グリブル小説「キスミープリーズ!」
 

 

「ねぇ」
またあいつの「ねぇ」が始まった…。


キスミープリーズ!


「ねぇってば!」
「…なんだ?」
仕事に追われてる俺に、振り返るという動作は不可能に近い。
「…ねぇってばぁ」
彼女が後ろから抱きつく。
「…抱きつくな!」
「キスしてよぉ」
彼女が猫撫で声で甘えてくるが、
「ダメだ」
ここで願いを叶えてやれるほど、俺は暇じゃない。
俺はそう言いながら、彼女の腕を離させた。
「いいじゃんキスくらーい!ねぇ、キスしてよぉ」
じっと彼女が俺を見る。
「おまえキスしたら、キスだけじゃ済まなくなるだろ!」
俺の経験上、キスをしたらこの後30分は解放されない。
むしろ、30分で解放されればいい方だ…。
「…っ」
彼女も図星なのか、俺の言葉に一瞬ひるんだ。
「ほらな」
そう言って、俺は再度仕事に向かおうとする。
「ねぇっ!」
「…っ」
まだ諦めないのか!?
「…キスしてよぉ。1回で我慢するからぁ」
彼女が泣きそうな顔で俺を見る。

あぁ…もう…

「きゃっ」

俺は彼女の手を引っ張って、

「……今はこれで我慢しろ」

手の甲にキスをし、上目遣いでそう言った。

 

 

 

 

 

「ブルー?」
反応が…
「ね…」
「ね?」
ね、がなんだって?
「熱!?」
「あるか!!!」
失礼な奴だなっ。
「じゃ、じゃあ疲れてる?そう、そうなんだね!今コーヒー煎れてくるわ!!」
そう言って、彼女は耳まで真っ赤なのを隠すように、給湯室へと消えていった。
「そこまで言うか?」
そう言いながら、俺は必死に笑いをかみ殺す。

コーヒーを煎れて戻ってくるまで、何十分かかるやら。

2008年4月24日 Fin


あとがき
こないだから騒いでた兄さんが姉さんの手の甲にキスをするという話です。やっぱりこういう攻めな兄さんは夏樹さまに聞くのが一番ですね(笑)星嶺様には夢オチ、沙耶には酒に酔ってとかしか言われなかったのですが、彼女と話していて、そうか、おかしくさせればいいんだ!!!(ひどす)ってことで、疲れさせてみました。なんか疲れてたら姉さんの行動をあしらうのにこういうありえない行為をしてくれるかなぁってことで。そんでキスしたあと上目遣いで言葉を発するってフェロモンむんむんやなぁ!!ひぃってひたすらもだえたので利用(笑)いい萌えをありがとう、夏樹さま。おかげさまで、違和感ない、攻めな兄さんを書けて非常に楽しかったです。ただここで攻めで終われないのがうちの兄さん。一回だけでいいからと言った姉さんに対して、実際キスをするのではなく手の甲にしたのは、自分を抑えるため(笑)自分だって1回で済む自信のない、そんなへたれな兄さんって方向で(笑)夏樹さまありがとうございました!!
タイトルがカタカナなのは阿呆さ加減を出すためです(笑)