「おまえさ、俺を好きだ好きだばっか言ってるが、他に好きなこととかないのか?」
何度目か分からない「好き」という言葉に、思わずそんなことを聞いてしまった。
「ないよ」
「…」
そんなきっぱり言われると、それはそれで恥ずかしくなる…。
「…なんか、趣味とかないのか?…おまえ、確か変な機械とか作るの好きじゃなかったか?」
なんかいろいろ作ってただろう…。
「変なってひどいなぁ。少しは役立つんだから…。でも、グリーンより好きなわけじゃないし」
「…っ」
またそういう恥ずかしいことを平気で…。
「ピアスとかかわいい小物系集めるの好きなんだろ?」
そういえば。
「グリーンのが好き」
「…っ!?」
あぁもう、俺の顔が熱くなるだけだ。
「…なんでそんなこと言い出すの?」
彼女が少し不安げな声を出す。
「え?…あ、いや…別に」
深い意味は、ないけれど…。
ただ、俺のことを好きだって以外に、聞いたことがないから、本当に何もないのかと、気になっただけで…。
「あたしがうざいってこと?」
「誰もそんなこと言ってないだろ?」
なんでそんな考えになる!?
話を飛躍しすぎだろ!?
「あたし…あたしは…グリーンが好きだよ、他のものなんてなんにも見えない!」
「ブルー!!!」
俺は、叫びながら逃げ出した彼女を追いかける。
傷つけるつもりで、言ったわけではなかったのに…。
「離してっ!!」
しばらく逃げたところで、彼女を捕まえる。
「…ごめんっ…ごめん…」
傷つけるつもりで、言ったわけじゃないんだ。
泣かせるつもりで、言ったわけじゃない…。
「…あたしは…グリーンが好きなの…グリーンだけが…好き…」
涙目で、俺を見上げてくる。
「…うん…好きだ…」
気持ちを受け止めるように、俺だけを愛してくれる彼女を、ぎゅっと抱きしめた。
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