クリスマスツリー 「うっわぁーレッドさん!すっごい人ですね!」 ここは、カントーでも有名なクリスマスのデートスポットだ。 「あ…あの…レッドさん?」 そのまま人混みをかき分けて、メインの場所へと向かう。 「綺麗ですねぇ」 彼女の場合素だから困る。 「さぁ行こう」 「うっわぁーすっごいですね!!」 目の前に広がる大きなクリスマスツリー。 「なんか、願い事つるしたくありません?」 それからしばらく、クリスマスツリーを眺めては、他愛もない話をしていた。 「あっ」 また来年、クリスマスを一緒に過ごそう? 「………はいっ!!」 さて、来年までに、いいスポット探してこなきゃだ。 2004年12月24日 Fin
思いついたから書いただけです。言っておきますが好きになったわけではありません(笑)まぁ結構うちにくる人は、レイエ好きも多いので、その方たちへのクリスマスプレゼントと言うことで。
人が群をなす広場を、嬉しそうに見てはしゃぐ彼女。
「イエロー!あんまはしゃぐなよ」
思わずその可愛さに、笑みがこぼれた。
「きゃあっ」
言わんこっちゃない。目を離せばすぐ人混みにさらわれてしまう。
「イエローっ!」
ぐっと手を引っ張って自分の方に寄せた。
「あっ…す、すいません」
彼女は少し恥ずかしそうに笑みを浮かべる。
ブルーが二人で行ってくれば?と紹介してくれた所。
まぁ、予想通りというかなんというか、どこを見てもカップルだらけで。
かく言う俺らも、そのカップルの1人なんだろうけど。
繋がれたままの手に疑問を抱いたのか、彼女が恥ずかしそうに俺を見上げる。
「…ん?」
俺は、何が言いたいのか分かっていながらも、普通に答えを返した。
「…あの…手…」
それを言うだけでも恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして、人混みに紛れてしまいそうな声で、イエローが囁く。
「…イエロー、すぐ迷子になるからなぁ」
保険ってことで、と手をぎゅっと握った。
「なっ!?子どもじゃないんですから大丈夫です!!」
頬を膨らませて怒る彼女は、ほとんど子どもに近い。
「はいはい」
軽くあしらいながら、それでも可愛いと思う俺は阿呆だろうか。
もうっ!とイエローは怒るが、繋がれたままの手を見ると、どうやら俺の勝ちらしい。
周りの木々には、たくさんのイルミネーションが施され、赤、緑や青と電飾が光っていた。
辺りをきょろきょろと見渡して、電飾並に目を輝かせる。
「…そうだなぁ」
最初はめんどくさいとも思っていた俺だが、彼女をここに連れてきて良かったと、笑みがこぼれた。
「あ、あれですか?ここのメインのクリスマスツリー」
ここのメインは、この先にあるクリスマスツリーだ。カントー1のクリスマスツリーだと宣伝していただけあって、まだここから遠いながらも、雄々しくそびえ立っているのが見える。
「あぁ」
俺も同じように、正面を見た。
「…すごいですね」
遠くからでも分かるくらい、周りの街灯に負けないくらいの電飾が光る。
「…あぁ」
近くに行ったら、眩しそうだ、思ってしまう自分は、ここには相応しくないだろうか。
「ブルーさん達も、来れれば良かったですね」
残念そうに俺を見上げてくる。
「…まぁ、グリーンじゃこの人混みはつらいだろうしなぁ」
人混み嫌いのあいつに、ここは吐き気がするだろうな。
きっとそれを分かってて、ブルーは来ないで、俺たちに教えてくれたんだろうけど。
「…そうですよね。しかも仕事だって言ってましたし」
ジムの仕事に、クリスマスも関係なし。
「ブルーが嘆いてたよ」
グリーンってばひどいのよ!!っと昨日相談してきたブルーを思い出して、少し不憫に思えた。
「…なんか、こんなにはしゃいでるのが、申し訳なくなってきました」
しゅんっと落ち込みだす。
「ブルーがここを教えてくれたんだ。楽しんでこいって意味だろ?あの二人の分まで楽しまなきゃそれこそ申し訳ないさ」
彼女を元気付けるように、なんだか語ってしまう。
「そ、そうですよね!帰ったらどんなだったか教えてあげなくちゃですよね!」
「いやそれは辞めた方がいい」
「え?なんでですか?」
こういう所は至極天然だなぁと思ってしまう。
「なんででも」
そんな自慢するみたいに言ったら怒られるって。
「…そうなんですか?」
ん?っと彼女は首を傾けた。
ブルーもそんな話を彼女から聞こうもんなら、行き場のない怒りを感じることだろう。
そのしわ寄せを俺が受けるから、勘弁してくれ。
たとえグリーンにそのしわ寄せが行ったとしても、その八つ当たりに俺が使われるんだ。
あぁ、俺不憫。
そんな思いを振り切るように、少し歩くペースを速めて、クリスマスツリーに近付いた。
クリスマスツリーの目の前まで来て、イエローが歓喜の声をあげる。
「すげぇーなぁ」
さすがの俺も、迫力のすごさに声を漏らした。
電飾の数も半端ではなく、遠くから見るよりもずっとすごい。
でもやっぱり眩しくて、目が慣れるまでに時間が必要だった。
くすくす笑って、そんなことを言い出す。
「それは七夕だろう?」
これは笹じゃないよ?
