グリブル小説「私たちの一日」
 

 

私たちの一日

 

「ようブルー!」
あたしは道を歩いているときに、そう声をかけられる。
「…レッド?」
声に聞き覚えがあり、頭の中の記憶から、彼の名前を口にした。
「よっ!」
振り返れば、声どおりの彼がそこに立っていて…。
「…グリーン」
ただびっくりしたのは、そこにいたのは彼だけではなかったこと。
「…」
グリーンはとくに何も言うでもなく、あたしと目を合わせると、ぱっと目線をそらした。

なんだその態度は…。
あいかわらずなんだから…。

「どうしたの?二人で」
そんな彼を無視し、あたしはレッドに話しかける。
「いや、途中で会ったからバトルしてきた帰りなんだ」
そう楽しそうに話すところを見ると、
「へぇ、じゃあグリーンが負けたんだ」
とくすくす笑って言う。

そんなに嬉しそうにしてるなんて、勝ったとしか思えなかったんだけど…

「違う!俺は負けてない!」
その言葉が気に障ったのか、彼が怒鳴る出す。
「残念ながら相打ちだったよ」

勝敗はつかなかったらしい。
じゃあそんなに楽しそうにしてるのは、久しぶりにバトルで盛り上がったからなのかな。

「そう」
私はただそれだけを答えた。

そんなとき、レッドがいきなり話題を変える。

「しっかしまぁ、おまえもあいかわらずだな」
「はぁ?なんの話よ」
私はいきなりな話題に、間の抜けた顔で返した。
「服装。今日は違うの着てるけど、それでも露出が激しいのは変わんないんだなって話さ」
そう言いながら彼は笑う。

今の私の格好は、キャミソールを2枚重ね着し、短いプリーツの入ったスカートで、厚底のミュールといった格好だ。
まぁいうなれば露出が激しいのはたしかだ。
いつものハイネックのノースリーブワンピースも、たしかに露出が激しいけど。

「あんたどこ見てんのよ〜エッチ〜」
そう冗談めかして彼に返した。
「あんまり短いスカートでうろうろしてると、誰かさんが怒るぞ〜。なぁ誰かさん、おまえはどうよ?」
にやりと笑って、レッドはグリーンの方を向く。
「…どうって何がだ」
彼は一瞬たじろぐが、とぼけたような言葉を返した。

しっかり誰かさん発言を無視して。

「だから、おまえから見てブルーの格好はどうよ、って話だ」
そう言ってグリーンを私の前へと立たせる。

そして、彼は私を上から下へと目線を下ろし、
「…」
再度私の顔を見て沈黙する…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…グリーン顔赤いよ?」
「なっ!?」
グリーン顔赤いって。

「やーいグリーンのむっつりスケベ〜」
「違う!!」
レッドのからかいに激しく突っ込みを入れるグリーン。
「うふふ、グリーンのエッチー」
おもしろいこの人。
「違うって言ってるだろ!!!」
否定の意志をあらわにするものの、そんなに顔が赤いと、からかいたくて仕方がないんだけど?
「…うふふ。っていうかレッドのさっきの発言、なんか親父くさいよ?」
そんな二人のやり取りにくすくすと笑いながら、彼にそう突っ込む。

だってレッド、それじゃあ「その服は露出が激しすぎるんじゃないのか!」って怒ってるお父さんみたい。

「そうか?俺は事実を述べたまでだぜ?」
さすがに親父発言には勘弁してくれ、と思ったのか突っかかってきた。
「じゃあどういう服ならいいわけ?」
どういう服ならお父さんは怒らないのかしら?
「そんなの俺じゃなくて彼氏であるグリーンに聞けよ。どうせおまえはその好みであわせたりもしてるんだろ?」
あら、あたしそんなに乙女に見えるかしら。
「というか、グリーンはこれでもOKっぽいけど?」
顔赤らめてくれちゃうくらい問題ないんでしょう?
「誰も何も言ってないだろう!!」
あーもう必死な彼が可愛すぎだ。
「顔で語ったってやつ?」
それにレッドも気づいたのか、彼をからかい始める。
「違うって言ってるだろうが!!!」
そうやって向きになるからおもしろいんだって。
「うふふ。まあそれはさておいて、そんなにダメかしらね?この格好」
あたしは自分の格好を両手を広げて見る。

そんなに露出激しすぎる?

