グリブル小説「コーヒー」
 

 

「あ!あそこ寄ってお茶したい!!」
買い物袋をいっぱい抱えて、十分に買い物を満喫した状態で言った、言葉だった。

 

コーヒー

 

「却下」
「ええええ!!!なんでよ!」
一刀両断された、あたしの名案。
どうしてくれるのよ。
「ここまで買い物に付き合ってやったんだ!!いい加減家に帰るっ」
あたしの倍は持ってるであろう買い物袋を差し出されて、そう文句を返された。
「もう、そんなんだから引きこもりになるのよ!こんな色白で、もやしっ子みたいじゃない」
ジムと家の往復しか外出てないでしょ、ここ最近。
「余計なお世話だっ。帰るぞ」
そう言って、彼はリザードンを出す。
「えええ!いいじゃない!もうここまで来たらお茶してっても、夕ご飯食べてっても変わらないわよっ!」
どさくさにまぎれて、夕ご飯まで食べてこうかと思ってるあたし。
「変わるわ!!」
「ちぇ」
突っ込まれた。
「…はぁ」
彼は大きくため息をつく。
「…別にいいじゃない。もう少しグリーンと一緒に、デート間を満喫したいのよ…」
一緒に外を出歩くなんて珍しいんだ。
たまには長い時間、外で過ごしたっていいじゃない?
「…はぁ…俺は…こんなところで茶ぁ飲むより、家に帰っておまえの煎れたコーヒーを飲む方がいいよ」
彼は仕方ないというようにため息をついて、そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え」

 

 

 

 

 

それって…

 

 

 

 

 

 

 

「嫌み?」
外で飲むより、あたしのがいささかましとか言いたいか。
「あほっ」
そう言ったら額をはたかれた。

意味は分かったけど、素直にそれを受け入れるのが悔しくて。
でも、嬉しさに、顔は素直に笑みを浮かべてしまう。

「…コーヒーに合うケーキを買いたいです」
そう上目遣いで彼に言うと、
「どうぞ」
と、彼は即答してくれた。

あなたは、コーヒーのように苦くて、分かりづらい。

 

2007年7月31日&8月13日 Fin


あとがき
コーヒーって、あの苦さがおいしいって言う人もいれば、それがいやだって人もいるからさ。そんな、分かりづらい愛の表現に、分かっても認めたくない、素直じゃない姉さん。みたいな(死)
これは、あたしが買い物に出たとき、マックでコーヒー飲んでるときに考え付きました。女って、何かとお茶をしたがるから、きっと姉さんも、町に買い物にきたら、ここぞとばかりにお茶をしたがるんだろうなって思ってできた1作です(笑)まぁ無理難題をいろいろ言って、兄さんを丸め込もうとするも、結局丸め込まれてしまう姉さんって感じで。惚れた弱味ってやつですか(笑)でも十分譲歩をするようになっただけ、兄さんも惚れた弱味なんだとは思います(笑)まぁ二人して、いろんな意地を張り合って、少しずつ少しずつ、近づいていくといいんじゃないかなぁ。ボクもコーヒーが飲めるようになったのは、大学4年になってからでした(笑)関係ないって?まぁそう言わず…。