「幸せになるなら、お前とがいい」(グリブル)
 

1月19日 第50回目 「幸せになるなら、お前とがいい」(グリブル)

 

「グリーンってさ、ぜんぜんあたしのこと好きになってくれないよねっ」
「は?」
仕事に夢中なあなたは、絶対あたしに振り向かない。
本に夢中なあなたは、決してあたしを眼中には入れない。
バトルをしてるあなたは、あたしの存在なんて、忘れてしまっているようで…。

好かれてる気がしない。
愛されてる気がしない。
付き合ってる、気がしない。

「…どんなに好きだって言っても言葉返してくれないしさ…」
言葉を言うのが嫌いなのは知ってるけれど…。
「絶対あたしに会いにきてくれないし」
だからあたしが会いに来る。
「まず、あたしが話しかけなきゃ、仕事か本にいつでも夢中だし」
だからあたしは必死に話題を探すのに、あなたはいつも生返事。
「…デートに誘っても仕事仕事でぜんぜん予定あわないし、あわしてくれないし」
毎日毎日毎日毎日ジムジムジムジム!
「ぜんぜん好かれてる気がしない!!」
なんであたしばっかり。

あたしの気持ちを受け入れて、あたしを好きになってくれたんじゃないの?
だから、付き合ってるんじゃないの?
それともあれは、あたしの勘違いで、あたしは自分の都合のいい夢を、見てるだけにすぎないのだろうか。
あたしはいまだに、片思いを、続けているのだろうか…。

「どうしたら…どうしたら好きになってくれるのよぉ…」
どうしたらいい?
どうすればいい?

あたしがわがまますぎるの?
言葉を言えないのを知っていて求めるから?
忙しいと知っていて、一緒にいたいと願うから?

だから、グリーンはあたしを必要とはしてくれないの?
愛しては、くれないの?

でも、あたしがそれを全て辞めたら、あなたはあたしを、オボエテイテクレマスカ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「べつに、今のままでいい」
彼は振り返り、あたしを見るとそう答えて、仕事に目線を戻す。
「今のままじゃ駄目だから愛してくれないんでしょ!?」
そうやって、あたしを愛してくれないから…。
「幸せになるなら、お前とがいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

「俺は…そう、思ったから…」

それは、あたしと付き合った理由?
あたしを、好きになった理由?

そのままでいいと言ったあなた。
あたしのその全てを知ってなお、あたしだけだと、そう思ってくれたから、受け入れてくれたのだろうか…。

「今は、それだけじゃ駄目か?」
言葉を言うのが嫌いな、あなたの必死な一言。
付き合って3ヶ月目にしては、彼には十分すぎる、言葉なのかもしれない。
「…今だけだからね」
仕方ないから、それで許してあげる。
「…」
頑張る、と彼は小さく呟いた。

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