「…べつにダメとは言わないけど、いいんですか、誰かさんは〜って話だよ」
そう言いながら、レッドはグリーンを見た。
「なんに対しても誰かさんは無関心だから、あたしがどんな格好しててもどうでもいいんじゃない?」

今まで彼に服装のことで何か言われた経験はない。
もちろんほめられたこともないわけだが…。

「…だな」
再度レッドはグリーンを見ると、はぁとため息をついてあたしを見た。
「なんなんだおまえらは!!」
そんなあたしたちの態度にしびれを切らしたのか、グリーンが怒鳴る。
「まぁまぁ落ち着けって。でもよーく考えてみると、露出してない服着てるブルーって考え付かないな」
あれだけからかっておいて、いまさら落ち着けはないだろう、と言いたいが、そんなレッドはとりあえず無視。
「…まぁたしかにズボンとか履かないし、長袖というか、上に羽織るとかコート着るとかしか、しないからねー」
気づけばあたし、冬服みたいな感じのは、あんまり持ってないのかも。
「カンナ戦の時も、短いスカートのまんまだったもんな。見てるこっちが寒くなってくるぜ」
そういえばあの氷付けの場所で、そんな格好のまんまだったな〜なんて思い出す。
「というか、ブルーさんは基本的に露出しない服って似合わないっすよね」
「「わぁーーーーーーーーーーー」」
いきなりの今までいなかった人物の声に、私とレッド同様、びっくりして飛び上がる。
「うお!?なんすか、びっくりするな」
彼はあたしたちの声に、逆にびっくりしていた。
「びっくりしたのはこっちだ!!!いきなり出てくるな!!!」
レッドがそう叫ぶ。
「グリーンは気づいてたの?」
思わず盾にしてしまったグリーンを見上げながら、そう聞いた。
「べつに隠れてきていたわけじゃないからな。気づかない方がおかしいだろう」
あーそうですか。
「つーかそんなに驚かなくたって」
彼はひどいなーというように嘆きの声を上げる。
「普通にびっくりしたわよ、ゴールド」
そう、現れたのはゴールドだった。

しかもばっちり会話に参加してきたところを見ると、しっかりと会話まで聞いていたもよう。
いったいいつの間に…。

「そ、そうですか?すいませんっす」
そんなに驚かせたのか…とぶつぶつ言いながら、彼は謝る。
「っていうかあたしが露出しない服が似合わないってどういうことよ!」
そういえばさっきの発言だけど、ちょっと聞き捨てならないじゃない?
「あーいやだから、ズボンとかそういうのを着てるブルーさんが想像できなくって。つーかそういう服がなんだかブルーさんに似合うような気がしないんですよ。どっちかって言うと、ズボンよりも、スカート履いてロングブーツとかの方がいいだろうし、長袖を着るよりは、上に羽織る形の何かのほうが似合うし、みたいな。逆に長袖だとしても、どこか必ず露出してたほうが合ってるって俺は思うんすけど、みなさんはどうですか?」
とりあえず一気に意見を述べるゴールド。

だけど、
「それって結局あたしのいつもの格好じゃないのよ!」
つまり今までみたいな格好じゃなきゃ、あたしには似合わないってことじゃない。
「まぁようは、こういう格好じゃないとブルーっぽくないってことだろう?」
レッドがそうまとめる。
「そういうことっすね」
そうゴールドとレッドが納得しあった。
「何よそれ、もう!」
よくわかんないし。

だいたいにしてこの会話はいったいなんだったの?
結局露出が激しいからなんだって言うのよ。
問題があったの?なかったの?

「あーでも今度チャイナドレスとか着てみてくださいよ!なんか絶対似合う気がしますよ」
そうゴールドが言い出す。
「つーか着物とか捨てがたくね?」
そうレッドも言い出す。
「あーいいっすね!!カクテルドレスとかも似合いそうじゃないですか?」
「あーなるほど!つーかさ…」

何を言い出すんだあんた達は!!
っていうかレッドにいたってはイエローも似合いそうとか考えてるでしょう!

「というかいっそのこと水着とか?」
ちょっと待て!
「あーブルーさんスタイルいいからビキニとか似合いそ…って!!」
あ…

「おまえらいい加減にしろよ?」
グリーンがゴールドをぐーで殴った。
「あはははそんな怒んなって」
レッドが俺はぶたれまいと先に謝り、後ずさる。
「いってーグリーンさん本気で殴らないでくださいよ〜。ほんの冗談じゃないですか〜」
痛がって頭を抑えながら、彼はグリーンを訴えた。
「愛しのブルーさんのことじゃ冗談に聞こえないってよ〜」
「レッド?」
レッドの冗談に、グリーンがさらににらみを利かせる。
「すいませんでした」
おとなしい人が怒ると怖いって言うからね。
「うふふ。馬鹿ばっかり」
そんな3人を見て、思わず笑えた。

「レッドさーん!!」
「ゴールド!」
そんな会話をしている間に、どこで一緒になったのか、イエローとクリスがゴールドが来たほうから現れる。
「イエロー」
「げっ!?クリス」
レッドはぱぁっと表情を変えてイエローを迎えるが、ゴールドは一変して嫌な顔。

なんかあったのか?

