炎やい小説
 

 

「っていうかなんであんたがここにいんのよ!」

そう言いながらソファに座る炎山をびしっと指差した。

「うるさいな。少しは静かにできないのか?でこ娘」

とうの炎山は優雅に出されたお茶を飲んでいる。

 

たまたまやいとの家に行く途中だった熱斗が、道を歩いていた炎山を拉致したために、今の状態が生まれていた。

 

「なんですって!?勝手におしかけておいて、勝手にうちのお茶飲んで、勝手にうちでくつろいでるくせに生意気よ!!」

今にもきーーとヒステリックを起こしかねないような怒り方をするやいと。

そのきれいな丸い頭からは今にも湯気が出そうだった。

「来たくてきたわけじゃない。たまたま熱斗に連れて来られただけだ。お茶はお前の家のメイドが出しただけだろう?それにこんなにうるさくちゃくつろげないがな」

やいとが述べた文句に、きれいに説明する炎山。

「きーー!!むーかーつーくーー!!!」

地団太を踏んで怒りをぶつけるやいと。

落ち着いてくださいやいと様、とやいとのナビ、グライドが言う。

 

とうの連れてきた原因である熱斗だが、メイドに出してもらったケーキを頬張っているだけで、二人のやり取りには無関心といった状態だ。

というかいつものことなのだろう…。

 

「だいたいにして!炎山!なんなのあのCM!」

そう言ってテーブルを叩くやいと。

これ以上ここ居る理由に怒っても仕方がないと踏んだのか、話題を変えた。

 

あのCMというのはあれのことだろう。

最近発売された、炎山の会社の新製品の宣伝。

あのCMに出演している炎山だが、その台詞が

 

『君のハートにプラグイン』

 

なのである。

 

「べつに?ただのCMだろ?」

彼はそれがどうしたと言わんばかりに、変わりなくお茶を飲む。

「何がただのCMよ!あんなきざで、砂吐くような台詞吐いちゃってさ!気持ち悪いったらありゃーしないわ!」

彼女は嫌味を言ってるつもりなのだろうが、見る人が見ればただのやきもちを妬いている台詞にも聞こえなくはない。(炎やい好きとか炎やい好きとか…)

 

「今実演してやろうか?」

彼はお茶を飲んでいたカップを口から離し、その口に不適な笑みを浮かべる。

「なっ!?…むきーーー炎山の馬鹿!!!!」

一瞬、やいとは顔を赤くするが、嫌味が通じてないのに悔しさがこみ上げたのか、やいとは、彼女の家に大きく響くくらいの声で、思いっきり叫んだ。

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