2.14
知っていますか?
私の、たくさんの、あなたに対するたくさんの想いを。
あなたがサッカーをプレイしているのを見る前から私はサッカーが好きだった。
でもあなたを見た時にすごく驚いた。
武蔵森の守護神渋沢克朗が織り成す数々の技。
そしてキャプテンの素質。
真剣にやりながらも、それを義務とかじゃなくて
楽しいからやっている。
試合中に見せる真剣なまなざしも、
皆を指導するときのキャプテンの顔も、
そして休憩中に仲間と話す時の笑顔も・・・
すべてが
私を驚かせて、ときめかせて、魅了した。
見ていても、プレイしていても、すごく楽しい。
これがサッカー。
選手は精一杯駆け回って、
そしてゴールを守っているあなたは、味方に安心感を与えて
武蔵森を勝利に導く。
中学校の時、あなたはU−14として世界に羽ばたいた。
遠い遠い存在になってしまったけれど
私は嬉しかった。
クラスメートが世界で活躍する。
そして、あなたがこれからもずっとずっとサッカーが出来るって
私にはわかったから。
おめでとう。
その気持ちでいっぱいだった。
寂しかったけれど、私は嬉しかった。
心から喜ぶ事が出来たんだ。
でもまさか同じ高校に行けるとは思ってもいなかった。
高校に入っても何しても、あなたは素晴らしかった。
人気も、技能も、素質も、なにもかもが。
サッカーが一番大切なあなたに、私の気持ちを伝えるのは、
すごく、ひどいことなのかもしれない。
だけど、私は…。
人は欲が生まれる。
近くにいければそれでいい、
話せればそれでいい、
もっと話したい。
友達としてでいい。
一番近い人になりたい。
だから私は告げる事を決意する。
大好きな、大切な、あなたへ。
計画としては、
1、とりあえず渋沢くんを捕まえる。
(…これさえ出来るか不安。)
2、バレンタインにちなんでチョコ系統をプレゼント。
(まだ何にするか決めてない。)
3、思いきって告白。
(ここまでたどり着けるだろうか…。)
なんて不安はいっぱいだけど、計画は計画。
うまくいかなかったら来年に…
って何度繰り返してここまで来たんだろう。
あーー。
よし。頑張るぞ!
てなわけで当日(早っ)
早速だけど、サッカー部の周りには人だかり。
皆の目当ては
1、三上亮。
(甘いのダメだから、いろいろ。あるね。うん。)
2、水野竜也。
(…。受け取ってくれるらしい。でも愛想がちょっと悪いらしい。)
3、渋沢克朗。
(笑顔で受け取ってくれるらしいと評判。)
そして(ありえないだろうって位に)
とっても素晴らしいタイミングで現れた
武蔵森中学サッカー部。藤代誠二と、その飼い主?笠井竹巳。
なんてラッキーな。
「久しぶりだね!誠二!」
私の後輩に誠二を好きな子がいて
その子について行ってあげて、よく誠二にあった。
その子は誠二とうまくいったから、
私達は仲が良い。
「あ。先輩!お久しぶりです!」
「どうしたの?」
「はい。うちらもウチらで大変なんですけど、
三上先輩が甘いもの嫌いなの知らないで渡してきたチョコと、
渋沢先輩が受け取ったチョコを受け取りに。」
きっと今までもそうだったんだろう。
でも、今年から武蔵森になった水野くんはどうするんだろう?
「水野くんのは?」
「あ…考えていませんでしたけど、多分桜上水の後輩か
チームメイトに配るんじゃないですか?
本命一個で良いと思いますし。」
「そっか。可愛い彼女がいるもんね。」
勇気を出して告白して、彼女になった子が、私のクラスメートにいた。
「ところで先輩は?あ!そのラッピング!」
反応するのは誠二で、
「渋沢先輩に渡すんですか?」
そう突っ込んでくるのは竹巳くん。
「えっ?なんで?」
「だって、三上先輩は甘いもの苦手だし、
今年から入ってきて彼女もいる水野先輩にも渡すわけないですし、
なにより先輩は彼女がいる人にあげるような事は
しないじゃないですか。義理でも。」
…何げによく観察してるんだ〜すごいなぁ。
「何やってるんだ?」
ドキッドキドキッ?!
