グリブル小説「愛情たっぷりオムライス」
 

 

愛情たっぷりオムライス

 

「ブルー…なんか食わして…」
ブルーの家におしかけて、俺は開口一番、そう吐き出した。
「なんであたしがあんたに食わさなきゃいけないのよ……。イエローのとこ行きなさいよ」
あぁ、ごもっとも。
「…いや…旅から帰ってきたら、冷蔵庫ん中何もなくて、イエローのとこ行く前に、力尽きると思って…」
さすがにこの空腹で、トキワまで行ける自信はない。
でも材料を買って、自分で作るなんていう気力も体力もない。
そんなとき、近くに住んでいた彼女の家を尋ねたのだ。
もっと近いグリーンは、今はトキワのジムでお仕事中。

「まったく、あんたって馬鹿は…」
そう言いながらも、俺を部屋に入れてくれる。
憎まれ口をたたきながらも、こうして願いを聞いてくれるんだから、優しくなったよなぁ、ほんと。
「おじゃましまーす」
俺はへろへろしながら部屋に入る。
「何食べたいの?」
近くに置いてあったエプロンをつけて、彼女は問うた。
なんか新妻みたいだなぁ。
「オムライス!!」
俺はそこだけは威勢良く答える。
「…この、そういうときだけ元気になりおって。あげくオムライスってガキですか…」
まったく…っとぶつぶつ文句を言いながらも、台所に立ち、冷蔵庫から卵を取り出してくれる。
ほんと優しくなったよなぁ。

「あたしの料理は高いわよ?」
冷凍ご飯に、半分カットされた残り物らしい野菜を出して、まな板で切る。
「…はい、今度何か奢らせていただきます」
倍返しは必須だろうな…。
「…普通旅に出るとき、冷蔵庫からっぽにしてくんだから覚えてなさいよ…」
フライパンを振って、ご飯と野菜を混ぜていく。
「面目ない…。あ!ケチャップライスで!」
なんて注文をつけてみる。
やっぱり、オムライスにはケチャップライスだろう!
「…おごり金額3割増ね」
そう言いながらケチャップを冷蔵庫から出す。
「え!?」
倍のあげく、さらに3割増!?
それは倍の3割増になるんですかね…。
「…まったく…作ってもらってる分際で厚かましい」
そう言いながらも、てきぱきと料理をしていく。
あげく卵は2個入りで、ふわふわにはちょっとたりないけど、十分ふわふわになる量を焼いてくれる。
ほんと優しくなったなぁ…。
「…すいません」
そう謝りながらも、俺は心底微笑ましい目を彼女に送っていた。
「…はい、できあがり」
そう言って出されたオムライス。
わーいおいしそうだ!!!と思ってみたら…

 

 

 

 

 

 

 

「…これは、イヤガラセデスカブルーサン?」
思わずカタコトになる。
「うん!!!!」
あぁああ即答ですか!!!
しかもそのきらめく笑顔☆

嫌がらせ、もとい出されたオムライスには、ケチャップででかでかと、
『グリーンLOVE』
と書かれていた…。

 

 

 

 

 

「…」
この、グリーンへの、愛情たっぷりオムライス。
少し食べるのに、いやだいぶ抵抗があったが、背に腹は変えられず、おいしく全部をいただかせていただいた。
ほんとにおいしかった…。
味は…。

だが、そのあと会ったグリーンに、ブルーが送ったであろうあのオムライスの写メールを見せられて、殴られることは、そのときは知らないまま…。

 

2007年12月26日 Fin


あとがき

笑ってくれました?笑ってくれたらめっけもんです(笑)うちいつもケチャップはビンなんです。だからオムライスに文字を書くなんて、そんな難しい事は普段はできません。ところが今日に限ってあるのは、あたしがバイト先から貰ってきた、チューブ式のケチャップ。そしてこともあろうか、今日の昼飯はオムライス!なんと!?っと思ってる間に、降ってきたるはネタちゃんよ、というわけで、飯そっちのけで書きました(笑)おかげで、予定の時間の15分すぎに家を出て遅刻したのは言うまでもない(笑)バカです、バカです。分かってます。でも思いついちゃったんだからしょうがないの!!うわーん!その時撮った写真付きでした(笑)いかがでしたか。
きっとブルーはグリーンに写真を送るだけではなく、「折角グリーンのために作ったのに、レッドに食べられちゃったぁ」と余計な文章までつけてメールを送っていることでしょう。3割り増しはこれだったわけで(笑)奢るだけで済むと思うなよ☆という恐い姉さんの物語(笑)レッドはこれで絶対冷蔵庫が空のことは忘れないぞ!むしろ忘れても絶対ブルーのとこには行かないぞ!と心に決めるのであった(笑)