「手ー繋ぎたいぃ」
あたしは猫なで声で、必殺上目遣い付きの攻撃。
だって周りはカップルだらけ。
腕組んでラブラブを見せ付けるかのような仕打ちに、あたしは我慢ができなくなったのだ。
でも、
「嫌だ」
お願いは一刀両断。
「なんでよ!!」
そう反撃をしてみるも、
「こんな人前で手なんか繋げるか!!!」
と、タマムシシティに新しくできた、ショッピングモールで怒られた。
「むぅ…いいじゃなーい!…手つなぐくらーい!」
買い物を終わらせ、帰り道にぶつぶつと文句をたれる。
「あんな人の多いところに付き合ってやっただけでも感謝しろっ」
でも、文句に嫌味が返される。
「あれは、グリーンだって用事があったんだから利害の一致でしょ?」
あたしのわがままだけじゃないわ?
「別におまえと一緒に行く必要性はこれっぽちもないんだが?」
「ひっどーーーい!!せっかくの休みくらいデートしてくれたっていいじゃない!!」
何よその物言い!!さすがに傷つくんですけど!!!
「……冗談だよ」
あたしの泣きそうな表情に、彼は少し罰が悪そうにつぶやいた。
「………ねぇ、手、繋がせて。駄目?」
今度は涙目で上目遣い攻撃。
さっきよりもしおらしさプラスだ。
これでどうだ!!
「……はぁ…」
彼は諦めたようにため息を吐き、あたしの頭を優しく撫でてくれる。
それは、どういう返事なのよ…。
「駄目…なの?」
さらに小首をかしげる攻撃もお見舞いしてやる!
ここはもう家に帰るだけの人通りが少ない道だ。
さっきの理由で断らせたりなんか、しないんだからね?
「……ほら、帰るぞ」
そう言って、あたしの腕を引っ張って歩き出す。
「ちょっ、グリーンっ……それは…手を繋ぐって言わないんですよぉ」
腕を引っ張られながら、あたしは家路を早歩き。
「…うるさい」
でも、彼の耳が、後ろからでも分かるくらい真っ赤だったから、今日はこれで許してあげる。
でも、家に帰ったら、容赦しないんだからね?
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