韓国で中継してるっていうからそのまま。ワールドカップのあれをぱくって日韓中継。あはははは。いや〜まぁ現実味0%な、なかなか考えつかないような楽しいお話を、ありがとうございました。
本当にどうもありがとうございました。
俊宇 光
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