「イエローぉ」
さっきから、怒気を含んだ目で僕を見るレッドさんが、何度目か分からない僕の名前を呼んだ。
「…だ、大丈夫なんです!」
僕は必死にそう伝えるが、
「そんな青い顔したあげく、眠そうにしてる人の言うことなんか信じられるか!」
当の本人は全然信じてくれなくて。
なんでこんなに怒らせてしまったかというと、僕がこのトキワの力、すなわち癒しの力を使いすぎて、貧血みたいになってしまったからだ。
「で、でも大丈夫なんです!!」
これ以上心配させまいと、そう必死に伝えるも、今でも気を抜けば、眠りの淵に誘われてしまいそうで、僕は必死にそれに耐えた。
でも、言うほど症状は悪くない。
もう1日ほど寝かせてくれれば十分なのに、レッドさんは思いっきり心配してくれていて…。
「嘘つくな!」
「嘘じゃありません!」
ほんとにそんなにひどくないのに…。
「じゃあ」
彼はうつむいた後、小さくそう言い出し、
そして…
「嘘吐いたら別れるからな」
彼はそう、告げた…。
「…っ」
僕はびくりと肩を震わせる。
「…もう一度聞く。本当に大丈夫なのか?」
レッドさんは念を押すように、僕に問うた。
僕が、嘘をつけないと分かっているくせに…。
ずるい…。
「イエロー」
彼はじっと僕を見る。
「…」
僕は何も答えないまま、手をぎゅっと握った。
「…イエローっ」
レッドさんは、少し強く、僕の名前を呼ぶ。
僕を心配してくれてるのは分かってる。
分かってるけど…
「…こ、答えられませんっ!」
僕は必死に、そう叫んだ。
自分の判断に絶対はない。
大丈夫といえば大丈夫だけど、実際もう少し眠らなければ回復はしないことは分かる。
でもこれ以上、心配もかけたくない。
だから、僕が答える答えは嘘になる。
嘘をついたら別れられる。
だから…
言えない…。
「………っ…はぁ…」
彼は大きくため息をつく。
「…っ」
僕はびくりと、肩を震わせた。
「…頼むから…倒れるまで無理なんかしないこと…」
彼が僕をぎゅっと抱きしめる。
「…っ!?」
本当にぎゅっと…力強く。
息ができなくなるほど、苦しく、痛く…。
「レッド……さんっ」
僕は苦しげに名前を呼び、彼の服をぎゅっと握り締めた。
「…無茶しすぎだ。自分の限界をちゃんと知っとくこと。次倒れたら本気で止めるからな」
「……う」
あなたがそれを言いますか?とも思ったが、僕は何も言わなかった。
レッドさんは無茶でも、やり遂げる力があるから。
僕も…僕も…もっと…もっと…頑張らなきゃ…。
「…イエローっ」
「…が、頑張りますっ!」
僕はぐっとこぶしを握って、強い瞳で彼を射抜く。
「はぁ……ったく」
彼は呆れたようにため息を吐いたけれど、僕の頭を撫でて、眠らせてくれた。
嘘じゃない。
嘘じゃないよ…。
頑張るよ。
いつかあなたに、追いつけるように…。
意思疎通の取れてない、レイエ(笑)レッドは愛故に過保護であればいい(笑)
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