あなたに逢いたくて
「いらっしゃいませ〜」
サービス業に笑顔は欠かせない。
私、はただいま豆大福のお店でバイト中。といっても両親が経営しているから手伝いをしてあげています。
忙しいんだって。
ただいまの時刻は午後6時。1日の仕事を終えた人々がほっとできる家に帰る時間。
帰りに豆大福でもっていう人も、中にはいるからね。
そう言えば、妹の洸(ほのか)と同じ学年の男の子から聞いた話で、なんとかって人が豆大福好きらしいって話は聞いた事あるなぁ。
その豆大福好きの子は15歳だったはず。2個下か。。
「すいませ〜ん。」
「ぁ。は〜いv」
「豆大福ください。」
そう私に注文したのはジャージ姿の男の子。
その隣にはいわゆる2枚目の男の子がいる。
2枚目君の方は、あんまり来たくなかったみたいだけど。
てか私を見るな。2枚目君。
「は〜いv」
みた感じ同じくらいの男の子なんだけどな。豆大福好きなんだ。びっくり…。
「お待たせしました〜。」
外で、なにやら一段とざわめきが激しく?
「なぁあんたってさ、何歳?」
「わ、私ですか?」
「やめないか。」
隣の豆大福をオーダーした人が止めてくれるけど、私は別に大丈夫なんだな。
「私は17です。高校3年.」
「だってさ」
「何が言いたい。」
け、険悪なムード。。
「あの〜。もしかして、外に人を待たせていたりしますか?」
「あ。はい。すいません。うるさくて」
「いいえ。」
そんな事が言いたかったわけじゃないんだけどな。
「なんか宣伝するみたいで嫌なんですけど、うち、豆大福を食べられる場所もあるんですよ。
食べて行かれますか?」
「え。」
「いいじゃん。どうせ監督もういないし。俺ちょっときいてくるから。」
2枚目君の方が外に出て行く。ざわめきが大きく聞こえる。
「食いたいってさー。」
それだけ言うのがいっぱいいっぱいな声が帰ってくる。
思わず笑みがこぼれてしまう私とは反対に目の前の男の子はため息をついていた。
「何人くらいですか?」
「すごい人数多いですよ。」
「わかってますよ。」
私は笑いながら答え、人数全員入れるけど、入れたらもう他のお客さんが入れないと思った。
そして両親にその旨を告げると、
―もう常連のお客様は皆さんいらっしゃったんだよね。
若い人に食べてもらえるのは嬉しい限りだから、もうお店を閉めてその人達を入れてあげましょう―
と、田舎でしかありえないだろう。みたいな言葉を父と母は口にした。
私は笑顔で了解!といいながら、外に出てその旨を伝えると、男の子はとても恐縮していた。
その男の子が一声かけるとドヤドヤとたくさんジャージを来た人が入ってきた。
スポーツバックを見ると、MUSASHIMORI.SOCCER.と書いてあった。
武蔵森って、、洸が通ってる学校じゃない。てことはこの人達全員中学生?
…ごめんなさい。さっき豆大福を注文した人。
「あれぇ?さんじゃないですか〜♪」
あの声は…
「藤代君?久しぶりだねぇ。元気だった?」
「元気も元気です!」
「にしてもご利用ありがとうございますv」
「とんでもないッス。あ。さん。こっちが三上先輩で」
「ウッス。」
あ。さっきの2枚目君。
「こっちが同室の竹巳。」
「どうもすいません。」
猫っぽい。さっきの豆大福を注文した人とおんなじかんじ?
