「ふぅ」 その時だった… 「…っ!?」 疑問の答え 『…もしもし?聞いてるか?』 ところが、考える時間を、彼は与えてはくれなかった。 「…っ」 今の時刻は22時に近い。 「軽くしかできないけど、いい?」 とりあえず着替えた後、キッチンで簡単に食材を刻み、電子レンジを使い、フライパンを揺らし、皿に盛りつけていく。 「…グリーン?」 「……どうしたの?」 迷惑なわけがない。 「…」 わけがわからない。 あんた何がしたいのよ…。 でも…… 「…まず、おまえに会いたかったから」 「なぁグリーン」 2005年9月11日&11月17日
バカなんです、基本的に(こら)ははは。まぁ姉さんは結局、怒らされても、問題がおころうとも、兄さんの言葉一つで絆されてしまうくらい馬鹿(兄さんを好きすぎるから)なんです。はい!あはは。
部屋に、フローラルの香りが漂う。
「…」
髪の水気をタオルで取り、棚の上に置いてあったポケギアで、メールが来てないかを確認した。
聞き慣れない、音楽が鳴り出したのは…。
「………はい」
少し、声が上擦るような気がした…。
だってこの音楽は、あの人のためだけに、設定された物だから…。
『…ブルーか?今、どこにいる?』
その、あの人は、こっちの心情なんか知らずに、淡々と言葉を喋る。
後ろから雑音が聞こえる…。どうやら、外にいるようだった…。
「…え、い…今?今、家にいるけど……」
言葉が、思うように口から出ない。
それだけ、自分は妙に緊張しているのだと、知った…。
『今から行っていいか?』
「…………は?」
聞き慣れない音楽は、滅多にあの人からかけてこないことを示す。
上擦りそうな声、思うように言葉がでない緊張は、あの人と、電話で話す機会があまりないことを示す。
そして、言った言葉が、すぐには理解できなかったのは、そんなことを、言われたことがないことを…示していた………。
「え!?あ…うん」
聞いてはいた。
でも、理解するのに、もの凄く時間がかかったのだ。
『今から行っていいか?』
彼は、同じ言葉を繰り返す。
「…」
行っていいか…行っていいか……。
つまりは、来る。
しかも、今からと言ってる時点で、今来る。
今…………
「今ぁあああああ!?」
しかもあんたがうちに来るですって!?
『…なんだ、なんか問題でもあるのか?』
「え!?あ…いや…ない…こともない…こともない…」
都合の問題はない。だけれど、心の問題というのがある。
『どっちだ』
全くだ。
「え…あぁ…平気」
来る分には構わないが、なぜあなたが、急に来る気になったかに問題がある。
『…じゃあ今から行く』
「え!?まじ!?」
という言葉は、彼には届かなかった。
だって、受話器の向こうに聞こえた音は、ツーっという、すでに電話が繋がっていないというものだったから…。
「……本気で来るの?」
どうして?何故?どんな理由で?
「……」
思わず、頭を抱えて悩むというのはこういうことを言うのか、と冷静に状況を判断してしまった自分に、嫌気がさした。
「…」
とりあえず着替えよう。
考えるのは後でもできる。
そんな冷静な対処をしてしまう自分にも、やっぱり嫌気がさした。
着替えに行こうとドアを開けた瞬間に、彼はやってきたのだ…。
インターホンの音と共に。
ドアを開けて確認した人物に、ますます疑問は深まる。
だって、さきほどの電話を切って、まだ5分も経っていないのに…。
「なんだ、風呂に入ってたのか?」
彼は何食わぬ顔で、我が家のようにずかずかと上がり込む。
たしかに二桁を越えようかくらいの回数は来ているが、今日のような事例はない。
だからこそ、疑問が疑問を呼ぶのだ。
「ちょっ、グリーンっ」
勝手に入っていった彼を、あたしは慌てて追いかける。
「ん?」
彼はどかっとソファーに座り込んだ。
「なんでこんな早いのよ!?」
聞きたい所はそこではないのに、なんでかまずそこから聞いてみる。
「ジムから帰ってきながら電話したからだ」
彼はふぅと息を吐き、目を瞑った。
「…帰りながらって、あたしがいなかったらどうするつもりだったの?」
「そのまま帰ればいいだろう?」
確かに、あたしの家は彼の家への通り道だ。
「いや、でもさ…」
でもおかしい。
「なんだ?」
彼は目を開けて、あたしを見上げる。
「……」
それ以上が聞けない。
「……ん?」
「…はぁ。コーヒーでいい?」
とりあえず、おもてなしくらいはいたしましょう。
「いや、それよりなんか食べるものあるか?」
彼は疲れたように、ソファーのクッションに顔を埋める。
