独占欲
「……あたし、グリーンにもし昔の女がいたら絶対あーなる自信あるわ」
ドラマを見ながらそんなことをぼやいた。
「…………やめてくれ」
危うく飲みかけたコーヒーを零しかけていたグリーンが、我を取り戻し言葉を吐く。
「いや、絶対あーなる」
なんとなく言い切ってみた。
いったいどんなドラマだったのか。
在日韓国人と日本人の恋愛ドラマ。
その主人公のお母さんが昔愛した日本人が、主人公の恋人のお父さんだったという、どうにも昔に見た何かの番組にあったなぁーと頭を巡らせた。
あれはエリートキャリアウーマンと人殺しだったかな?
まぁーそれはさておいて。
そのお父さんは結局は主人公のお母さんとは結ばれず、別の、幼馴染みの人と結婚。
ところがその後が大変なんだ。
なんでもそのお母さんと、その幼馴染みと結婚した後も手紙で通じ合ってたとか。
どうやらそのお母さんが死ぬまでその関係が続いてたみたいで。
女のあたしとしてはそれって結構許されないなと思う反面、二人の愛の深さに感心する部分もあるけど、でもやっぱり、許せないと思ってしまう…。
実際、今のドラマの中で、その幼馴染みは切れて精神的におかしくなってしまい、部屋をあらし、暴れ出して精神科行き。
なんとなく、グリーンがそうやって昔の女と通じてたりしたらあたし、同じ事できそうだな、と思ったんだ…。
「だいたいしにして、俺に昔の女なんかいない」
はぁっと思いっ切りため息を付かれる。
「…じゃあ、こないだ電話かかってきた女の子は誰?」
グリーンの膝の上に座り、じっと睨み上げる。
「あれは間違い電話だ」
いい加減あたしのそう言う行動に慣れたのか、無視して本を読みながら淡々としゃべり出す。
「じゃあこないだ訪ねてきた可愛い女の子は?」
なんとなくつまらないのか、首に腕を回してみた。
「あれはお隣さん。回覧板渡されたんだ」
あいかわらずの無視で本を読み続ける彼。
「じゃあアルバムに入ってた3人の女の子は?」
本ばかり見てるのがくやしくて本を取り上げる。
「あれは親戚の子供だ。つーかおまえいつアルバムなんか見たんだ」
本を取り上げられてすることを失ったのか、今日初めて顔を見合わせる。
「グリーンの昔の写真が売れるかな、と」
ファンには高値で売れそうじゃない?
「……怒るぞ」
「あああごめんなさい!」
ぎゃああご立腹!?
「ったく…。とにかく俺に昔の女なんかいない。気がすんだか?」
取り上げた本を取り返される。
「あっ……。…気がすんだっていうかなんていうか…」
なんかどんどん疑ってく感じ。
「……なんだよ」
本を読むのを諦めたのか、本をテーブルの上に置いた。
「…独占欲が余計に増した気分」
そんなことを言いながらぎゅっと抱きついた。
「……なんでだよ」
はぁっと再度ため息をつかれる。
「本当にいたとしても、いなかったとしても、どっちにしたってあたしは嫌なの…。グリーンには女の影が常につきまとってる感じだわ…」
抱きしめる腕に力を込める。
「そうか?」
「そうなの。全く」
あんたが激鈍なのよ…。
「…妬いてんのかよ」
にやりと笑われるが、そんなからかいに負けるブルーちゃんではない。
「あたりまえでしょ?」
と逆ににゃりと笑い返してやる。
「なっ!?」
もちろんそのお返しはあなたの赤面顔。
「グリーンはあたしのだもん。絶対誰にも渡さない。他の女と喋るのも関わるのも全部全部許さないんだから…。もちろんイエローやクリスだって例外じゃないんだからね?」
くすくすと笑いながらそんな冗談めいたことを言う。
「おいおい」
さすがにその独占欲の強さに引いたのか、顔をしかめれた。
「……なんてね…。さすがにそこまでは言わないけどさ。でも、いつもあたしは妬いてばっかりよ」
嘘じゃないけど、さすがにそこまでは求められないから…。
でも、あたしは毎日妬いてばっかりよ。
別の女とのコミュニケーション。
口をついて出る話題はイエローのこと。
あげくのはてに、こうやって彼女であるあたしが傍にいても、あなたは本にお熱。
あたしが妬くのは人だけじゃないときた。
「はぁ」
あまりの惨めさと、馬鹿さ加減にため息しかでない。
「…………俺は妬くだけ無駄だと思うけどな…」
そう囁くなり、軽くキスをされる。
「なっ!?」
今度はこっちが赤くなる番。
「……」
でも、した本人も赤いってどうよ…。
「………ぷっ……うふふふ」
なんだか、馬鹿さ加減に笑えた…。
「……笑うな」
恥ずかしいのはこっちなんだと言わんばかりに、真っ赤な顔で軽く睨まれる。
後から、あれが彼なりのフォローだったのだと知るのは、もう少し後。
2004年8月17日 Fin
あとがき
ごめんなさい。最後まで決めなかった。しかも黒川ドリームにする気だったのが本音。だって現実世界の話ひっぱってるんだもん。でも気付けばこないだグリブルでドラマネタやったやん!と思って無理矢理グリブルに持ってきてしまいましたとさ。まぁでもグリーンがグリーンじゃねぇ。まぁうちではグリーンさんは可哀想キャラですから。強気に出てやる!!と攻めようとするも、あっさり姉さんに交わされるへたれなあげく、精一杯のフォローも最初に意味を理解されずに恥ずかしさに負けるお馬鹿さん(死)まぁとりあえず意味は最後には分かってくれたっていう私なりにフォローはしましたけど(死)あははは。姉さんも案外激鈍です(死)あはははは。
まぁこの話は何がしたかったんかと言いますと、めっさ別の女と話もしてほしくないくらい、あなたを愛してるわって言いたくて、あげくのはてに、そんな心配しなくてもおまえしか見てねーよって思ってほしかっただけです(死)あははは。ただそれだけ。ほんとそれだけ(死)あははははは。こんなのグリーンじゃないわ!!!って方。すいませんでした(死)
|