あたしだけ 「…っ」 豆電球だけを点けた部屋は、部屋に何があるかだけを、理解させた。 「…」 薄暗い中でも、良く分かるほど整った顔。 「グリーン…」 しまった。 「…」 良かった…。 そう思った時……
「……姉さん…」
彼の口から、おそらく彼の姉である、ナナミさんを呼ぶ言葉が発せられた。
家族なんだし、夢に出てくることだって、あるだろう。 こんなこと…今更だ。 今更だけど……。
なんだろう。 今一緒にいて、今こうして一番側に居るのは、あたしなのに…。
「グリーンっ」 なんでだか分からない。 あたしがあなただけを感じてるのに、グリーンはあたしだけを感じてるわけじゃないからかなぁ。 でもそんなの、無理なのは分かってるけど…。 分かってる。 「グリーンっ」 そう言ったところで、どうなるわけでもないし、寝てる時の言葉まで、意識できないのは分かってるけど…。 「はぁ?」 夢のことまで、責任もてないものね。 「…っ」
ある意味、一番勝てなくて、そしてよりグリーンに近い女の人だ。 「…はぁ?」 つまり、「姉さんもう食えないよ」って、そんなところなのだろうか…? 「つーかおまえ、夢くらいで泣くな」 このぬくもりを知ってるのは、あたしだけでいい。
あなたに愛されるのは、あたしだけでいいの…。 「…っ」 「好きよ」
どうか、あたしだけで…。 2010年1月4日&9月16日 Fin あとがき 新年早々に書いた話がこれか。こえーなぁもう。姉さんの愛の深さというか、暗さというか、狂気的さがものものしい物語になりました(笑)これを書いてる電車の中で、目の前でDSを取り合っていちゃいちゃしてるバカップルがいて、俺にどうしろと?とか思いました。別で思いついた話なので路線変更はできないし。どうしろと?思わず目の前でいちゃつくなと口パクで言ったら収まったのは、聞こえちゃったんですかね?(笑)そんなシビアな場所で書いてた、狂気的な姉さんの愛のお話でした。兄さんだって、その愛をしょうがないなぁと受け入れられてる時点で、十分狂気的なのですよ(笑) |