あぁ、真っ白だからか…。
「はぁ…。何を、しに来た…」
俺は何、を強調して再度問う。
俺に会いに来たのは分かったが、俺に会いに来て、おまえは何をしたいんだ。
「グリーンと一緒に居に」
「なっ!?」
「こんな往来で愛の告白なんかしてんじゃねーよ!」
「いたっ」
俺が彼女の言葉に真っ赤になったのと、そこにレッドが現われ、彼女の頭を小突いたのが同時だった。
「ったく。すぐそこまで丸聞こえだぞっ」
さっき、ブルーが挙げたここに来るであろうメンバーのうちの一人、レッドが訪れたのだ。
それ以外の奴でなかったことを、俺は心底良かったと思った。
「そんな大声で喋ってたつもりはなかったんだけどな」
彼女は小突かれたところを撫でながら、レッドを見上げる。
「こんな滅多に人の来ないとこ、ちょっと喋ってただけでも丸聞こえだっつーの」
はぁ、と彼はため息をつく。
確かに、ここにあるのはおじいちゃんの研究施設と、ポケモンを飼育するための牧場並みの平原があるだけだ。
それ以上存在しないここは、ポケモンが興奮して騒ぎ出したり、走り回ったりしない限りは、非常にのどかで静かな場所だった。
そんな所でこんな風に会話をすれば、そりゃあ、丸聞こえにもなるだろう。
自分で近所迷惑だと注意したはずなのに、自分自身が近所迷惑になってどうするんだ…と俺は自分で後悔する…。
しかもこんな会話…。
「はぁ」
心底今来たのがレッドで良かったと、その場にうな垂れた。
「つーかおまえはもう少し恥じらいというものを覚えろ」
俺が悶々と考え事をしてうな垂れてる中、レッドはブルーに説教をしだす。
「えぇ!一緒に居たいって思ってるどこが悪いのよ!」
彼女は負けずと言い返した。
彼女は説教をおとなしく聞くタイプではない。
俺もそれで何度頭を抱え、結局こっちが折れたことか…。
「思ってるだけにしろ!口にするな!こんなとこで」
ごもっともだ。
「口にしなきゃ伝わらないじゃない!」
「場所を考えろって言ってんだ!!」
そうだそうだ。
いくら人があまりいないとことは言え、あんな言葉を誰がいるかも分からないこんなとこで、しかもでかい声で言うなっ。
まぁ、言われて悪い気はしなかったが…。
「だって、グリーンが何をしに来たって聞くから!」
ちょっと待て…。
俺のせいかよ!
そう突っ込もうとして、俺はうな垂れていた体を起こし、再度窓から彼らを見る。
すると…
「へ理屈言うのはこの口かぁ!」
「いひゃいひゃい!何すんのよ!」
レッドが彼女の頬を摘んで引っ張る。
そして彼女はその手を払いのけ、軽く彼の胸にパンチをする。
「ったく。どうせおまえがそう言わせるような行動をしたくせに」
彼女が再度反撃をしようとしたのを、彼女の頭を撫でて諌める。
「うっさいなぁ。好きな人に会いに来て何が悪いのよぉ」
むっとしながら、彼女は頬を膨らませる。
「会いに来たこと自体が悪いんじゃない!そもそもそういう会話は部屋に入ってからしろってことだ!」
彼は、再度呆れてため息をつきながらでこピンをする。
「いった!もう!!」
「レッド、そこを動くな。しばく」
俺はぷつんっと何かが切れる音が、頭の隅で鳴ったのを聞かなかったことにして、そのまま部屋を飛び出した。
窓から飛び降りなかった俺には、まだ理性があったと思う。
「はぁ!?なんで!むしろ俺はおまえをかばったのに!!ってぎゃあ!!!」
この後結局、3人ともおじいちゃんにうるさいと怒られた。
それもこれも全部レッドのせいだ!
2010年1月11日&10月18日 Fin
あとがき
兄さんが激しくむっつりな話でした(笑)自分で読み返して「馬鹿だな兄さん!」って思ったのは言うまでもない(笑)なんでこんなむっつりなんだろう彼は。一人でにやにやして、一人でどきどきして、一人でもんもんとしてますよきっと(笑)うわぁー変態!(あれ)あはははは。まぁ兄さん馬鹿だなぁって思うそんな作品になりました。レッドが異常にかわいそうなお話ですが、兄さん馬鹿だなぁと思っていただければ幸いです(笑)←え。
このお話しは、あたしが駅へ向かう途中、カップルがアパートのさらに玄関の門の前から女の人が、2Fの窓から男の人が会話をしていたのが始まりでございます。べつになんとはない会話しかしておりませんでしたが(内容は忘れた)あたしの脳内ではこう変換されていたのでございます(変態)まぁでもなにやら見詰め合うというか、2人の間にはなにやらラララ〜♪みたいな空気が流れていたように見えるのは、きっとあたしだけだと思います(え)まぁただ業務連絡をしていただけだったような気がします(笑)それを見ただけでここまで話を考えるあたしは阿呆ですね。そこを通ったあたしがレッド役だったということで、レッドも絡ませてみました(笑)会話の邪魔はしたつもりはありませんでしたけどね(笑)まぁあたしが話を思いつくタイミングなんて、こんなもんです(笑)