「好きだよ、他のものなんてなんにも見えない!」(グリブル)
 

11月26日 第33回目 「好きだよ、他のものなんてなんにも見えない!」(グリブル)

 

「おまえさ、俺を好きだ好きだばっか言ってるが、他に好きなこととかないのか?」
何度目か分からない「好き」という言葉に、思わずそんなことを聞いてしまった。
「ないよ」
「…」
そんなきっぱり言われると、それはそれで恥ずかしくなる…。
「…なんか、趣味とかないのか?…おまえ、確か変な機械とか作るの好きじゃなかったか?」
なんかいろいろ作ってただろう…。
「変なってひどいなぁ。少しは役立つんだから…。でも、グリーンより好きなわけじゃないし」
「…っ」
またそういう恥ずかしいことを平気で…。
「ピアスとかかわいい小物系集めるの好きなんだろ?」
そういえば。
「グリーンのが好き」
「…っ!?」
あぁもう、俺の顔が熱くなるだけだ。
「…なんでそんなこと言い出すの?」
彼女が少し不安げな声を出す。
「え?…あ、いや…別に」
深い意味は、ないけれど…。
ただ、俺のことを好きだって以外に、聞いたことがないから、本当に何もないのかと、気になっただけで…。
「あたしがうざいってこと?」
「誰もそんなこと言ってないだろ?」
なんでそんな考えになる!?
話を飛躍しすぎだろ!?
「あたし…あたしは…グリーンが好きだよ、他のものなんてなんにも見えない!」
「ブルー!!!」
俺は、叫びながら逃げ出した彼女を追いかける。

傷つけるつもりで、言ったわけではなかったのに…。

「離してっ!!」
しばらく逃げたところで、彼女を捕まえる。
「…ごめんっ…ごめん…」

傷つけるつもりで、言ったわけじゃないんだ。
泣かせるつもりで、言ったわけじゃない…。

「…あたしは…グリーンが好きなの…グリーンだけが…好き…」
涙目で、俺を見上げてくる。
「…うん…好きだ…」
気持ちを受け止めるように、俺だけを愛してくれる彼女を、ぎゅっと抱きしめた。

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