「え?!」
いきなり言われたって…。
「ずっと仕事で何も食ってないんだ…」
本当に辛そうに喋る声と、時間が真実味を感じさせた…。
定刻が約束されているようなあの仕事で、この時間はありえなすぎる。
あげくのはてに、食事の時間までとれないほどの忙しさ。
いったい、何があったと言うのだろう。
朝ご飯にしようかと取ってあった夕飯の残りと、冷蔵庫の残り物でできる料理なんか、たかが知れている。
家に帰れば、あの主婦の鏡とも言えるナナミさんの、おいしい手料理が待っていただろうに…。家に帰る前に、力つきたのだろうか…。
「あぁ、なんでもいい」
なんでもいいが一番困るのだけれど…。
元々料理は嫌いではなく、1人暮らしに慣れ始めたあたしには、この行動は毎日の日課だった。
一通り簡単に作り終えた後、彼の前に料理を並べる。
「…っいただきます」
ソファーに顔を埋めていた彼は顔を上げ、あっという間に料理を平らげていく。
「………」
よっぽどお腹が空いていたんだろうなぁ、と、普通の人の反応しかできなかった。
後かたづけが終わり、彼にお茶を出しながらやっとこさ、ずっと疑問に思っていた答えを求めた。
「…何が?」
しかし、返ってきた言葉は答えではなくて…。
「だーかーらー、どうしてうちに来たの?何かあったの?」
うちにくるなんてよっぽどじゃないかなって。
「…別に」
彼はお茶を一気に飲み干す。
「…別にって、食べ物だって、帰ればなんかあるんでしょ?あえてうちで食べなくたって」
「迷惑だったか?」
ことんっとカップが置かれる。
「迷惑じゃないけど、なんでかなって」
好きな人が自分に会いに来てくれるなんて、こんな嬉しいことはない。
でも、あなたは理由もなしに、来る人じゃないから…。
彼はあたしを見上げ、手招きし、自分の隣に座るよう、手で表す。
「…?」
あたしは首を傾げながら、渋々隣に座った。
「っ!?ちょっ!?ちょっと!!!」
そしたらいきなり膝の上に頭を乗せられ、寝転がられる。
「疲れた…寝る」
そう言って、彼は目を瞑る。
「寝るって!?ちょっと!!寝ないで!!なんで!?ねぇなんでなのよ!質問に答えなさい!!」
質問には答えないし、何したいのか全然分かんないし!!
「…」
しばらく経ってから、聞こえてきたのは質問の答えではなく寝息。
「寝るの早っ!?」
これだけあたしが騒いでるのに、こんなに早く寝てしまうなんて、いったいどれだけ疲れて帰ってきたというのだろう。
「……なんなのよぉ、もう」
いきなりやってきて、ご飯食べて、人の膝の上で爆睡して…。
なんであたしの家に来るのよ。
なんであたしのご飯なのよ。
なんであたしの膝なのよぉ。
ほんとわけわかんないし。
起きて第一声にそう言われて、もうなんでもいいやと思ったあたしって、結構馬鹿かも…。
たまたまジムにやってきたレッド。
「あ?」
たまたま大量の仕事に追われていたグリーン。
「忙しければ忙しいほど…会いたくなるよな…」
意味はなく発せられた言葉。
「…………そうだな…」
今日、あたしの幸せが生まれた…その答え…。
あとがき
まぁたしかこれは、RALUKU様とメッセでお話していたときにふと生まれたものだったと思います。たしか。あまり覚えていないのですが。まぁそれでこうがばっと思い浮かんで、久しぶりにMacで小説を書きました。Macで小説を書くのは久しぶりです。3月以来なので、6ヶ月ぶり。直したのも2ヶ月ぶり(こら)あぁ、でもルサ小説を書いたかぁ。それくらいですかねぇ。まぁMacで書いているあたりが突発さを伺えると思います。いつもはネタだけを紙に書いたり、うろ覚えで授業中にWinで書いたりするのが主流なので(授業受けろ)
しかしまぁ、なんていうかこう、兄さんが姉さんに甘えているというか、ただこう、頼りにしてるっていうか、うーん難しいなぁ。でもレッドの一言で、ぱっと思い浮かんだのは姉さんで…。で、ふと会いたいと思ってしまったのに、目の前には期日が近い仕事ばかり。今日中にやらなきゃいけないことだらけ。でも会いたい。だから頑張る。でも気付けば物も食べずに時間は22時近く。もう駄目だ。でも会いたいんだ。会いに行こう。みたいなこう、微妙な頭の中の問答があったのです。姉さんの膝の上でさぞ幸せでしたでしょう。起きてきっとこう、恥ずかしげに頭をかきながらそんな台詞を吐いたのではないかと思います。疲れると人間大胆になれるものだともんもんと思ったのではないでしょうかねぇ。まぁ半無意識だったということで(笑)お腹一杯で気持ちよかっただろうなぁ(笑)