「ねぇグリーン」
「ん?」
本に夢中の彼は、あたしの呼び声に振り返りもしない。
「…本好き?」
「あぁ」
生返事。
「…バトル好き?」
「あぁ」
生返事。
「…ポケモン育てるの好き?」
「あぁ」
やっぱり生返事。
「ナナミさんの作ったアップルパイ好き?」
「あぁ」
生返事すぎだ!聞いてるのかな、こいつ。
「…オーキド博士好き?」
「あぁ」
駄目だ、ぜんぜん聞いてない。
「あたしのこと好き?」
「なんでそこで黙るのよ!!!」
あたしはぐいっと彼の服を掴んだ。
「さっきからなんなんだよっ」
彼は赤らめた頬を見せないように、本で隠す。
でも、耳が赤いのまでは隠せてないよ?
「好きだって言わせたいんだもん」
あたしのこと、好きだって、言わせたい。
「……っ」
「なんでそこで黙んのよ!」
もう!!好きだって言ってくれたっていいじゃない!!減るもんじゃあるまいし!
「…そんないい加減に答えるみたいな言い方したくないっ」
「……っ」
何よそれ。
何なのよそれ…。
「じゃあ、ちゃんと、言ってよ…」
聞きたい、あなたの言葉で…ちゃんと……。
「…ブルー」
望む言葉が来るまで、あと少し。
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