「それでね」
また、通じてるんだか通じてないんだかわからないのに、彼女はめげずに彼に話し掛けていた。 でもやっぱり傍から見ると、聞いてないグリーンに必死に話しかけるブルーの姿にしか見えない。 「ブルー」 「っ!?…な、なぁに?」 「…」 「どうしたの?」 「ねぇレッド、なぁに?」 あいつのさっきの行動が、それを如実に表しているようで。 ずっと、ずっと小さいころから見てきたからこそ、微笑ましく見れる、彼の変化。 「まさか」 そんな彼女を見て、俺もうれしくなる。 「…何を話してるんだ」 俺はきっと、一番近くで彼と彼女の変化を見て行ける。 2008年4月10日&10月15日
彼と彼女の変化
「あぁ」
本を読んでいる彼は、ただ生返事を返す。
「こないだはね」
それにめげずに、話をする彼女はすごいと思う。
慣れの賜物なのか。
それとも、実際聞いていないようで、聞いている彼をわかってるからなのか。
あいつは彼女の話も、本の内容も覚えているのだから、聖徳太子かと思う。
もしくは、本を読みたいのに、邪魔をされてる彼の姿にも見えてくる。
俺は両方に助け船を出すように、彼女の名前を呼んだ。
「なぁに?」
彼女は俺の方を向く。
「ちょっとおいで」
俺は手招きで、彼女を呼んだ。
「?」
彼女は疑問符を浮かべながら、立ち上がる。
そのとき…
彼女は驚いたようにグリーンを見た。
驚いたのは俺も同じだった。
なぜなら、グリーンが立ち上がったブルーの腕を掴んだからだ…。
彼女が、首をかしげてグリーンに問う。
「え…あ…いや…」
彼は自分でも驚いた顔をし、慌てて手を離した。
「変なグリーン」
彼女は苦笑すると、俺の方にやってくる。
「…」
グリーンは、相変わらず自分の行動を理解できないのか、手を開いたり握ったりしながら、不思議そうに手を見つめていた。
「えっ…あ…そうだ」
グリーンを見ていた俺は、近くにいた彼女を見て驚く。
そうだ。俺が呼んだんだ。
「なんなの?」
「いや、なんでもないんだけどね」
俺は、苦笑して彼女の頭を撫でる。
「え?じゃあなんで呼んだの?」
彼女が、いぶかしげに俺を見た。
「さっきのグリーンの行動に忘れちゃったよ」
俺は苦笑したまま、そう答える。
「そういえば、なんだったのかなぁ」
彼女が不思議そうにしながら、顎に手をおいた。
「前に、グリーンは全然おまえのこと好きになってくれないって、愚痴ってたよな」
俺は、彼女の頭を優しく撫で続ける。
「うん」
今でもその考えは変わらないのか、彼女は頷いた。
「…確かに、好きになったのはおまえの方かもしれない。でも、堕ちたのはあいつの方だ…」
まだ本人はその感情に気づいていないだけで、十分彼女と変わらないほどの愛を抱き始めている。
あの、他人に興味を示さないあいつがとった行動。
ブルーを優しく見つめる彼の表情や、赤くなりながらも受け入れる彼の優しさが、彼の変化を表しているようで。
彼女は苦笑のような、自嘲的な笑みを浮かべて、俺の言葉を否定した。
「いずれ、わかるよ」
再度俺は、彼女の頭を撫でる。
「そうかなぁ」
彼女は、少し戸惑い、疑いの顔を俺に向けた。
「そうだよ」
俺はじっと、彼女を見返す。
「……そっか」
彼女はしばらくすると、嬉しそうに笑みを浮かべた。
彼女の笑顔が増えていく。
そんな変化もまた、嬉しいんだ…。
グリーンがむっとしながら、ブルーを撫でていた俺の手を掴む。
「変化が嬉しいって話さ」
俺は、嬉しそうにそう答える。
「は?」
「そんな話だったっけ?」
彼女と彼が不思議そうに俺を見た。
そう思うと、なんだかすごく、楽しくなった。
あとがき
書いて半年たった(笑)更新がいつまでもできないままだからいけないのですが(笑)ブルー姉さんの誕生日小説や、七夕小説はいったいいつ更新されるんでしょうね。1年後か?(笑)
まぁそんなずいぶん昔の作品なもんで、あとがきみたいな当時の伝えたかったこと的な内容は書けませんが、少し補足的な感じで。
なんともまぁ、たぶんですけど、兄さんが姉さんを本当に好きで好きでどうしようもない感情が芽生え始めているということを表現したかったんじゃないかなぁって思います。まだそれを自覚していないのですが、兄さんの方が姉さんを好きになりすぎていたっていうね。兄さんをひたすらに攻めにしたいがために、無理矢理そういう話を考えたのかなぁ(笑)まぁ無理矢理っていうか、どうしたらいいかを考えた結果の礎だったんじゃないかなぁって気がします。ここからきっとどんどん兄さんは姉さんに落ちる!!!そんな感じなね(笑)まぁ若干若い設定。16歳から17歳くらいかなぁ。普段うちは18歳くらいをイメージして書いています。うちは16歳で告白したイメージです。設定上ですけど。そんな感じに読んでいただけるといいかなぁって方向で。