「ちゃんと寝てる?」
心配そうにブルーさんが僕を見る。
「…いちおは…」
最低限の睡眠はとったつもりだ。
「……ちゃんと食べてる?」
僕の言葉に、眉間にしわを寄せたブルーさんが、再度僕に問うた。
「…いちおは…」
お腹がすかない程度には食べているつもりだ。
「…はぁ」
ブルーさんは、おもむろにため息をついた。
「…だからやめちゃえば、って言ったのに」
前に、「やめっちゃえば、あんなやつ」と言われたのは、いつのことだっただろうか…。
「…やめられませんって、答えました」
いつのことだったか、思い出せないけど、そう答えたのだけは、覚えてる…。
「…はぁ。無理をしすぎると、イエローが壊れちゃうよ?」
無理…。
さみしくないと言い聞かせて、どのくらいたったのか。
平気だと言い聞かせて、どのくらいたったのか。
もう、あまり覚えていない。
無理をし続けると、人間は限界を超えて、ちょっとの無理は、無理だと感じなくなっていく。
そうやって僕は、彼がいないことを、平気だと、思い続けていくんだろうか。
でも僕はやっぱり
「でも僕は、僕に会いに来る、レッドさんを好きになったわけじゃないんです…」
いつまでも前を見て、自分の行きたい道を、歩み続ける、彼の背中に恋をしたんだ…。
「でも、苦しいんでしょ?」
寂しくて、悲しくて。
そう、聞こえた…。
「…」
僕は何も答えなかった。
確かに、待ってるだけは苦しい。
寂しい…。
悲しいけど…。
待ってる、だけは…。
「っそうか…」
僕はふと、顔を上げる。
「え?」
彼女が僕を見た。
「…僕、レッドさんの所に行ってきます」
僕は椅子から立ち上がり、家を出ようとする。
「え!?ちょっ、いきなりなんで!?」
ブルーさんが叫んで僕を止めた。
「待ってるだけだから苦しいんですっ。だから、僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」
そう言って、僕は家を飛び出した。
待ってるだけだから苦しい。
待ってるだけだから、僕は何もできないままなんだ。
だから、だから僕から、あなたを、僕がいなきゃ駄目だっていう気にさせよう。
引き止めることも、一緒に行くことも、今の僕からはできないから。
でも、待ってるだけなのも、僕には苦しいんだ。
「…っ…はぁ」
だから、僕は走り続けるよ。
あなたの背中を追って。
待ってるだけなのが、苦しいから。
「ほんと、かっこいいんだから…」
頬杖をついて、ぼんやりと外を眺めるブルーさんが、そう呟いた。
少年チックなかっこよさは、ブルーには出せませんからね。ブルーのかっこよさは凛とした美のかっこよさなんだ!これでレイエのイエロー+ブルーの3本たての完結。なぜか続きものになってしまった。 |