「もうあんたって奴は!!先にオーキド博士に挨拶に行きましょう!って言ったでしょう?」
始まった、クリスのお小言。
「だぁいいじゃねーかよ!たまたまレッドさん達に会って立ち話になっただけだって!!」
そうゴールドが言い返す。

アノ二人もあいかわらずだ。

「わぁ、ブルーさん今日の服可愛いですね」
イエローがそんな二人のやり取りは放っておいて、あたしを見上げた。
「…ありがとう。でも君の愛しのレッドくんはダメなんだって」
そうからかうようにイエローに言えば、
「え!?なんでですかレッドさん!!ブルーさんこんなに可愛いじゃないですか!!」
とあわてて訴えだす。

おもしろい。

「え!?ダメなんて言ってないぜ!?ただ露出が激しくないかって話をだな…」
「そんなとこ見てたんですか…」
イエローの顔が一変する。

あははひっかかった。

「え!?あ、いやちが!?」
「レッドさんセクハラですよそれ〜」
今まで向こうでゴールドと話していたクリスが、イエロー側についた。
「何を言う!!これは男の性だろ!」
しかしゴールドも負けずと言い返す。

だがそれは言い訳にもならず、ただの諦めではなかろうか…。

「ゴールドの変態!」
クリスがそう文句を言えば、
「なんだと!?」
二人の喧嘩が始まっていく。
「いやだから違うんだって、これにはいろいろとだな」
「いろいろなんですか?」
レッドとイエローの方でも妙に一食触発な感じで…。

「うふふ、なんかおもしろいことになってきた」
そんな二組を見て、思わず笑ってしまった。
「おまえのことだろ?」
それでいいのかよ、と彼が突っ込む。
「だから楽しいんでしょう?」
仕組んだわけじゃないが、結果的に面白い方に進んだならよしでしょう。
「…はぁ」
呆れた、と言うように彼はため息をつく。
「何?あなたもこの格好に文句があるわけ?」
あなたも親父思考?
「…べつに…。俺はおまえがどんな格好してようと関係ないしな」
やっぱり。
「あーそうですか」
そういい加減に返事を返す。
しかし、
「…なんだ、気にして欲しかったのか?」
それをあたしがいじけたと取ったのか、彼がにやりとあたしを見た。
「…べーつに。気にされない方が好きな服が着れて楽しいからいいです」
ふんって感じで顔を背ける。

「…まぁ、おまえは何を着ても似合うからな…」

そりゃあ全く気にされないっていうのは寂しいけれど…。
でも干渉されなければ好きな服を自分が着たいときに着れるから。
あなたを気にする必要性もないしね。
って…

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

「え?何か言った?」
あたしは彼の方を振り返る。

彼の小声に、内容は聞き取れない。

「…いや…」
彼はあたしに聞こえなかったことに安堵したのか、そうごまかす。
「…変なグリーン」
何よと、言うように、あたしは再度彼に背を向けた。
「…俺は帰るがおまえはどうするんだ?」
彼はそう言いながら、あたしを追い越していく。
「え!?あ…い、一緒に行く」
あたしはあわてて彼を追いかけた。

 

 

「…あれ?グリーンとブルーは!?」
なんとか話題を反らせようとレッドはいなくなったあたしたちの名前を出す。
「え?あれ?いつのまにか居なくなってる」
クリスもそれに反応し、あたりを見渡した。
「大変だ!!すぐに追いかけなくては!!ですよね!レッドさん!!」
「あたぼうよ!ゴールドよ!!」
そう言って二人は駆け出す。

逃げたわね…。

「あー待ちなさい!!」
「あー待ってくださいよレッドさん!!」
そして彼女達も追いかける。

そんな、私たちの一日。

 

2004年5月10日 Fin


あとがき
よく分からないですね。何を書きたかったのか。どうして前の続きを先に書かないかな私という奴は(死)あははは。まぁとにもかくにも何が書きたかったかって言うと、こないだ私が更新した
キャミソール姿のブルー姉さんをもとに話を書きたかっただけです。あとはへたれグリーンと親父レッドにしたかっただけです。ただそれだけですよ!!!あとはゴールドをアホキャラにしただけかな?あははは。妙にグリブル、レイエ、ゴークリとなりましたが、まぁグリブル主旨で。しかしあのへたれのあとだからどうにもこうにもグリーンかっこつけてもかっこ悪いまんまやな〜。申し訳ない。まぁうちではこういうグリーンもありかもですね。って方向で笑って流してやってくれると嬉しいです。
っていうかここ最近シリアスにしか書いてないからすっごい新鮮でした。あーおもしろかった。ブルー姉さんが楽しんでるのは私の意志かもしれん(ええ)あははは。お使いありがとうございました。
ちなみにこういう服が似合うじゃないか。こんなのがいいじゃないかっていうのは私の独断と偏見と趣味であり、実際のところ、ブルー姉さんはなんでも似合うんだと突っ込んでもらうためだけに最後グリブルにしました。本当申し訳ないです。読んでくださってありがとうございました〜。あはははは。あーおもしろかった(待て)