ま・さ・か。
「あ゛渋沢…先輩。」
こ、コレはどっからどう見ても聞いても、チャンス?
「さん。」
「はっはい!」
急に話しかけられるとびっくり。
なにより、名前を覚えていてくれて、
二人より私に用があって嬉しい。
「ちょっといいかな?」
え。マジで?やったぁ〜。
「はいっ!」
私は渋沢くんの後について行った。
適当なところ(渋沢君を好きな子達に見つかってつぶされないところ)
で渋沢君が足を止めて、私の方に振り返る。
渋沢君の方が背が高いから必然的に私が見上げる形。
「まさかとは思うけど、ソレ、笠井たちにやるんじゃないよな?」
「これ?違うよっ!」
これは、渋沢くんに、渡したいものだもの。
「こ、これはね…っ渋沢くんにあげたかったの!」
「え」
「あ。ご、ごめんね?たくさんもらうもんね。
それにもらってくれても、あれだよね?
後輩にあげちゃうんだよね。。。」
「そ、そんなことは…もらって、いいのか?」
「うん。…はい。」
渡せると思ってなかったから、泣きそう。
それくらい、嬉しい。
「ありがとう。嬉しいよ。」
「ん。」
さぁ、告白しなきゃ。こんなチャンス多分一生に1回だから。
「む、向こう向いて?」
顔見られるのが恥ずかしくて、そう告げる。
「え」
ちょっとびっくりしつつも、向こう向いてくれた!
さ、勇気出して!!
「…それっ!本命だからっ!!」
「え」
振り向くあなた。
恥ずかしい〜〜〜〜。
「そ、それだけ。じゃね!」
「ちょ!」
駆け出そうとして、手を掴まれて、片方の手だと顔がうまく隠せない。。
「それ、本当か?」
「…っうん。ご、ごめんね!迷惑って、判ってるんだけど、」
「迷惑なわけないだろう?」
「ふぇ?」
疑問系でそう言われても、困るんですが…
「迷惑、でしょ?」
「迷惑なわけ、ない。嬉しいよ。ありがとう。」
え。迷惑なわけない?
迷惑なわけない?って、、どういうこと?(おい)
「オレ、さんのこと、好きだから。」
好きだからって?
「三上が彼女さんの所に通ってただろ?」
「う、うん。」
彼女さんの所=ウチのクラス。だった時があったね。
「そのとき、オレもついて行っただろう?」
「う、うん。」
クラスメートになる1年前、私があなたを
好きになったとき。
「そのときから、さんが、好きだったんだ。」
「本当?」
「もちろん。」
そう言って優しく微笑んでくれる、渋沢くん。
今日から私の彼氏です!
―おまけー
「ところで、オレも名前で呼びたいんだが」
「え?」
「ずっとさんだったじゃないか。」
「あ。どうぞ。」
「あと、オレも名前で呼んでほしいんだが。」
「え」
「藤代と笠井と三上は名前じゃないか。」
「…か…つろう?」
「今度は克朗って呼んでくれるよな?」
「う、うん!」
「あともうひとつ。俺以外の奴の名前、呼ばないでほしいんだが。」
「・・・うん。」
何げに今まで結構嫉妬しててくれたのは、
私の彼氏。渋沢克朗だった。
胡事把枝様に頂きました!!
本当にありがとうございました。ここ最近渋沢さんから離れつつあるのを唯一つなぎ止めてる物だと言っても過言でもないですね(笑)いやいや渋沢さんから離れてると言うより、渋沢さんのドリームにって話ですね。渋沢さん自体は私の中で永遠にほど近いですからね。現実に何かあったとしても、彼は私の心の中で一生残り続けることでしょう(笑)
そんな中バレンタイン用に描いてくださいました。本当ありがとうございます。バレンタインに更新できなくてすいませんでした。本当自分の記憶力のなさに泣けてきます。こんなステキ作品を封印するなよって話ですね。すいませんでした。
今回はういういしい渋沢さんで爆笑した覚えがあります(死)あははは。なんだかヒロイン風でいくならうふふと笑いをもらさずにはいられないな〜気分でした。あはは。
本当にどうもありがとうございました。
俊宇 光
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