シルバー→ブルー小説「走って、走って、俺はどこへ行きたいんだろう」
 

 

走って、走って、俺はどこへ行きたいんだろう

 

俺たちは、決して歩むはずのなかった道で、出会った。

それを俺は、喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。
会えたことに喜ぶべきか。
会えたけれど、その道を歩んでしまったことに、悲しむべきか…。

今となっては、もうわからない…。

幸せなような、そうでないような…そんな感覚の中に、俺は佇んでいる…。

俺たちはあるとき、その歩むはずのなかった道を、脱することに成功した。
そして俺たちは、違う道を、歩み始めた…。

違う道を、歩み始めてしまったんだ…。
違う道を…。

俺たちは、それぞれの道を歩んで、それぞれの人に出会って、それぞれの仲間を得て、それぞれの”何か”を得た…。

それを人は、「幸せ」と呼んでいた…。
俺はその言葉を、いまだに受け入れられないでいる…。
俺を仲間だと言った、あいつらのことも…。

そんな中で、ふと思うのは姉さんのことなんだ…。

俺には姉さんしかいなくて、姉さんと一緒にいた頃の記憶しか、持ち合わせていなくて…。
俺の人生において、大事な人は姉さんしかありえなくて…。
だからこそ、それ以外の”何か”ができることに、俺はきっと、抵抗を感じているのかもしれない。

「大丈夫だよ…」

姉さんは優しくそう言うけれど、俺はきっと、姉さんが姉さんの仲間を受け入れたようには、できない気がする。
俺には、姉さん以外の人と、どう関わるべきなのか、よくわからないから…。
いや、わかりたくないから…。

俺には、姉さんしか、いなかったから。

でも、俺たちは別々の道を歩んでしまった…。
歩み続けてしまった。

後戻りは、もうできない。

姉さんには姉さんの仲間がいて、姉さんには姉さんの、大事な人が…もうそこに
居てしまって…。

俺だけが、どこだかわからない場所に、いまだに佇んだままで…。

そんなとき、ふと思う…。

君に今、会いたいんだと…。

だから、会いに行くよ…。

たとえ、どんな痛みが…押し寄せても…。

君のもとへ…

 

君の…もとへ…。

俺は走り続ける。
走って、走って、もがいて…ただ、ただ、君に、会いたくて…。

「姉さん!!!」

きっと君は、あの綺麗な髪をたなびかせて、振り返ってくれるだろう。

そして俺は、そんな君にこう言うんだ…。

「姉さん…俺…姉さんのことが……」


それでいいはずなんだ…。
俺の新しい道を、歩む出すためには…。

2008年9月28日 Fin


あとがき
地味にゴシルっぽい。いや、ゴシルクリで(笑)シルバーが一歩を踏み出すには、まず過去をちゃんとした形にしておく必要性があって。いつまでも、姉さんだけしかいない自分の人生ってのを貫き通せなくなってしまった。そんなときの話です。シルバーがなんと言ったかは、みなさんのなんとかフィルターにおまかせします。
沙耶の好きな秦くんって人の、なんとかっていう歌詞から浮かびました。なんだったっけ?まぁそれからです。知ってる人はすぐわかる。そう言う使い方してます。それを見て思いつくほどに、そこまでシルブルは毛嫌いしてません。さぁ走れ、走れ、走れ、シルバー!!ほんとは走って汗だくになって、髪が首に張り付いて、長い髪をうざいと思いながら、息が苦しくて心臓の鼓動が異常に早くても、それでも走り続ける。そんなシルバーの表現がしたかったんですが、心の葛藤話なので無理でした。そういう葛藤を心の中でしてるんだってことで、ここはよろしく(笑)