「で!この人が、オレらのキャプテン!渋沢克朗先輩ッス。例の豆大福の好きな先輩。」
「どうもすいません。本当に。」
「いいぇ。あなただったんだ〜。いつも洸がお世話になってます。ごゆっくりお召し上がりくださいねv」
「あ。はい。」
しばらくその人達はわいわい言いながら豆大福とお茶を飲んでいたけど
一通り食べ終ると大量の100円玉と10円玉を残してお店から楽しそうに出ていった。
「注文。。いいですか?」
「あ。一番最初のオーダーと同じモノでいいですか?」
「あ。はい。すいません。」
「いいぇ。はいv」
私が渡すともう1度深く頭を下げてご馳走様でしたと言って帰っていった。
そして数日後
「お姉ちゃん。明日暇〜?」
「明日?日曜日か〜。まぁね。」
「じゃあさ、お願いがあるんだけど!」
そして洸曰く、明日サッカー部の試合の応援に友達と行くんだけど、試合の後に夕食を食べたい(外食)
だけど、まだ中学生だから危ない。ということで保護者がいればいいよ。とお母さんが言ってくれた。
「つまり、私に保護者としてついていけと。」
「そういうこと〜♪おねがいしま〜す!」
「…はいはい。」
ったく。でもいつも服とか私のお古で嫌だとか言ってるもんね。しょうがないか。
そして試合終了。もちろん勝ったのは武蔵森。
「あれ?さんじゃん!」
「この間ぶりだね。藤代君。」
「じゃあ洸の保護者ってさん?」
驚いたような顔作ってるけど、なぜか知っていただろうって突っ込みたくなるのはなぜ?
「うん。そーだよ。何かご不満?」
「いいえっ。逆にすっげぇ嬉しいです。ね!渋沢先輩!」
「藤代…。」
あきれたように肩をがっくり落とす渋沢くん。
「どうもすいません。」
「あやまってばっかりだよ?あははっ」
楽しいな〜。でも皆私より2つくらい下なんだよね。。
渋沢くんは感じないけど〜。。
とりあえず楽しく夕食終了。
ちなみに私は右を渋沢くん。左に三上君。左斜め前には藤代君がいて、楽しくおしゃべりをさせてもらった。
外食も久しぶりだし。
「楽しかった〜。お姉ちゃん、ありがとう!」
本当に楽しそうでよかったって思った。
そして、3年後。
洸が17歳。渋沢くん、三上くんが18才の時…
「さん!」
そう私に藤代君が声をかける。
「どうしたの?!」
「アソコに行ってもらえますか?」
と、遠くを指差す。
私は?マークを浮かべながらも、そこへ行った。
「あ。さん。」
あの後も何度か会って、渋沢君たちは全員私の事を「さん」と呼ぶようになっていた。
「あれ。渋沢君?どうしたの?」
「オレ…さんが好きなんです。」
「ぇ」
「オレと、付き合ってもらえませんか?」
そう真剣な顔で言われた。
少し考える時間をもらって、私年上だけど良いですか?と最後に不安になったところを聞くと、もちろんOKです。と言ってくれたので、
私達は付き合う事になった。
ちなみに洸は三上君でも藤代君でも笠井くんでもなく、サッカー部の3軍の男の子と付き合っている。。
豆大福が運んでくれた出会い。
お茶を飲みながら、また思い出にひたってみようかな。
そう思った
ある春の日…
胡事把枝様に頂きました!!
また勝手に私がタイトルを決めてしまってすいません。今回はその人に会いたいがためにここにやってきた、みたいなイメージがあったので、そうつけたのです。ヒロインではなく、渋沢さんがって意味で。あはは。なんだか女々しいイメージになってしまったな。すいません。
珍しく年上設定っていうことでとっても新鮮でした(笑)そして何より、最後3年後ってことで、渋沢さん18歳じゃないですか、「来るか胡事様の十八番!?」とか思ったら来なかったからびっくりしました。自粛したんでしょうか(笑)やられた!?とも思いましたけど(笑)
三上んとかがいい味出していておもしろかったです。笠井くんとか藤代の扱いとか。しっかり妹もいい味出していて、こういろんなキャラを出してそれぞれにステキな役割を見いだせるのが羨ましいです。私は毎回藤代が可哀想な位置に立つ(汗)
本当にどうもありがとうございました。
俊宇 光
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