グリブル小説「響く声」
 

 

響く声

 

「…グリーンはすごいよねぇ」
「は?」
いきなり言われた一言に、俺は顔をしかめた。
「かっこよくて、一人でなんでもできて、すべてのことをこなして、だれにも頼ることなく、一人で…」
「…」
何を言い出すんだ、こいつは…
「お金もあって、地位もあって、好きなことができて、好きな未来を切り開ける。すべて、一人の力で…」
「ブルー?」
何が言いたいんだ…
「…一人で戦えるだけの強さがって、だれにも頼らないだけの強さがあって…」
「おい…」
何を…
「…でもそれじゃあ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…独りぼっちになっちゃうね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

それでもいいと言いかけて、口が動かなかった。
静まり返った部屋が、俺には時計の音さえ聞こえなくなっていて…。
だから余計に、目の前に居る彼女の言葉が、直接響いたんだ…

 

 

 

 

「大好きよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「大好き…」

優しく笑う彼女の言葉が、響いて、伝わって、泣くかと、思った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「グリーンが、大好きよ…」

 

2007年1月21日 Fin


あとがき

何が言いたいんだって感じですが、ようは、なんでもできちゃうグリーンに、あたしって必要っていう不安を、隠したかっただけだったりもします(え)まぁ姉さんの本質的弱さは変わりませんが、でもこうやって兄さんに何かしらの意思表示ができるようになっただけ、強くはなれたのではないかなぁって思います。またこう、兄さんが姉さんの言葉を受け容れられるようになった感が、二人の間にかなりの愛がある気がして、私的珍しい作品となりました。
ただ結局兄さんが泣きそうになっているので、ブルグリチック。自分は相当兄さんも弱い人にしたいらしい。彼は自分の弱ささえも自分一人で乗り切ってしまうから、今度はそれに、あたしも入れてと姉さんが兄さんの心の中に住み着いてむしろいなきゃダメな存在にまでのし上がっていって欲しいなぁと思います。頑張れ姉さん!