人 「人ってさ、片方の棒に短い棒が寄りかかって人っていう字になってるじゃない?」 ジムの仕事に集中しているように見せかけて、あたしの他愛ない会話に返事を返してくれるあなたが、あたしは大好きよ? 「…人って字の話」 呆れずに、くだらない話を聞いてくれる、あなたが好きよ? 「…まず、これがグリーン。で、これがあたし」 素直に表情に出るあなたが、あたしは大好きよ? 「…ずっと、そばにいてね」 「………あぁ」 たっぷり間をあけて、真っ赤に答えてくれるあなたが、あたしはどうしようもなく、大好きなんだ。 2007年7月28日 Fin
NARUTOの一昨年くらいの映画の主題歌「Ding!
Dong!
Dang!」を聞いてたら思いついた話しです。「僕に足りないものを君がくれる 君にないものは僕があげるから」っていう歌詞からきました。姉さんがたりない部分を、兄さんが補ってくれるから、あなたにたりないものを、あたしがあげられるような彼女になりたいなっていう理想をつめた話になりました。姉さんはときにこういうくさいことを平気で言ってくれそうな気がします。いや姉さんは普段から平気でこういうことを言いますけど。っていうか兄さんの前ではいくらでもね(笑)女は恋をすると強くなるって言いますから、グリーンのためならなんだってできるんですよ。今度そんな話も書こうと思うけど、メモったネタがどっか行っちゃったんだよなぁ。みゃああ。まぁでもこれきっと友情話だったと思いますけどね。いいのさ、脳内グリブル計画!(ええ)いや、嘘、どんな計画だよ(笑)まぁそんなこんなで、湯水のようにネタが生まれていた時代の1作でした。聞いてふと浮かんで即効描いた作品だったので。
「…なんだよいきなり」
あたしは、近くにあった紙に人という字を書いた。
「…まぁいちお支えあう生き物としての意があるという話だけどな」
彼は、仕事の手を止め、こっちを向いてくれる。
「でも、よく片方が楽してるって言うじゃない?」
片方の棒は長いけど、もう片方は寄りかかってるだけの短い棒だ。
「…まぁそうよく言われてるな」
「あたし、思ったんだけどさ、これって、人が生きてる過程での一部を、文字に表してるんじゃないかなぁって」
もう一度、人という字を紙に書く。
「なんで?」
そう言って、人という字を書き順通りに書く。
「うん」
彼は椅子から立ち上がり、あたしに近づいた。
「あたしにない部分を、グリーンがくれてるから。で、こっちがあたしで、こっちがグリーン」
再度、人という字を書き順通りに書く。
「グリーンに足りない部分を、あたしがあげるよっていう意味を込めて。ねっ?」
あたしはそう言って、彼を見上げて微笑んだ。
「…っ」
彼は少し赤くなった顔を隠すように、視線を反らす。
「人は誰かいないと、きっと生きていけないんだよ。でも、甘えてるだけじゃきっと駄目なんだ…。支えて、支えられて。それが人なんじゃないかなぁって」
そう言う意味が、この字にはあるんじゃないかなぁって。
「…なんでそう言う話になったんだよ」
まだいささか赤い顔をしたグリーン。
「…え?だって、あたしグリーンがいなきゃ生きていけないなぁって思って。でも、甘えてばっかじゃ申し訳ないし、何かグリーンに返したいなぁって。支えたいなぁって、護りたいなぁって、思うからさぁ」
支えられて、支えてっていう、あなたにとっての、そんな人になりたいなぁって、そう思ったから。
「っ!?」
だから…
人という字が、成り立つように。
あとがき