「言葉が欲しいなんてゼイタクかなー……」(グリブル)
 

12月30日 第43回目 「言葉が欲しいなんてゼイタクかなー……」(グリブル)

 

「…グリーン」
「ん?」
呼べば振り返るあなたを手に入れた。

「グリーン、大好きよ…」
「…好きだ」
想いを伝えれば、返してくれるあなたを手に入れた。

「…グリーン…」
「…どうした?」
そっと首に腕を回せば、抱きしめ返してくれるあなたを手に入れた。

「…っん」
「…っ」
そっとキスをすれば、キスを返してくれるあなたを手に入れた。

「…グリーン…」
「ん?」
こうして、一緒にいてくれるあなたを、手に入れた…。

 

 

 

 

でも、足りない。
満たされない。

どんなに欲しいあなたを手に入れても、足りない、満たされない感覚。

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

「言葉が欲しいなんてゼイタクかなー……」
「え?」
ぼそりと呟く言葉に、返してくれる言葉がない彼を、手に入れた。

「…グリーンの、愛の言葉が欲しいの」

そう思うあたしは、きっとゼイタク。

これだけの想い、これだけの行動。
これだけあたしに返してくれれば、十分だって思う。
言葉がなくても、昔より愛されてることは、理解できた。

でも、それでも、確実な、”言葉“が欲しい…。

それはゼイタク…なのだろうか…。

 

 

「…どんな?」
「え?」
うつむいていた顔を上げる。

「どんな言葉が欲しい…」
そっと触れる手。
指先から感じるぬくもり。
耳に伝わる声。

こうやってあなたは、あたしの願いを全て叶えようとしてくれる。

甘いなぁ。

「…アイの…コトバ」

そうやってあたしは、どんどん付け上がっていく。
問いの答えにならない、限定するわけでもない、曖昧な願い。

「…ブルー」
「…っ」
少し考えた後、彼はあたしを抱きしめて、耳元で名前を呼ぶ。

それだけにすら、愛にも似た感覚を感じる。
思わず、ぞくっと、体が震えた。

「…好き……いや…愛してる……」

 

 

 

あぁ…

そんな声で、アイのコトバを囁かれれば、あたしを満足させるには、十分だ。

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