グリブル小説「雨」
 

 

 

さぁーっと町に雨が降り出す。
今まで晴れていたのが嘘のように、雲が集まり、その場に空の涙を落としていく。

今日は何が悲しくて泣いてるの?

今まで晴れて、暖まっていた町のアスファルトが、急に降ってきた雨に、急激に冷やされる。
すーっと、アスファルトが香った。

この匂いは嫌いじゃない。
あー雨が降ってきた、と思うから…。

アタシは、雨は嫌いじゃない…。
どしゃぶりの雨や、やたらと暑苦しい夏の雨は好きではないが、さらさらと、肌を少しぬらす程度の雨なら、大歓迎。

「…梅雨なんだねぇ…」
そう言えば、テレビで梅雨入りするだろう、と言っていたような気がする。

よく、人は自分が生まれた月を好むと言うけれど、それは本当かもしれない。
少し冷えた雨の日も、アタシは嫌いじゃないし。

そう思いながら、泣き出した空を、そっと見上げた。

周りは「やだ雨だ」とか、「さっきまで晴れてたのに」とか、「傘もってない」とか、非難の声をあげていく。
そのうち、その場には誰もいなくなっていた。

雨が、好きだと言う人は珍しい。
少なからずアタシが知る理由には、
世界がいきなり静かになった気になる。
ひとり取り残されたような気分になる。
気分が滅入る。
何もしたくなくなる。
体がだるくなる。
なんて、どれもいいものではないような理由。

でも、アタシは嫌いじゃない。

一人は慣れているからなのか。
静かなのは嫌いじゃないし。

雨で困るのは、洗濯物が干せないことくらいかしらね…。

「うふふ」
そう思って、思わず笑えた。

雨…。

空の涙と呼ばれることもある雨。
さっきまで晴れていたのに、いったい空に何があったというのだろう。

何か悲しいことでもあったの?
何がそんなに悲しいの?

 

 

 

「…おまえは傘をさすとか、雨宿りをするとかしないのか?」
そんなことを考えていたら、誰かにそう声をかけられた。

 

「…グリーン」
声のした方を振り返れば、そこにはアタシの大好きな彼がいて…。
「…べつに、いいのよ。アタシは雨が嫌いじゃないから…」
彼の方に向けていた視線を、再度空へと向ける。
「…風邪、引くぞ?」

心配してくれてるの?

「ひかないよ…」
何を根拠にそう言うのだろう…。

「…ったく」
彼はそんなアタシに痺れを切らしたのか、自分が着ていたマントを、アタシの頭に投げてきた。
「きゃっ!?ちょっ」
いきなり視界が見えなくなり、慌てて隙間から顔を出す。
「この先のポケモンセンターにいる。気が済んだら返しに来い」
「あっ!ちょっと!!」
慌てて返そうとするが、彼はその場を、走り去っていった…。

「…」
そのまま彼の後姿を見送る。

あえて、雨に濡れてるアタシを止めるでもなく、だからといって、濡れることに放っておくわけでもない。
そんな彼の優しさに、ふっと、笑みが浮かんだ…。

しばらくしたら返しに行こう。

そうすれば、また、あなたに会える。

 

2004年6月10日 Fin


あとがき

何がしたかったのかといいますとですね、こないだ梅雨入りしたとか話を聞いたし、ここ最近雨も多いので。姉さんは雨が好きな気がします。6月生まれですし。なんでも人は自分の生まれた月を好むと言いますしね。本当かどうかは知らないですが。まぁ今回もやっぱり嫌いじゃないって書きました。
グリーンとの関係はなんだかブルー姉さんは好きだ好きだ言うけど、グリーンはそれを「はいはい」って言ってるだけな関係かな?でもまぁ風邪をひかないようにマント貸してあげたりしてるので、もうだいぶ姉さんの虜です(笑)そのうちうまくいくでしょう(笑)
まぁ似たような話をドリームでも書いたことありますが、こっちはそんなにシリアスチックにはしてません。でも、姉さんはグリーンに会って、少し安心したんじゃないかな、って思います。ふふ。まぁわけの分からない話ですいません。妙な文章表現の中に、ブルー姉さんのグリーンに対する愛とか、グリーンのブルーに対する優しさとか、汲み取っていただければようございました。はい。15分で仕上げたし(アホ)
ここまで読んでくださってありがとうございましたぁ。