「いつか、行こうよ。二人で」(レイエ)
 

9月11日 第14回目 「いつか、行こうよ。二人で」(レイエ)

 

「何見てるんだ?」
雑誌を見ている彼女を覗き込む。
「…ブルーさんが、くれたんです」
そう言って、俺にも見せてくれる。
何何?

 

今人気のデートスポット。

 

「ん?」

これ、世に言う女性誌ってやつか。
イエローでも、こういうの興味あるんだなぁ。
意外…なんて言ったら失礼か…。

イエローでも、こういうとこ行きたいのかなぁ。
遊園地とか好きなのかなぁ。
それともショッピングモール?

「ここ、ポケモン多そうでいいですよね!」

そう、ポケモンが多くて…

 

ん?
ポケモンが多い?

俺は慌てて、イエローが指した場所を見る。
それは、

「え?ここ?」
「はい!」
指差していたのは、その記事の横にある、広告のページ。

生い茂る森、そして山、綺麗な青い空が絶妙のコントラストをかもし出す、リゾート地区の宣伝広告。
この綺麗な森に、いっぱいポケモンがいるんだろうと、そう言うのか、彼女は。

「…ぷっ…」
「ふえ?」
「あはははは!!!」
「え!?えぇ、ど、どうしたんですか?僕、なんか変なこと言いました?」
彼女は俺が笑い出したことに本気で不安そうに見上げてくる。
あぁ、可愛いなぁ。

「…いやっ…なんでも…ない」
俺は必死に笑いをこらえる。
「えぇ?なんなんですかぁ?」
彼女はわけがわからないというように、首をかしげた。
「…はぁ。……行こうか」
「へ?」

「いつか、行こうよ。二人で」
ここに。

「……へ…」
「なっ」
俺は嬉しそうに微笑む。
「……あ……はいっ!!」
「…っ」
すっごく嬉しそうに、笑い返してくれるから、思わず顔が、熱くなった。

ブラウザのバックでお戻りください。