「好きだって言わせたいんだもん」(グリブル)
 

1月15日 第49回目 「好きだって言わせたいんだもん」(グリブル)

 

「ねぇグリーン」
「ん?」
本に夢中の彼は、あたしの呼び声に振り返りもしない。
「…本好き?」
「あぁ」
生返事。
「…バトル好き?」
「あぁ」
生返事。
「…ポケモン育てるの好き?」
「あぁ」
やっぱり生返事。
「ナナミさんの作ったアップルパイ好き?」
「あぁ」
生返事すぎだ!聞いてるのかな、こいつ。
「…オーキド博士好き?」
「あぁ」
駄目だ、ぜんぜん聞いてない。
「あたしのこと好き?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでそこで黙るのよ!!!」
あたしはぐいっと彼の服を掴んだ。
「さっきからなんなんだよっ」
彼は赤らめた頬を見せないように、本で隠す。
でも、耳が赤いのまでは隠せてないよ?
「好きだって言わせたいんだもん」
あたしのこと、好きだって、言わせたい。
「……っ」
「なんでそこで黙んのよ!」
もう!!好きだって言ってくれたっていいじゃない!!減るもんじゃあるまいし!
「…そんないい加減に答えるみたいな言い方したくないっ」
「……っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

何よそれ。
何なのよそれ…。

「じゃあ、ちゃんと、言ってよ…」
聞きたい、あなたの言葉で…ちゃんと……。

「…ブルー」
望む言葉が来るまで、あと少し。

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