「一つの嘘は新たな嘘を呼び、私の罪を深めていく。」(グリブル)
 

10月14日 第14回目 「一つの嘘は新たな嘘を呼び、私の罪を深めていく。」(グリブル)

 

人を騙すのは簡単だった。
あたしの年齢と、あたしの容姿がそれを容易にさせた。

あたしは嘘を繰り返し、人を騙し、人を利用し、罪を深めていく。

またひとつ、またひとつと、一つの嘘は新たな嘘を呼び、そしてあたしは、何も信じられなくなっていた。

だって、何が嘘で、何が本当なのか、もう、分からなくなっていたから…。

そうしてまた嘘を繰り返し、あたしは何も信じなくなっていく。

 


一番大事な、彼の想いさえも…。


「グリーン、あたしのこと好き?」

だからあたしは、何度も何度も、確かめるように彼に言葉を求め続けた。

「なんだいきなり」

彼はまたか、と思いながら、あたしを見る。

「あたしのこと好き?」

再度あたしは問うた。

「…好きだよ」

何度目か分からない質問に、いつもと同じ答え。

でもあたしは、それじゃ足りないの。

何が本当で、何が嘘なのか。
今のあたしには、どうしても…どうしても分からないから…。

でももしかしたら、あたしはただ、彼の言葉が欲しいだけなのかもしれない…。

だけど、それもどうかも分からないくらい、あたしの本当がどこにあるのか、あたしにすら分からない。

「…もっと…もっと…」

だから、あたしはただひたすらに、あなたの言葉を求め続ける以外に、術がないのだ…。

「好きだ」

彼は再度、あたしに呟く。

「もっと」

あぁ、求めることを、止めることはできない…。
今更、あたしを変えることはできない…。

「…好きだ」

 

 

 

 

あぁ、もっと…。


「…好きだ」

 

 


もっと…。

 

 


そして怒られる(え)「お前は誰も信じない。それが何だか、憎たらしい。」に続きます。

 

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