グリブル小説「6月1日。」
 

 

         6月1日。

 

 

 

 

 6月1日。
 何てことのない平凡な一日。
 昨日からの未来であり、明日からの過去。
 何も変わらないただの一日。

 

 

 天が何かを祝うかのような快晴。
 空は突き抜けるほど青く、爽やかな風が吹く。

 

 

「ねぇ。グリーン?
何処に行くつもりなの?突然出掛けるだなんて・・・」

 

 横で不思議そうに俺を見上げる女、ブルー。
 初めて出逢った時、俺はブルーの瞳に惹きつけられた。
 底のない、深い深い孤独。
 終わりを知らない絶望。
 だが不思議なことに歪みや、濁りはなく、ただ哀しいまでに澄んでいた。
 そして、彼女を知っていくと、どれほどブルーが強いかを思い知らされる。
 細い腕で自分と、そしてシルバーを守るために恐怖へと挑む。
 その姿はあまりに神々しい。

 

「グリーン。あなた私の話聞いてないでしょっ!!
私は何処に行くのか聞いてるのっ」

 

 ブルーの顔を見つめたまま、答えを返さない俺に痺れを切らしたのか、声を荒げる。

「聞いていないわけじゃない。答える必要がないだけだ」
「答える必要がないって・・・。
突然人を連れ出しておいてそれ?
あなた私を何だと思ってるのよっ!!」
「嫌なら帰ればいいだろう。別に俺はお前を捕まえてるわけじゃない」

 

 と言って、本当に帰られると困るんだが・・・。

 

「なっ。あなたって本当酷い人ね。
帰れるはずないじゃない。
あなたから誘ってもらったのなんて初めてなのよ。
すっごく嬉しかったんだからっ!!」

 ブルーはたまにこっちが戸惑うほど素直になる。
 普段は決して自分の本心を見せようとはしないくせに、俺が意図しない時に本心を見せる。
 彼女の言葉が嬉しくて、口元が綻ぶのが分かった。

「何よっ。笑わなくてもいいじゃない。
どーせ私はバカですよっ」

 

 俺の口元に浮かんだ微笑みを誤解したブルーは、俺を追い越し前に立った。
 だがその距離は俺が手を伸ばせば届く範囲だった。

 そのまましばらく無言で歩き続ける。
 空は青く、風は爽やかで本当に穏やかな日だ。
 天からよほど祝福されているのだろう。

 

「おい。何処に行くつもりだ」

 

 目的地の前を通り過ぎようとするブルーの腕を掴む。
 まあ、何処に行くのかを言ってないのだから当然だが。

「え?・・・ここ・・・?」

 

 

 予想通り、ブルーはある建物の前で首を傾げながら俺を見上げた。

「ああ」

 そこは街で一番大きなジュエリーショップ。
 デートスポットとしても有名らしい。

 

「お前、行ってみたかったんだろう?
一つ、欲しいものを選べ。買ってやる」

 そう言って俺が腕を掴み店に入ると慌てたようにブルーは俺の袖を引っ張る。

 

 

「どういうこと?グリーン。
意味が分からないわ。どうして・・・」
「今日はお前の誕生日だろうが。
忘れてたのか?」

 溜息をつきながらおれが言うと、ブルーは目を見開いた。

「覚えててくれたの?私の誕生日」
「当たり前だろうが。お前俺を何だと思ってる」
「冷たい人」

 

 即答されて俺はちょっと落ち込んだ。
 だがブルーの顔に幸せそうな微笑が浮かんでいるのでいいことにする。

 

 

「ほら。早く選べ」
「ええ」

 

 

 ブルーは少し店内を見回したが、すぐに迷いのない足取りで一つのブレスレットの前に歩いて行った。

「グリーン、これがいいわ」

 そう言ったブルーの手にあるのはアレキサンドライン・サファイアとムーンストーンの綺麗なブレスレット。

 その控えめな美しさがブルーに映えて綺麗だった。

 

 店員の勧めるラッピングを断り、そのままブルーに填めてやる。

 ブルーは嬉しそうに太陽に掲げて笑っていた。

 

「家宝にするわね。
ありがとう。最高のお誕生日プレゼントよ」

 

 

 帰り道を二人で歩きながら、ブルーはずっとブレスレットに触れていた。
 喜んでもらえてよかったと、俺は心から安堵していた。

 人に、ましてや自分の好きな人にプレゼントをするなんて滅多にあることじゃない。
 何を渡せばいいのか見当も付かなかったが、これでよかったのだと思った。

 

 

 

 ブルーの家の前まで来ると、ブルーは立ち止まり、俺を見上げた。

「本当にありがとう。グリーン。
こんなに嬉しい誕生日は初めて。
生まれて、生きてて良かったと心から思うわ」

 

 ブルーはそう言って、俺の頬に唇を寄せた。
 柔らかい感触を感じたと同時にそのぬくもりは離れていった。

 

「じゃ、また明日ね」

 少し恥ずかしそうに、逃げるように家の中へとブルーは消えた。

 

 俺は独り取り残され、しばし、その場に立ち尽くした。
 まだ頬に柔らかな感触が残っているような気がして、そっと、頬に触れてみる。
 僅かにぬくもりが感じ取れるような気がした。

 

 

 

 

 

 俺は今日、あらゆるすべての物に感謝するだろう。
 ブルーという俺にとっての唯一無二が誕生したことを。
 そして、出逢えた奇跡を。

 

 来年もブルーが俺の横で笑っていられることを祈りながら。

 

 


ぷふ(ええ)あははははは。いやぁもうふふふふふふうふふふうふふふ。笑いが止まらないとはこういうことを言うのかな。いや、にやけが止まらないのが正しい(うぉい)あははは。もう大好きだ!!!離流さん大好き!!お礼の落書きしたからもらって!!っていうかグリブル好き対象者宛だけど(笑)今度離流さんリクエストくれれば書きます!!!頑張ってきっと(うぉい)っていうかこの話思わず漫画化しようか悩んだくらい想像が激しかったです。だってさ、だってさ、彼を見上げる姉さんとか、嬉しそうに微笑む姉さんとか、びっくりしてる姉さんとか、「冷たい人」とかはっきり言っちゃう姉さんとか!!可愛いんだもん!!!!!!!ぎゃあああ。何より兄さんも可愛かった。あああああ。私にもっと画力があったら頑張るのに。悔しいけど沙耶ちゃんにお願いします(書かせるのか)ふふふふ(うぉい)楽しみです。
いやぁしかし現在やってるなりメとキャラが似た感じで非常に見ていて萌えるところでした。本当に萌の二乗倍って感じくらいに。あああもうどうして離流様は私のつぼをぎゅっとつかんでいらっしゃるんだろう。私の体には離流様専用のつぼ穴があるのかしら(おいおい)あはははは。
なんだか最初が私の話とかぶった〜っと嘆いておられたが、私はまったくもって気にしません。むしろ同じ始まり方でこんなにも違うんだなぁーと感動したくらいですから。あたしのと比べていただければ分かります。すごいです。全然違います。感動。あああああ。
本当にどうもありがとうございました!!!月下美人の続きも楽しみにしてまぁーす!!ああああ。

俊宇 光