「ちょっと黙って目ぇ瞑れ」(グリブル)
 

9月17日 第15回目 「ちょっと黙って目ぇ瞑れ」(グリブル)

 

「ねぇ、グリーン」
今日も構ってくれない彼に、猫なで声。
「…」
「ねぇってばぁ」
ここ最近じゃ、振り向いてもくれなくなっちゃった。
「…ねぇえ」
しょうがないから、後ろから抱きついてみる。
でも、
「っ!抱きつくなっ」
彼は、あたしの手を払いのけた。

ここ最近、これの繰り返し。
構ってくれない、甘えさせてくれない。
寂しくて、切なくて、苦しい。

「ねぇ」
「なんだっ!」
彼は仕方なく、あたしに振り返ってくれる。
「キスしてよ…」
「は?!」
「キス…して…」
「なんで!?」
「キスしてくれなきゃ、寂しくて死んじゃう!」
「なんでだよ!」

むちゃくちゃなこと言ってるのは分かってるけどぉ、でも、これしか思い浮かばなかったのぉ。
抱きついても怒るなら、キスしてもらう以外、触れる術がない。
手握っちゃったら、離したくなくなっちゃうし。

「ねぇ。キスして」
「…っ」
彼の顔がどんどん真っ赤になっていく。

「ねぇ、グリーン」

「ねぇってばぁ」

「キスして…」

「ねぇ」

彼が黙って真っ赤になってるのをいいことに、散々甘え攻撃。

「ねぇ」
「ちょっと黙ってろ!キスして欲しきゃ目ぇ瞑れ」

あ、してくれるんだ。
ちょっとびっくり。

「…ん」
あたしは嬉しそうに苦笑して、そっと目を瞑った。

唇にぬくもりを感じるまで、あともう少し。

ブラウザのバックでお戻りください。