もがいて
「おまえ、昔に言ったよな」
「な、何をだ」
なんでこんなことになってるんだ。
あの事件以来、姿を消したあたし。
顔を合わせることのなかったガチャギリという男。
久しぶりに会って、人気のない壁際に押し込まれる。
全てのごとく、失態だと思った。
侮れないとは思っていたのに…。
いきなりの出会い、いきなりの行動に、あたしは驚きを隠せず、されるがまま。
「…ロクに知りもしないくせにと…」
「…っ」
まだあのときのことを覚えていたのか、しつこい奴だ。
「おまえはまだ、誰かに理解されたくて、もがいてるのか?」
「っ何をバカなことっ!」
彼の体を押し、無理に逃げ出そうとする。
「…おまえほんと、メガネがなきゃただの女だよな」
腕を無理矢理押さえつけられ、身動きが取れなくなる。
すごい力、自分では決して勝てない性別の差の力。
こいつはこんなにでかかっただろうか。
あの頃は、自分よりも身長が低かったはずなのに。
力だって…そんなこと…。
「…っ…何が言いたい…っ」
力で負けそうになるのを、強がりと睨みつけた目ではじき返す。
「…いや、まだあの頃と同じように、もがいてるのかと思っただけさ」
さっきまで食ってかかるような態度から、すごく優しいものへと変わっていく。
もしかして…こいつ…あたしのことを…心配していたのか?
「…まだもがいてるなら……」
「っ!?」
「いつでも俺が理解して、おまえの全てを受け止めてやるよ」
そう言ってあたしの腕を放し、光の当たる世界へと消えていく。
「…っ」
なんだ…なんだ…なんなんだ…。
なんなんだあいつ…。
「…馬鹿」
人の唇奪っといて、言うセリフじゃないだろう…。
あんな奴、メガネさえあれば…。
いや、最初から侮れない奴だった…。
今メガネがあっても、はたして勝てたかどうか…。
メガネの攻防戦に勝っても、彼にはきっと、何かで勝てない気がした。
「くそっ」
もう二度と会うことなんかないと思うのに、でもどこかでまた、あたしを見つけ出す気がする。
もし会ったら、この怒り、思いっきりぶつけてやるっ。
2008年1月11日 Fin
あとがき
小説であの二人のやり取りにここまで妄想した馬鹿です。オタクの妄想力万歳!イサコの「ロクに知りもしないくせに」という言葉に「知ってほしいと思ってるんだ」と返したガチャギリに萌えました。うわおう!もう!!2巻はすっごいガチャイサで、うはうはしながら読んでしまった。あまりアニメじゃ、かかわりなかったですけど、小説じゃなんか黒客の中で、一番等しい存在だったんじゃないかなぁって思います。なんかそれでいて、一番勝てない相手、みたいな。ガチャギリは案外頭がよさそうで、成績は寝てて悪そうだけど、テストの点数で賭け事をするとかだと、きっと並々ならぬ力を発揮するのではないかなぁと思います(笑)むかつく奴だなぁ〜もう(えええ)
っていうか、きっと、イサコってどこへ行っても一人ぼっちになってる気がします。どんなに問題は解決したって、心の底から友達と呼べる人はいなそうで。結局人と付き合うことから逃げて逃げて、逃げてそうです。そんな中でガチャギリに出会う。そしてあの侮れない攻め気質が自分を追い詰める。きっとこの二人は、いい感じなんじゃないかなぁ。
まぁあるサイトでガチャイサ萌えていたのですが、小説でうっかりもってかれました。ガチャイサ万歳!
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