「そうなんですけど、でもクリスマスツリーに願い事と靴下をつるすと、サンタさんが願いを叶えてくれるって言うじゃないですか」
あぁ、そっちか。
「まぁそうだけど、でもなぁ」
このクリスマスツリーに願い事つるしたら、なんか恐ろしいことになりそうな気がする。
「あはは、冗談ですけど」
そんなことを言いながら、彼女は笑った。
でもそのうち、上ばかりを見すぎて、首が痛くなった。
イエローが突然、下を向いてしゃがみ込む。
「ん?」
しゃがみはしないが、イエローと同じく、下を見た。
「見てくださいよレッドさん!」
彼女は嬉しそうに、木の根っこを指さす。
「ん?」
何を見せたいのか分からず、ただその指をさされた方を見た。
「…木ってすごいですよねぇ。こんなコンクリートで覆われた所でも、しっかりと根を伸ばして、コンクリートを押し上げちゃうんですから」
そう言いながら、嬉しそうに微笑む。
「……ぷっ…あははは」
思わず、彼女の言葉に笑いが止まらなくなった。
「えっ?れ、レッドさん?どうしたんですか?」
なんで俺が笑うのか分からないのか、きょとんっとした顔が、俺を見る。
「いや…イエローらしいなって思ってさ」
普通こんな所に来て、上のクリスマスツリーの飾りを見ずに、下の根を見る奴は早々いない。
でも、イエローならやりかねないと思ってしまう。
「え?何がですか?」
俺が何に笑ってるのか分からないのか、立ち上がって首を傾げた。
「普通さ、ここに来て下の根を見る奴はいないぜ?」
くっくっと笑いをこらえる。
「えっ!?あ…す、すいません!」
真っ赤になって謝るイエロー。
僕、すっごく雰囲気壊しちゃいましたよねぇ、とぶつぶつと悔いるように呟いた。
「いや…イエローらしいよ」
なんだか嬉しくて、笑みを浮かべてしまう。
「…ほんとすいません」
火照った顔を押さえて、彼女は俺を見上げた。
「…今度は、自然の中のクリスマスでも探しに行くか」
イエローは、その方がお気に召すみたいだから?
「えっ!?あ、いえそんなつもりで言ったわけじゃっ」
「来年はさ」
今度は、こういう人工的なクリスマスツリーを見に来るんじゃなくて、自然が作り出す、クリスマスツリーを見に…。
俺の言った言葉の意味が分かったのか、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
あとがき
私のイエローのイメージはこんなんですかね。天然な困ったさん。でも誰よりも優しくて、自然を大事にしてて。でもどっか抜けてて。子どもみたいにはしゃいで、迷子になりそうになって。でもしっかりはしていて。よく分からない子です。
レッドさんはもう少しかっこいい人にしたかったんですが、結局イエローにぞっこんなお馬鹿さんになってしまいました。あぁかっこよくレッドを書きたいなぁ。ああ。
こんな奴のレイエを読んでくださってありがとうございました。