「カーシスさん!!」 「ほれっ!」 「それーじゃーのー。」 「ほんじゃー、行ってくんねー。」 「…でっけー。」 「…見たことねーよ。こんなの。」 第五話 おしまい
カーシスは、アルスの家に来ていた。
「おーウィル。リシアは完成したかい?」
「はい!」
完成させたのはアルスだが…。ウィルはカーシスにディスクを渡した。
「ほい。それじゃー、接続じゃー。」
そう言って、カーシスはリシアの元へと向かった。
『カチカチ。カポ。ガチャン。カポ。カチ』
ディスクを中に入れた。
「ほれ、ウィル。中に入ってみろ。」
「はぁー。」
ちょっと不安げな顔して言う。
『ガタ』
「うわー。広い、感じがする…。」(実際には変わってないから)
周りを見わたした。
「ウィル。そこの緑のボタンを押してみろ。」
「はぁー。」
このボタンは、ウィルが作っている時に不思議に思った所である。だから、ちょっと気が引けたが、押してみた。
『ポチッ!』とな。
「ハッローン・ウィル。」
「だぁー。」
『ガタッ!』
「いってー。」
ウィルはこけた。やっぱり元と大きさが変わらないからせまい。
「あらら。」
なんとその緑のボタンは、リシアのホログラフィーを写し出すものだったのだ。かなりのハイテンションのうえに、いきなり出てきたので驚いたウィル。まぁー普通は驚くだろう…。それに、あれだけ命令に忠実?だった(第一話参照)リシアが、これだけ変わってしまうのだから。
「ウィ、ウィル、どうしたの?」
ガタッという音に反応して、アルスが中をのぞいてきた。
「あはは。いやべつに…。」
こけたままのカッコでは、べつに、の言葉はおかしい。
「…。」
「あーあなたがアルスね!私の性格プログラムを作ってくれた人。」
リシアはアルスの存在に気付き、にっこり笑って言った。
「え…あー、そーだけど。」
やっぱアルスも圧倒された。
「えーと、あらためましてこんにちは。私はリシアです!!」
「あ…よろしく…。」
ハイに付いていけないアルス…。
「えへ!」
にっこり笑うリシア。
カーシスは、ウィルに丸い物体を渡した。
「なんですか?これ。」
不思議そうに見る。
「これはのー、ほれっ。」
そう言って、あるボタンを押した。
「ハッローン・」
『ガタッ!』
「あ、ウィル…大丈夫? 」
またこけたウィル。
「いつつ…って、リシア !!」
「はーい、そーでーす。リシアちゃんでーす。」
あいかわらずなハイテンションぶり。
「どうして…。」
びっくりしているアルス。
「これは携帯用、ホログラフィー映像装置じゃ。」
にっこり笑って説明するカーシス。(うっ…。)
「え…じゃー、いつも持ち歩けるってことですか?」(ウォークマン?)
起き上がりながらウィルが言う。
「その通りじゃ。」
「っということで、よろしくね!ウィル。」
にっこり笑って言う。
「私…こんなにハイにしたっけー?」
っと、不思議そうに言った。
「えへ!!」
またにっこり笑って言う。
そう言ってカーシスは出ていった。
「はい。どーも。」
そう言ってウィルは、カーシスを見送った。
「とうとう明日だね…。」
少し寂しそうに言う。
「明日は面接だし…本当にそこで仕事ができるかはわからないよ…。」
優しそうな顔でアルスに話しかける。
「その心配はいらないと思うよ…。」
「え?」
「ウィルなら大丈夫だよ…。」
「…ふっ。サンキュー。」
安心したような顔つきでウィルが言う。そーいえば、今日カーシスがここに来たのは、このことを話すためである。
「さて、そろそろ寝るか。」
そう言って、その日は寝た。
「いってらっしゃーい。」
ウィルはアルスに見送られ、家を出た。
「さて、行くか。」
「行くですぅー。」
そして、ウィルは街に向かった。
『カラン』
「お!ウィル…来たか。」
「はい。よろしくお願いします。」
「うむ。それじゃー、行くかのー。」
こうしてウィル達は、研究所へと向かった。
その研究所とはとても大きく、っというか土地が広い。
「ほれ行くぞ。」
慣れた言い方。
「あっ!はい…。」
置いてかれるウィル
「ふわー。中もひれーや。」(そりゃそーだろう)
周りを見ても圧倒される。
「ウィル、こっちじゃ。」
なんだか、この中を知っているようだ。カーシスはエレベータの方へと向かった。
『ウイーン』
エレベーターは、最上階へと向かう。
「お待ちしてました。」
