「デートのお誘いに来たんだけど?」(グリブル)
 

2月15日 第57回目 「デートのお誘いに来たんだけど?」(グリブル)

 

「おまえ、ほんとブルーに甘くなったよなぁ」
っていうか、誰に対してよりも、ブルーへの態度が優しい。
とレッドに言われたのは、つい先日のことだった。

自分ではそんな風に思ったこともなければ、意識してそう行動したつもりはない。
俺のどこが甘く、優しいというのだろうか…。


「グリーン!!」
またいつものようにジムで仕事をしているのに、お構いなしに邪魔をしにくる彼女。
「…なんだ」
俺は少し眉間にしわを寄せながらも、慣れてしまった出来事に普通に応対できるようになっていた。
彼女がお茶を入れてくれるのを横目にしながら、彼女が好む砂糖とミルクの分量までも覚えるほどに、その行為は続けられたからだ。

「…で、今日は何しに来たんだ?」
毎度、「たまには休憩取る!」と無理矢理お茶を飲むのに付き合わされるため、滅多に休憩を取らない俺は、この時間が唯一の休憩時間になりつつあった。
そんな中、俺はいつものように一息ついて、彼女にそう尋ねる。

今日は何をしに来たのか?
また
「グリーンの顔が見たくなったから」
と、小恥ずかしいセリフを平気で吐くのだろうか。それとも、
「グリーンに会いたかったんだもん…だめ?」
と、しおらしく言い出すのか。はたまた、
「好きな人に会いに来るのに理由はいる?」
と、開き直った態度で出るのだろうか。

どれにしても、いつものことなのだが…。
今日はいったいどんな理由で…


「デートのお誘いに来たんだけど?」
と、彼女が小首をかしげて上目遣いで俺を見た。


「…へぇ」
俺はゆっくり視線を反らす。

そうきたか…。

「たまには早めに終わらせて、一緒にどこかへ行かない?」
お茶のカップを両手で持ち、あまり熱いのが得意ではない彼女は、ふぅーっと息を吹きかけてお茶を冷ました。

あぁ…。
あぁ、駄目だ…。

おまえ、仕事中なんだぞ…。

「…ねぇ、駄目?」
あぁ、彼女のねぇが始まった。

あぁまったく…。
何を考えてるんだ…。

「…はぁあ…ったく」
「やった!!」
彼女いわく、俺のため息は肯定の証らしい。

あぁくそう。
レッドの言う通りだったな…。

ほんとに俺は、こいつに甘いようだ…。

 

 


なんやかんやで毎回文句を言いながらも、優しく抱きしめてくれたりする、そんな甘い兄さんなのです(笑)その甘さが、慣れという言葉に気づかなかっただけ(鈍)

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