063 青空雨空 「雨…か…」 『今日の降水確率は0%です』 「ウソツキー」 たしかにさっきまでは、晴れていたのは事実…。 もう学校には、ほとんど人は残っていないだろうな…。 「あー、今度置き傘でもしようかなー」 さきほどの青空と、一変した雨空…。 「空さんよ、いったい何があったんだい」 そんなとき、カタンという下駄箱を開ける音に、私は反応して振り返る。 振り向いた先にいたのは… 「郭…くん…」 郭くんは、うちの学校じゃ有名になるくらいの容姿の持ち主。 「あはは、やっほー」 「…は、傘忘れたの?」 「たぶん、通り雨だろうから止むと思うし、少し私の暇つぶしに、付き合いませんか?」 「俺でよければ」 あーかっこいい。 そんなことを思いながら、私は必死に話題を頭の中からさぐりだす。 そういえば、さっき思ったこと、言ってみようかな…。 「あのさ、郭くん」 「雨が空の涙ならさ、人の涙は…心の雨なのかな…」 「不思議な人だね、って」 「郭くん?」 「あ…」 一本の折り畳み傘。 「入ってく?」 なんか悪いことしちゃったかな…。 「…持ってないとは、言ってないよ?」 わーこいつ策士だ…。 「…ふふ。でも、いいの?」 雨が、空の涙というように、人の涙は、心の雨なのだろうか…。 でも、もしそうなら、虹は人の笑顔かな、と、それから晴れた空に出た虹を見て、彼は呟いた…。 そんなことを考えた、青空と雨空…。 2003年2月12日 Fin
あひゃひゃひゃひゃくっさーーーーーーーー。はいもうくさいのたまものですね。なんかね、キャラチャの英士さんがやたら王子様だったので、それを参考にひたすらくさい台詞でもはかせてみるかなーっとか思い、この話にしました。ってか、英士は自分で天気予報がお得意なのでね。それを使いたくてこの題名を選んだようなものです。もっと短くなるはずだったのですが、妙に長くなりました。むんむん。まぁー王子英士ができあがったのでよしとしよう。そういやあの傘は、しっかり彼が自分で降るなっと思って持ってきたものでしょうね。それなのに、ヒロインさんにないともあるとも言わないあたり、少しでも策士さを分かっていただけると、嬉しいです。あはは。そういえばこれに自分でタイトルをつけるなら、「空の涙心の雨」ですね。まぁー1周年記念用ドリーム第9弾でした。
ふと見上げた空は、黒く、大粒の雨を降らせていた…。
今日、ふと聞いた天気予報。
私は、玄関の傘立てに座って、そうぼやく。
雨なんて、久しぶりに見た気がする…。
だけれど、今はこんなにもどしゃ降り…。
そういう時間まで、残っていた自分も自分なのだけれど…。
なんてぼけーっと考えながら、雨を降らせる空を見上げていた…。
なんて、話しかけるように私は言った。
まだ、誰か残ってたんだ…。
クラスメートの、郭 英士くんだった。
「……」
彼も、少しびっくりした様子だ。
そんな彼と、2人っきりになれただなんて、友達が羨ましがりそう。
でも、なんか気まずい…。
そう、郭くんが話を切り出してくれた。
「持ってない所を見ると、郭くんも?」
彼にそう疑問を返す。
「…」
でも彼は、何も答えずに私に笑顔だけ見せると、私の隣に立ち、空を見上げた。
そう傘がないと勝手に仮定した私は、彼を誘ってみる。
なんかさ、一人じゃ寂しいじゃない?
すると彼は、
と、答えてくれた…。
何を言ってもさまになるよね、郭くんって。
いや、バカにされるかな…。
まぁーいいか。
私はそう、郭くんに話し始める。
「何?」
郭くんは、嫌がりもせずに、そう返事を返してくれた。
「私さ、今思い出したんだけど、雨ってさ、空の涙、って、よく表現するじゃない?」
前に、そんな話を読んだことがある。
「そうだね…。暗い空が、まるで悲しんでいるようだって、表現する本も珍しくないね」
あ、良かった。
バカにされることはなさそうだ…。
私は、空から零れ落ちる涙を、みつめていた…。
そう、たっぷりあいた間隔の後、郭くんは私に言った。
「そう?」
不思議だと、言われたのは始めてだ…。
「そうだよ…」
そう答えると、彼は鞄をごそごそとあさりだす。
私は、その行動を不思議に思い、彼の名を呼ぶ。
すると、彼の鞄からは…
そう、彼は傘を広げながら、聞いてきた。
「傘…持ってたんだね…」
私は、少しびっくりしながら聞いた。
そう、不適な笑みで言われてしまう…。
策士だと分かっても、なんだか、笑みがこぼれるのは、なぜだろう…。
「君の、心の雨が、降らないうちにね…」
そう、彼は優しく、私に言った…。
escape5秒前