グリブル小説「あなたの時間」
 

 

あなたの時間

 

「デートがしたい!!!」
ばんっと机を叩く。
「…」
本を読んでいた彼が、あたしを見た。
「…そんな本読んでる暇あったらあたしとデートくらいしてよぉお」
ぷぅっと頬を膨らませみたりして。

せめてどっか行きたい。
仕事仕事仕事ばっかりで、全然構ってくれないんだもんっ!
少しくらい構ってよ。

「…今からどこに行くって言うんだ。こないだ予定表渡しただろ?」
「だから?」
いきなり渡されたってどうしろって言うのよ。
「だから、休みの日にどっか行きたいなら、予定立てるなりなんなりすればいいだろ?」
はぁとため息をつかれる。

ん?

ちょっと待て?

「………それって、休みの日は全部あたしにくれるってこと?」
「…あぁ」
彼はさらりと肯定の返事をすると、本に視線を戻した。

それって、そういうことだよね?
休みの日は好き勝手していいってことでしょ?

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

え?

 

 

 

「…っ!?」
顔が熱くなるのが自分でもわかる。
あたし今、すっごく真っ赤だ。
「…っ」
あたしは慌てて彼に背中を向ける。
本を読んでた彼には、絶対気付かれてないはず。
はず……。

っていうかこの人いきなり何言い出すのよ!!
しかも自分が言った言葉にどれほどの威力があったかなんて全然理解してないみたいだし。
ありえないっ!!
もう、なんてこと言ってくれちゃってんのよ!!!

だって…休みの日を全部あたしにくれるなんて……。
そんな嬉しいこと言われたら、なんか、変に恥ずかしいじゃない…。

「……」
グリーンは気付かずに本を読んだまんまだし。
なんか1人で恥ずかしがって、嬉しがって、馬鹿みたいじゃないのよぉ。
「………デートがしたい!!」
冒頭に戻る。
「だから…」
彼は呆れたようにため息を付いて本を閉じた。
「…でも」
「?」
「………休みの日は、ただグリーンと一緒にいたい」

ただ、グリーンと一緒にいたい。
デートがしたいって言ったのはきっかけが欲しかっただけで、そんなにいっぱい時間を、あたしだけのためにくれるなら、ただ一緒に、いろんな話をしよう?
ただ、あなたの時間を、共に過ごしたい…。

でもなんだか、こっちばっかりやられてばっかで悔しいから、少し顔が赤いまんまだけど、仕返しのつもりでそんな言葉を言ってみたり…。
プラス上目遣いだぞ!
どうだっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」
あ、真っ赤。

 

 

 

 

勝った。

 

2006年2月12日 Fin


あとがき

なんかめずらしくギャグチックだけど、姉さんのわがままさ加減が出せたら万歳。っていうか、なんかこう、客観的にこのバカップルを見てる感があればいいなぁと思います。最後あたりとかね。
なんかなりメをしていて思いついた話しです。私はどうにも悲観的思考でして、例え「予定表渡したろ」と言われたところで、「だから何?」としか思わなかったりします。しかしその場にいたRALUKU様が「それって空いてる時間は全部くれるって言ってるみたいだよね」って言われてずがしゃーーーんっと雷に打たれました(笑)そうしてできあがったうちの姉さんにしては珍しいプラス思考物語です(笑)暗いのはあたしの考えがマイナス思考だからだと気付かされた一件でもあったりしますが(笑)まぁ思いついたときに書こうとイベント終わったその日に書き上げた代物だったりします(笑)うちのグリブルにしては珍しい話しだとRALUKU様に言われました(笑)結構グリブルだと思います。まぁ最後はブルグリチックですが、グリブルから派出したものだということで。