「なんでだろうね?」(グリブル)
 

10月26日 第26回目 「なんでだろうね?」(グリブル)

 

「なぁ、なんでおまえ俺が好きなんだ?」
「え?何いきなり」

毎回おまえが俺に聞く質問を、今度は俺が聞いてみる。

「おまえが毎回聞くから、じゃあおまえはどうなんだって思っただけだ」

実際俺が聞かれたって、うまくは答えられないのだが、彼女はいったい、どう答えるのか。
なんだかふと、気になったんだ。

「……なんでだろうね?」
「おいっ」
彼女はしばらく間をあけた後、嬉しそうに微笑んでそう言った。

それじゃあ、答えになってないだろう。
しかもなんで俺に問い返す。

「…えへへ」
彼女はただ、嬉しそうに微笑んだ。
ただ、嬉しそうに、本当に、幸せそうに…。

「なんだよ」
それさえも意味が分からない。
「…あなたがあたしに興味持ってくれるなんて、すごく、すごく嬉しいじゃないっ」
「…っ」

 

 


あぁ…くそう…。
なんかいらんもんに気づかされた気がする。

「大好き。大好きよ」
彼女が俺の首に、腕を回して抱きつく。
「……好きだ…」

こんな、些細なことですら、本当に嬉しそうに微笑むほど、俺はこいつに好かれてる。

あぁくそう、聞かなきゃ良かった。

 

真っ赤な顔を、俺は彼女を力強く抱きしめることで、隠し続けた。


 

 


離せたのは何十分後?

 

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