「手、繋がせて。駄目?」(グリブル)
 

11月6日 第25回目 「手、繋がせて。駄目?」(グリブル)

 

「手ー繋ぎたいぃ」
あたしは猫なで声で、必殺上目遣い付きの攻撃。

だって周りはカップルだらけ。
腕組んでラブラブを見せ付けるかのような仕打ちに、あたしは我慢ができなくなったのだ。

でも、

「嫌だ」

お願いは一刀両断。

「なんでよ!!」

そう反撃をしてみるも、

「こんな人前で手なんか繋げるか!!!」
と、タマムシシティに新しくできた、ショッピングモールで怒られた。

 

「むぅ…いいじゃなーい!…手つなぐくらーい!」
買い物を終わらせ、帰り道にぶつぶつと文句をたれる。
「あんな人の多いところに付き合ってやっただけでも感謝しろっ」
でも、文句に嫌味が返される。
「あれは、グリーンだって用事があったんだから利害の一致でしょ?」
あたしのわがままだけじゃないわ?
「別におまえと一緒に行く必要性はこれっぽちもないんだが?」
「ひっどーーーい!!せっかくの休みくらいデートしてくれたっていいじゃない!!」
何よその物言い!!さすがに傷つくんですけど!!!
「……冗談だよ」
あたしの泣きそうな表情に、彼は少し罰が悪そうにつぶやいた。

「………ねぇ、手、繋がせて。駄目?」
今度は涙目で上目遣い攻撃。
さっきよりもしおらしさプラスだ。
これでどうだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ…」
彼は諦めたようにため息を吐き、あたしの頭を優しく撫でてくれる。
それは、どういう返事なのよ…。
「駄目…なの?」
さらに小首をかしげる攻撃もお見舞いしてやる!

ここはもう家に帰るだけの人通りが少ない道だ。
さっきの理由で断らせたりなんか、しないんだからね?

「……ほら、帰るぞ」
そう言って、あたしの腕を引っ張って歩き出す。
「ちょっ、グリーンっ……それは…手を繋ぐって言わないんですよぉ」
腕を引っ張られながら、あたしは家路を早歩き。
「…うるさい」
でも、彼の耳が、後ろからでも分かるくらい真っ赤だったから、今日はこれで許してあげる。
でも、家に帰ったら、容赦しないんだからね?

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