「あたし、いつかあなたという海に、溺れていく気がするわ」
グリーンのベッドで、勝手に寝転がりながら呟く。
「はぁ?」
机で、仕事の残りを片付けていた彼が、怪訝そうにこちらを向いた。
「昔はさ、ただあたしの名前を呼んでくれるのが嬉しかったの。一緒にいれることが嬉しくて、話ができたときは、すごく嬉しかった…」
グリーンの匂いがする枕に、顔を埋める。
「…」
彼はぱたんっと資料を閉じ、椅子から立ち上がった。
「それだけで十分だったんだよ。」
あの時は、出会った頃は、付き合い始めた頃は、そうだったはずなのに…。
「…」
優しく撫でる彼の手が、あたしをもっと貪欲にさせる。
もっと…もっと…。
「それなのに、好きって言葉を聞きたくて、抱きしめてくれるぬくもりが欲しくて、キスをくれるほどの、愛が欲しくて…」
そうやってどんどんエスカレートしてく。
歯止めが利かなくなる。
あなたという、海に溺れて、もがいて、もがいて、ただ、あなたを求める。
「こんなはずじゃ…なかったのに…」
ごめんね…。小さく、呟いた。
「…別に構わないさ」
「え?」
堕ちていきそうな思考が、呼び戻される。
「おまえがわがままなのは、今に始まった話じゃないだろ?覚悟はしてたさ」
彼は苦笑しながら、あたしの頭を優しく撫でる。
「…何よそれ」
想像の範囲内ってこと?
「っていうか、この程度か?もっと身構えてたんだがな」
彼は不適な笑みを浮かべる。
「……どうなっても知らないわよ?」
その不適な笑みに少しかちんときたあたしが、挑戦的な顔で彼を睨んだ。
「…やってみろよ」
あたしが伸ばした腕をとり、彼は優しく、あたしの手の甲にキスをした。
あぁ、どろどろどろどろ堕ちていく。
あなたという、海に…。
どこまでも…どこまでも…。
ある台詞が思いつかず、ダーリンに助けを求めたら、(夏樹様Ver)ができました。1カ所違います。探してみましょう。俺に足りないのは攻め気だとショックを受けました(笑)
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