っと、エレベーターを降りるなり、女の人が言い出した。
『ガチャ』
扉が開く。
「あー。久しぶりですね。カーシス教授。」
部屋の奥の方に人がいた。だけど、逆光で良く見えなかった。
「あはは。教授はもうやめてくれよ。退職したんだから。それにしても、本当に久しぶりだなー。」
二人はどーやら知り合いらしい。
「その子ですか?」
やっと顔が見えた。
「あ!ウィルです。」
そこには、18歳ぐらいの男の人が立っていた。
「彼もね、わしがここに紹介したんじゃよ。お前さんと、同い年の時に…。」
「そう。あ!ってことは、君は16歳かー。若いなー。」
あんたも十分若い。
「二人は知り合いなんですね 」
ちょっぴりびっくりしているウィル。でもなんだか、緊張は解けた。
「あー。わしはここで、教授として働いていたのじゃよ。こいつは、元わしの助手じゃ。」
どーりで、中をよく知ってるわけだ。納得。
「それじゃー、面接を始めよう。カーシス教授の推薦じゃ、するんまでもないと思うけど…。」
そーいえば、なぜこの人が面接官なのか、疑問に思った方も多いでしょう。(きっと)それは彼が唯一、そーいう面接官みたいな仕事ができるポストにいる最年少であるからである。やっぱり若い人の話は、若い人同士の方が、良いというわけだ。そう。カーシスも、この研究所では、けっこうすごい人だったらしい。
「いいのじゃ。ほれ、ウィル。リシアを出しなさい。」
「あ!はい。」
そう言って、テーブルの上に置いた。
「ほう、ホログラフィーの映像機か…。」
一発でわかるし…。
「はい。そうです。」
そう言って、ボタンを押した。
「ハッロ〜ン・リシアでっす。」
相変わらず突然である。もうウィルはこけなくなった。
「お…お元気さんだね。君。」
向こうは、どーやら驚いているようだ。
「君なんて呼ばないでよ!!私はリ・シ・ア!」
「へー。ちゃんと音声認識プログラムも付いてるわけか。」
感心しているようだ。
「それを作ったのはカーシスじいさんです。」
「え?それじゃー。」
「見てほしいものは、別にあるんじゃよ。」
なんかうれしそう。
「え?」
動揺しまくりの面接官。
見るなりびっくり。
「そりゃそーじゃろー。」(それはそーである)
「え?」
「こいつは、別の星から来たやつなんじゃからのー。」
っとさらりと言った。
「…え?」
うまくのみ込めていないようだ。まぁーそれもそーだ。いきなり別の星とか言われても、納得がいくわけがない。でもこの星では、他の星の人が来ても、そう驚くもんではない。珍しくないからだ。この人が納得 いかないのは、この歳で別の星に来たと言うこと。
「シーイブル星から来た、ウィルです。」
「…シーイブル星? 聞いたことないなー。」
そう言って考え込み出した。
「そりゃーそーですよ。ここからじゃ全然見えませんし…僕達も知らなかった。あ、もしかしたらもうないかもしれない…。」
寂しそうに言うウィル。
「そーか。とりあえず見せてもらうよ。」
その人は、ウィルが言ったことを理解した。
『ガタ』
動力炉のふたを開けた。
「へー、しっかりできてんなー。」
「それが、初めてウィルがこの星で作った機械なんじゃよ。」
説明しだすカーシス。
「え!?初めてだって?」
驚いているようだ。
「いや、でも、カーシスじいさんに教えてもらったし…。」
「教えたっていっても、基礎しか教えとらんよ。」
「はぁー、基礎教えただけで、これだけできるのか…。」
感心しているようだ。
「それはただ修理しただけですし。」
「いや、でもそれにしてもすごいよ。」
そして、面接官は中へと入っていった。
「ん?」
面接官は、緑のボタンを押してみた。
「どーも!!リシアでっす。」
ちょっと抑えたようだ。
「あ!君はさっきの…じゃー、君はここの音声プログラムだったんだ。」
「そーでーすっ。」
お気楽そーに答える。
「はっ…ははは…さっきから驚いてばっかりだ…。」
いきなり笑い出した。
「…。」
「ははは…いいよ君!!気に入った。合格だ!!」
「本当ですか!!」
「あー。うえには俺がなんとか言っとく。ぜひとも僕の下で働いてくれ!」
「あ、はい!」
喜ぶウィル。
「よろしくな!ウィル。俺はグレイスっていうんだ。」
そう言って、グレイスは手を差し伸べた。
「あ…よろしくお願いします。」
そして二人は握手をした。