「雨が頬を伝って、赤い唇を濡らした。」(グリブル)
 

10月10日 第10回目 「雨が頬を伝って、赤い唇を濡らした。」(グリブル)

 

「…雨…」
暗くなり始めた空に、雨を予感してはいたが、やはり空は泣きだした。

ぽつりぽつりと降る雨は、どこかのコンクリートが濡れた匂いを運び、土を濡らした匂いを運ぶ。
昔あいつは、「匂いで雨が分かる」と言ってたことがある。
あの時は、それがどんな匂いなのか教えてくれなかったけれど、この匂いのことだったのだろうか…。

「…」
傘を持っていないあたしは、次第に雨脚が強まる中を、先ほどと同じスピードで歩き出す。

雨は大嫌い。
雨は嫌いじゃない。
でも嫌い。
でも嫌いじゃないの。
好きと嫌いの狭間のような、求めているようで、拒絶したいような。
そんな感じ…。

「…はぁ」
雨宿りをする人を横目に、あたしは晴れている道を歩くように、颯爽と歩く。

雨は嫌い。
でも雨は嫌いじゃない。

 

「…グリーン」
ずぶ濡れの格好で、本来の目的地だったジムへ行く。
そこへ行けば、好きで、好きでどうしようもないあなたに会えるから。

「…傘は?」
「…今日の天気予報なんか知らない」
かみ合わないようで、かみ合っている会話を交わせば、彼が呆れながらタオルをくれた。
「…先に欲しいものがあるの…」
あたしはタオルを受け取るが、それを使わず彼を見上げる。
「なんだ?」
彼があたしを見つめた。
好きで、好きでどうしようもない緑色の瞳が、あたしを捉える。

あぁ、あぁ…大好きだ。

 

 

 

雨水が、ずぶ濡れになったあたしの頭から、頬を伝って、あたしの赤い唇を…濡らしていく…。

あぁ…あぁ…。

あたし今、憂いを帯びた瞳で彼を見つめてる。
それが、彼の瞳越しに見てとれて…

そして…

 

 

 

 

 

「っ…」

「欲しいものはなんだ」

見てとれるほどの至近距離。
濡れた唇に感じたぬくもり。
耳に届く、ぞくぞくするような甘い声。

「…グリーン」
そう言って彼に抱きつけば、ジムの鍵は閉められた。

 


まずいなぁ、どんどんエロくなるぞ。欲求不満か!?そうなのか!?いやなんかこう兄さんに雨に濡れる姉さんに欲情していただきたかたっただけです。
匂いで分かるって言ったのはあたしの知人の言葉より拝借。教えてくれなかったのも実話。あたしは究極的な太陽に愛された女なので、今日いきなり降り始めた雨にも、暗い空の中、家に帰って直後アイスを食べてたらやっと降ってきました。それくらい愛されています。姉さんは雨に好かれた女かもしれませんね(笑)

 

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