守る理由 ずっと、こいつを守ってやりたいと思ってきた。 じゃあ、守りたいと思う理由は、なんだ? 「…リザードンっ!!」 運が悪かった、というには、予想がついた出来事だった。 「グリーン!!!」 「………?」 今、何が起きた? うまく、頭が回らない。 「…っ……あ…うあぁあっ!!!」 夢…だったのか…。 「……怖い…夢だったの?」 ほんとに、夢で良かった…。 「…グリーン?」 ずっと、こいつを守ってやりたいと思ってきた。 でも、今、分かった気がした…。 失いたくない…。 だから俺は、守りたいと思ったんだ…。 それが、俺の、ブルーを守る…理由……。 2005年4月27日 Fin
えー兄さんがありえない!!!しかもタイトル決まらなかったからあとからタイトルにあうように内容を変えた(死)それでいいのか俺!!!あははははは。なんかこう、今日たまたま思い浮かんだので書きました。ただ兄さんに「うわぁあっ」って叫んで欲しかっただけです(それだけのためかよ!?)ありえないっていうかこうありえないようで、ありえてくれたらそれはそれでいいなぁって思う今日この頃です。もうちょっと年上になって、グリーンが姉さんに依存するというか、兄さんがいて、姉さんがいるっていう関係があたりまえになったときに、こうなってくれたらいいなぁって思います。兄さんだって、ちゃんと姉さんを愛してるんだい!!っていう思いを込めて制作したつもり。珍しくグリブルじゃなくって?いつもほら、グリブルっていかブルグリだから(死)あははは。でもブルグリ要素を抜け出せなくて、結局最後は抱きしめ返してもらいました。それが、兄さんの背中を押す役割だったりね。兄さんにとって姉さんは、そういう人であってほしいですね、あたしは。その姉さんにとって、兄さんは頼るべき人であって、一緒にいたい人で。って感じで、その関係が一番成り立ったときに、2人の関係が確立していってくれると、嬉しい流れかなぁとは思います。うん。まぁ兄さんが大人になりましたってことで、納得していただければよかとかと、思われます。あはは。
暗い過去から、不安な現在から、分からない未来から…。
でも、守る理由がなんなのか、自分にも分からなかった。
好きだから、で片付けるには曖昧で、だからといって、理由もなく守ることなんか、彼女は望まない…。
自分の主要であるリザードンが、目の前で倒れる。
その瞬間を目の当たりにして、思考回路が停止した気がした…。
「…止めだ!!」
敵の攻撃が自分に向けられる。
次のポケモンはいない。
攻撃を交わせる余力もない。
身を隠せる物もない。
その瞬間、自分の負けを、覚悟した…。
ロケット団の残党がいると言われたそこに、近道だからとその道を選んだのだ。
自分なら、勝つにしろ逃げ切るにしろ、負けるという選択肢はないだろうと思い込んでいた。
そのはずだったのに…
攻撃が自分に向けられたのと、人影が自分の視界を遮ったのと、もしかしたら同時だったのかもしれない。
そんなことも判断できないくらい、自分の思考回路は、停止していたような気がした…。
自分の思考回路がきしみだしたころ、自分の目の前にあるその現実が、目から脳へと伝わっていく。
攻撃はたしかに、自分に向けられていたはずだ。
なのに、自分に痛みはない。
代わりに、さきほど自分の視界を遮った者が、血だらけで目の前に倒れている。
何が起きた……。
何が起きたんだ…。
頭には、この道を選ぶとき、止めた彼女の声だけが、残っていた…。
「きゃっ!?」
はっと我に返ったように飛び起きる。
飛び起きた瞬間、女の悲鳴が聞こえた。
「…ぐ、グリーンっ!?ど、どうしたの?」
視界に映る女は誰だ…。
「…大丈夫?怖い夢でも見た?」
優しく自分の頬に触れてくる。
懐かしい…ぬくもり…。
「…はぁ…ブルー?」
呼びなれた名が、自分の口から漏れる。
「…大丈夫?」
心配するように、彼女の表情がゆがんだ。
「…はぁはぁ……っ?」
あたりを見渡す。
まだ息が整わなくて、肩で息を繰り返した。
「…グリーン?」
彼女は優しく、自分を撫で続けてくれる。
「……ゆ…め?」
あきらかに、さっきまでの場所と違いすぎる。
しかも、目の前で血だらけで倒れていた人間が、今俺の目の前で、何もなかったかのように俺に語りかけ、俺に触れている。
この状況を説明するには、「夢」で片付けるのが妥当な線だ。
しかし、さっきまでの出来事を、「夢」で片付けるにはあまりにもリアルすぎる…。
まだこの手には、目の前で倒れていた、ブルーの血の感触が、今も色濃く残っているというのに。
優しい表情で、俺を諭すような声を、俺の頭が認識する。
「……」
目の前にいる彼女は本物なのか。
どっちが夢なんだ…。
どっちもリアルすぎて、頭が判断しかねている。
「…っ!!」
がんっと鈍い音が、部屋中に響いた。
「っ!?ぐ、グリーン?」
「っつ…」
彼女の驚いた声と、自分の手に伝わった痛みを感じたのが、同時だったような気がする。
「ちょっ…な、何してるのよっ…」
慌てて彼女が俺の手を撫でてくれる。
「…痛い」
夢じゃないことを確認するのに、こんなレトロなやり方しか思いつかないくらい、自分は動揺していた。
「…あたりまえでしょ?こんな壁殴れば、痛いに決まってるわ!馬鹿じゃないの?……どうしたのよ…」
心配そうに俺を見上げる青い瞳。
「……」
痛みがあるということは、さっきのが夢で、今が夢じゃないんだよな…?
その結論は、正しいはずだよな?
「…珍しく転寝なんかしてるから、どうしたのかと思ったけど、そんなに怖い夢だったの?」
優しく撫でてくれる手のぬくもりが、優しく語り掛けてくれる彼女の声が、俺の肩の力を抜いていく。
「……………良かった…」
俺は安堵したように体の力を抜き、彼女に寄りかかった。
「えっ!?…あ…ちょっ、ぐ、グリーンっ!?」
彼女が動揺した声が、遠く感じた…。
自業自得で、おまえを傷つけることなんか、絶対したくない…。
不思議そうにしながら、俺を受け止めていてくれる彼女。
「…ごめん」
夢の中だとしても、おまえを傷つけて…。
「…え?何が?」
知らない彼女には、分からないことだけど…。
「…ごめんっ」
彼女の存在を確かめるように、ぎゅっと抱きよせる。
「っ!?…ぐ、グリーンっ!?」
「…っ」
彼女が慌てるのを無視して、ただ…ずっと…彼女を抱きしめていた…。
「……何なのよぉ……もう…。わけわかんないんだけど…」
彼女は諦めたように、体の力を抜き、優しく俺を、抱きしめ返してくれた。
暗い過去から、不安な現在から、分からない未来から…。
でも、守る理由がなんなのか、自分にも分からなかった。
好きだから、で片付けるには曖昧で、だからといって、理由もなく守ることなんか、彼女は望まない…。
彼女のぬくもりを、体中で感じながら、その思いが形になっていく。
俺の力で…。
必ず……。
守ってみせる…。
今も、これからも…俺の腕のなかにいるぬくもりを、失いたくはないから…。
あとがき