「グリーンってさ…」
あたしは、グリーンが仕事をしている後ろでぼやきだす。
かれこれ数時間は、この状態で経過している。
彼は仕事をし、あたしはその後ろでお茶を飲んだり、雑誌を読んだり。
そろそろそれにも飽きてきた頃だった。
「…なんだ」
彼は仕事をしていても、こうやって応えてくれるんだから、優しいよなぁ。
「…グリーンは、どうしてあたしと付き合おうって思ったの?」
暇になると、余計なことばっかり考える。
同じ空間にいるのに、決して交わることのないこの感じが、不安を煽るんだ。
邪険にもしない代わりに、関わろうともしない。
それってもしかして、一番最悪な、無関心ってやつなんじゃないだろうか、なんて思ってくる。
「…なんだいきなり」
彼は、訝しげな表情で振り返った。
「なんとなく。結局グリーンは、断りきれなくて付き合っただけだったのかなぁって思って」
今の気持ちに疑いをかける意味ではないけれど、始まりはもしかしたら、そういう理由だったらどうしよう、とちょっと思う。
あなたのその優しさが、本当の想いを隠していくんだ…。
「…俺がそう思う人間に見えるか?」
彼はありえないと否定するように、眉間にしわをよせる。
「…グリーンはなんやかんやで優しいもの」
ずっとそばに居て、あなたを一番近くで見てきて、本当のあなたを、誰よりも知ったつもりでいるから、そう思ったんだ。
「…いや、ありえないだろ」
彼が呆れながら否定する。
「…ありえなくないよ」
あなたはすごく、すごく優しい人。
「…はぁ。じゃあ百歩譲って優しい人間だったとしても、その優しさを続けていけるほど俺はそこまで暇じゃ無い」
「…」
確かにそのとおりだ。
グリーンは年がら年中ジムの仕事に追われ、暇は読書や旅に費やす。
そんな暇のないグリーンが、こうしてあたしのために時間をくれる。
それが彼の優しさだったとしても、それをこうも長く続けていけば、それは誰にでも向けるような、無条件の優しさとはまた違う感情になる。
「…」
彼はそのまま、仕事に戻り出した。
「…好きだからくらい言いなさいよ」
でもそれを、なんだか鵜呑みにするのがくやしくて、そんな悪態をついてみた。
思い浮かばなくて、ダーリンに助けを求めました。ありがとう!!
兄さんが優しいのは姉さん限定です(笑) |